第7話 ありがとうございます!
「いらしゃいませ〜」
喫茶店はお昼どき。
この時間は人が多く、賑わっています。
でも問題がひとつ。
「ミーナ、そっちのテーブルお願い!」
「分かってる〜」
そう、人手が足りないのです!
喫茶店を始めた最初の頃はそんなに忙しくなかったんだけど、最近は忙しくて。
2人でよく頑張っているなと思う。
「お疲れだね。まあ、もう少しでお昼の時間のピークは無くなるでしょう。頑張って」
「ありがとうございます」
よく来るおじさんに応援されたあとはお客さんも少し減って楽になってきた。
「ねぇ、ミーナ」
「はい? なんですか、リオ」
「人手が欲しいね」
「ですねぇ」
私達はお互いに顔を合わせると「はぁ」とため息をつく。
日々楽しくやれているのでそこは満足しているけど、疲れに関しては流石にそうもいかない。
どうしたらいいのだろうか。
そう考えているとお客さんが入ってくる。
「いらっしゃいませ〜。って、あの時の!」
店に入ってきたのはあの時酔っていた男の人です。
よく見ると若いですね。
「この間は本当にありがとうございます」
「いえいえ。あ、お好きな席にお座り下さい。ご注文が決まりましたら呼んでくださいね」
「あっ、ありがとうございます。その前にこれ、お礼です」
男の人が持っていた大きな箱の中に入っていたのは掛け時計てした。
······私達、時計貰いすぎじゃない?
「えっと、本当にいいんですか?」
「はい! 是非に!」
「じゃあ、ありがとうございます!」
もらった時計は一旦置いておく。流石に今は壁に掛けるのは難しいしね。
「そういえば、お名前なんですか?」
「えっ? 僕ですか? 八代 裕人って言います」
「ユウトさんですね。今後もよろしくお願いしますね」
やや強引にお客さんをキャッチするのは目をつぶって欲しい。
「あ、注文いいですか? とりあえずオムライス小をお願いします」
「オムライス小ですね。ありがとうございます」
私はキッチンにもどってオムライスを作り始める。
やっぱりお客さんと話すのは楽しいです!
今日も嬉しいプレゼントをいただきましたし、人に関わるっていい事だなぁ。
出来上がったオムライスを運ぶ。
「はい。ごゆっくりどうぞ〜」
今日も喫茶店内は幸せでいっぱいです!