第5話 雨の日はお客さんが少ないです
窓ガラスに雨が打ち付ける音で目が覚めた。
布団から出てカーテンを開けて外を見ると結構降っています。
昨日はあんなに晴れていたのに·····。
ちょっとがっかりです。
雨の日はお客さんが少なくなっちゃって、会話が楽しめないから。
いつも通り準備をしたあとミーナを起こしに行きます。
「ミーナ、朝だよ?」
ミーナが使っている部屋を開けると着替え中のミーナがこちらを振り向きました。
「おはようリオ。今日は起きてるよ?」
「お、おはよう。ところで、ピンクのパンツなんていつ買ったの?」
着替え中のミーナはピンクの下着が丸見えで、可愛いんだけど。
「はぅわっ! 出てってください! 着替えてます!」
部屋から押し出されて鍵をかけられちゃった。
久しぶりに顔を赤くしてるのを見れたのでラッキー。
初めて顔を赤くしたのは一緒にお風呂に入った時だったかな?
ともあれ、起きてるなら問題なし。今日もしっかりやろうかな。
* * *
「おはよう2人とも。いつもと同じのお願いするわ。あ、今日は卵でお願いね」
やっぱり朝いちばんに来るのはみさとさんでした。
晴れの日でも雨の日でも一番に来てくれると喫茶店、やりがいがあるなぁ。
「はーい。すぐにお持ちしますね」
「ありがとう。それにしても朝から結構降ってるわね〜。仕事行きたくなくなっちゃうけど、ここに来ると頑張ろうって思うわね」
「なんでですか?」
独り言みたいだったけど問いかけてみる。
「え? いや、リオとミーナが朝早くから頑張ってるじゃない? なら私も負けてられないなって思うもの」
「そうですか? うーん。負けず嫌いってやつですかね?」
「そうそう。そんな感じよ」
雑談を交えているとコーヒーとトーストが出来上がる。
「じゃあ、今日もこれを食べてお仕事頑張ってくださいね」
「ええ、頑張るわ。ありがとう」
「どういたしまして」
「ねぇ、リオ」
「どうしたの? 何かあった?」
私がカウンターに戻ると心配した面持ちで聞いてきました。
「今日って雷鳴らないよね?」
そうでした。前に雨が降った日、雷を初めて聞いた私達は凄くびっくりしてしまったのです。
私はすぐに慣れたけど、ミーナは怖いのかな?
「お客さんが言ってじゃない? 別に怖いものじゃないよって」
「それでも大きな音は鳴るから怖いの!」
するとみさとさんが天気予報を見せてくれました。
「ミーナ、今日は雨だけで雷は少ないそうよ? だから大丈夫だと思うわ」
「そ、そうなの? じゃあ、大丈夫だね」
ミーナが胸をなで下ろした瞬間、遠くで雷の鳴る音が聞こえてきました。
「ねぇ、やっぱり怖いよ!」
お客さんは少ないけど、今日も喫茶店は絶好調です。