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今回は、切りの良さを考えてかなり短めになっております。ご了承下さい。
地下深くへと伸びる階段の両脇を、光属性魔法を利用したランプの僅かな光が照らす。その光が、一人の兵士と、その脇を歩く小さな少年を映し出した。
「随分長いんですね、この階段」
「……そうだな」
天井からしたった水滴が、ポタリ、ポタリと音を立てる。その水滴の一つが彼の頭に落ち、それを払い落とすように彼は首を振った。
「ところで、一つ聞きたいのですが」
「……なんだ?」
「人はなぜ、人を支配するのでしょうか?」
「……唐突だな」
少しの沈黙の後、兵士の方が先に口を開いた。
「そうだな、必要だからじゃないか」
「……必要だから、ですか?」
「ああ。……いや、違うかもしれない。ただ、……」
「ただ?」
彼に、自分の顔を覗き込まれていることに気がついた兵士が、その場に立ち止まる。そして、──
「……分からん」
「そうですか」
兵士が歩き出すのに合わせて、立ち止まっていた彼も、その脇を歩く。
「……ところで、お前、出身はどこなんだ?」
「フェ=ヴノワールですが」
「そうか、それじゃあ、遥々遠くからご苦労様、ってとこだな」
「……仕事ですから」
「……そうか」
そのまま、彼らは黙り込んだ。
彼らの階段を下る音が響き、階段のずっと奥の方へと吸い込まれていく。吸い込まれた音が二度と戻ってきそうに無いくらい、その階段の行き着く先はずっと遠くであった。
「……にしても、深いですね」
「そうだな。ただ、もう半分は超えたな」
「そうですか。……何から何までありがとうございます、看守さん」
彼らは、そのまま階段を降りて行き、やがて二人の背中はランプの行列の中へ消えていった。
上階から差し込む光は、その場からはもはや点のようにしか見えなかった。
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