第3話 常連のお客さん
「「いらっしゃいませ〜」」
朝いちばんにお店に来たのは常連のお姉さん。
近くでおーえる? とかいう仕事に就いているらしくて。
名前は北野 みさとさん。名前が可愛いのです!
「リオちゃん、ミーナちゃん、おはよう。いつものお願いできるかしら?」
「はーい。かしこまりました〜」
なんとみさとさん。実は私達が初めて接客したお客さんなのです。
「あ、みさとさん。今日は小倉か卵かどっちにします?」
パンにのせる物はたっぷりの粒あんやマヨネーズと合わせた卵。
基本的にこの2種類なんだ。
どっちもあまり好きじゃないお客さん向けに苺ジャム、マーガリンがあるけどね。
「今日も餡子にするわね。ここの餡子美味しくて、ついたくさん食べちゃうわ」
「ほんとですか? ありがとうございます〜」
面と向かって美味しいと言われるのはすごく嬉しい。
ミーナがトーストを準備する間、私は粒あんとコーヒーの用意をする。
コーヒーはキリマンジャロっていう種類。
苦味が抑えられてて、いい香りのコーヒーをみさとさんはいつも飲んでいるんだ。
トーストができたところで、コーヒーを入れる。
すぐ入れちゃうとコーヒーは美味しくなくなっちゃうんだとか。
「お待たせしました〜。トーストと、コーヒーです」
「ありがとう。頂くわ」
みさとさんは何も入れず、ブラックでコーヒーを飲む。
私は初めて飲んだ時、苦くて飲めなかったんだけどね。
「うん。今日も美味しいわね」
「ありがとうございます!」
何度言われても嬉しい気持ちになれる言葉だね。
「あ、そうだ。2人に渡したい物があるんだけど······」
そう言ってみさとさんがバックから取り出したのは透明な箱に入った小さな腕時計だった。
「リオもミーナも腕時計が欲しいって前に言ってたじゃない? 今更だけど、開店祝いだと思って受け取ってくれないかしら?」
「えっ!? いいんですか?」
箱を受け取り、中身を出す。
茶色の革バンドは柔らかく、肌触りがいい。それに、時計盤の文字のデザインも可愛くて見やすくなっている。
裏を見ると「Rio」と刻印されていた。
「あの、ほんとに貰っていいの?」
ミーナの時計も裏に刻印してあるらしい。みさとさんの顔と貰った時計を交互に見ている。
「いいわよ。是非使ってほしいわ」
「ありがとうございます。大切にしますね!」
その後、みさとさんはモーニングを食べ終えて仕事に向かった。
朝から嬉しい事があって、今日は一段と嬉しい日になりそうです!