第1話 私、エルフです!
2017年、日本。
ある町に不思議な喫茶店ができたという。
名前は「ElF House」
なんでも、店主と店員がエルフなんだとか。
本当に不思議な喫茶店である。
しかし、喫茶店側はそんな事はいざ知らず。
今日もその扉はベルを鳴らす。
* * *
朝5時。今日もしっかり起きれている。
部屋の窓を開け、空気を肺に取り入れる。
「よし!」
喫茶店の店主である私、リオの1日はここから始まる。
起きたらすぐに顔を洗って歯磨き。
日本では珍しい金色の長い髪を梳いてポニーテールにする。
朝ごはんはコーヒーとパンで素早く済ませる。私は温かいコーヒーが好みなんだ。
洗い物が終わって、洗濯物も干し終わったらお店の制服に着替える。
茶色のエプロンもしっかり着て、身だしなみはカンペキ!
その後はお店に降りて、テーブルを拭いてモーニングセットの用意をするだけ。
1時間でよく出来るねって?
そりゃ、こっちにきてもう3ヶ月になるからね。
手際良く準備が終わったら、店員であるミーナを起こしに行く。
「ミーナ。起きて〜。もうすぐ開店の時間だよ?」
布団の中でもぞもぞと動くミーナは可愛いのだがねぼすけさんなのだ。
「ほら、ミーナ? 起きないと減給だぞ?」
「分かったってば〜。起きるって〜」
と、言いながら、全く布団から出てこない。
仕方なく奥義を使う。
こちょこちょ。
「ひゃう! って、リオ! 何するのさ!」
すると、ミーナは飛び起きた。
ミーナは脇腹が弱いことをこの3ヶ月でよく知ったのです。
「ほら、さっさと起きる! 時間見て!」
時計をミーナの目の前に持ってきて時間を確認させる。
開店時刻は6時ぴったり。現在の時刻、5時45分。もう15分しかない。
「やっば! ごめんリオ。着替えてすぐ行く〜」
「ちゃんと顔は洗ってね? ご飯はこっちで用意しておくから」
「あーい」
ミーナを起こしたあとはお店に降りて、ゆったりとした音楽を流す。
「よし、今日も頑張るぞ!」
カウンターにコーヒー豆を数種類並べておく。
お客さんが気に入った豆を買っていけるようにするのだ。
「ふう。間に合った」
「毎朝ギリギリじゃん。ほら、髪」
すこし飛び出た髪をまとめてあげると、ミーナは嬉しそうにする。
「ありがと、じゃあ、シャッター開けてくるね」
ミーナが外に出てシャッターを開け始める。
喫茶店「ElF House」は今日もいつも通りだ。