第8話 風邪を引いちゃった······。
朝。
いつもならすっきりと起きれるのに今日は凄く気だるい。
とうに起きる時間は過ぎ去っている。
「ふぅ、今何時だろう······」
ズキズキとする頭を抱えながら体を起こして時計を見ます。
午前5時30分。開店時間まであまり時間がありません。
「はぁ、今日も頑張らないと······」
すると、無理が祟ったのか躓いて転んでしまいます。
「リオ! どうしたの!」
躓いた音が聞こえたのか、扉を開けてミーナが入ってきます。
「リオ、大丈夫? 体、すっごい熱いよ?」
ミーナに体温計を持ってこさせて測ると8度7分もありました。
「風邪、引いたみたい······」
「もう、今日は1日安静にしていいから。お店は早めに切り上げるから、任せてね」
「ミーナ······。ごめんね、迷惑かけて」
ミーナはそのまま私に布団を被せ直したあと、部屋を出ていきました。
しばらくして、ミーナの「いらっしゃいませ〜」が聞こえてきた。
きっと、みさとさんが来たのだろう。
ひとり布団に入って寝ていると、時間がすごく遅く感じるなぁ。
そんなことを考えていたら部屋が三回ノックされた。
「リオちゃん大丈夫? ミーナちゃんが入れてくれたんだけど、入っていいかしら?」
私は首を縦に振って大丈夫と伝えます。
「そう。良かった。これ、私の薬なんだけど、市販薬だから飲んでみて? 少しは良くなるかもしれないから」
「ありがとう······ございます」
声はかすれて満足に話せない。
薬を飲んで再び横になる。
「じゃあ、お大事にね」
さとみさんはそのまま仕事に出かけて言った。今日も頑張ってくださいね。
その後お昼はミーナがお粥を作ってきてくれたのでそれを食べます。
「ミーナ、ごめんね。任せっきりにしちゃって」
「病人なんだからしっかり休むの。常連さん達が無理は禁物って言ってたよ?」
「ありがと、ミーナ」
お昼を終えたら私はそのまま眠ってしまった。多分、かなり疲れていたんだと思う。
夜。ミーナがいつもより早く店を閉め、看病しに来ました。
「だいぶ良くなってきたね。明日には出れそう?」
「うん、朝よりは動けると思うけど、明日も無理はしないよ」
「それが1番だね。じゃあ、私、お風呂入ってくる〜」
その言葉を最後に、私の風邪を引いた1日は過ぎていきました。
* * *
翌日。
「ミーナ? 朝だよ〜」
すっかり元気になった私はいつも通りミーナを起こしに行きました。
「あれ? ミーナ、起きてないの〜?」
布団がもぞもぞと動いて顔を出すミーナは若干顔が赤いです。
「風邪······引いた」
「······ごめん。私のせいだ」
2人だけは前途多難ですが、喫茶店は半分いつも通りです。