第2話 経緯、大変だったんです。
そう言えば、こっちの世界に来た時の事を話してなかった。
私達、エルフが住む世界はこっちの世界みたいに綺麗な建物じゃないんだ。
木を切って、それを組み合わせただけのお家なの。
けど、技術はあったから快適だったかな。
それで、元の世界に世界樹っていう木があるんだ。
世界樹には大地に栄養を分けてくれるっていう力があるの。
その代わり、少しずつ大地の不浄を吸い取ってるから根っこが汚くなってくるの。
その木の根っこを綺麗にする仕事をしてたら、根っこを傷付けちゃって······。
慌てて修復剤を塗ろうとしたら、目の前が真っ白になったの。
気づいたらこっちの世界の今いる喫茶店にいたってわけ。
元は空き家だったんだけど、勝手に掃除して、建物ごと新しくしちゃった。
全部整って、何でこっちの世界に来ちゃったんだろうって考えてたら目の前に女の子がいきなり現れたの。
すごくビックリしちゃった。
その時の女の子がミーナ。
同じエルフだけど住んでいた里が違うから全然知らなかったんだ。
ミーナと自己紹介が終わったあと、ミーナがこっちに転移してきた方法を話してくれたんだ。
ミーナが住む里には代々続く、別世界の伝説があったんだって。
その伝説を体験した人曰く、世界樹を傷つけた時、黄金に光り輝く樹液を触った時、その者は別世界に転移するんだとか。
世界樹自体に傷を付けること自体は出来るんだけど、神聖視されてるから試そうと思った人はいなかったみたい。
それに、もし傷がついても出てくるのは普通の樹液だったから、あくまで伝説だって思われてきた。
けど、ミーナは気になって何ヶ所か傷を付けたんだって。そうしたら、金の樹液が出てきたらしく······。
とりあえずそのままじゃ生活できないって分かったから、エルフが使うことの出来る魔法を使って服を新調。
色々調べ回って、この日本っていう国で帰り方を探そうってことになったの。
で、帰り方を探そうって思っていたら、いつの間にか喫茶店主をやってた。
私自身、何でこうなったのかは分からないんだけど······。
喫茶店のある街の人からは人気で、今は楽しいから帰るってことは私もミーナも考えてないかな。
あっちの世界には家族がいる。けど、エルフの種族は自由奔放なんだ。
私はこっちで楽しく暮らせたらそれでいいかな?
午前6時ちょっと過ぎ。
「ElF House」最初の客がやって来る。
「「いらっしゃいませ〜」」
やって来たのはいつもの常連客さん。
今日も楽しく頑張ろう!