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『大きな世界の樹の下で』  作者: 星乃湶
=白の国 復興編=
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第80話  ~三国協議~


 ジルの魔法で、白の国に到着した。


「おぉ!!ジル殿。」

 奥から声がかかる。


「ちょ。ジル。。。あの人って。。。」

「うん。この国の王様のガウディだよ?」


 おぃぃぃ!!!またしても、王城内にゲートを作ったのか!!!

 非常識すぎる。。。


 これで、魔王の部屋は、緑の国の王子ジョージ部屋と白の国の王の部屋に繋がったことになる。

 それもいつでも行き来自由の。。。


「あのさ。。。流石に、この部屋はないだろ?」

 ジルにそっと話しかける。

「え?別にガウディが良いって言ったしさ。便利だろ?もし王様が変わることがあれば撤去するしさ。それに、兵士達が使うゲートは別に作ってあるよ?」


 自由だな。。。まぁジルっぽいといえばそうなんだが。。。




 白の国の王、ガウディに勧められ応接セットに座る。

 もちろん僕は椅子には座らず、机の上も失礼かと、ジョージの膝の上に座った。


「ご挨拶が遅れましたが、王のガウディと申す。此度の件、心より感謝申し上げる。」

 国王はゆっくりと頭を下げる。

「スライム殿には、治癒までしてもらったな。あれから、すこぶる調子が良いのだ。毒を盛られる前よりも力が沸くような感じがしておる。なんとお礼を言ったらよいのやら。。。」

 穏やかな笑顔を僕に向けている。


「ところで、今日はジョージ殿だけかな?できれば、魔王殿にも謝罪と礼を言いたかったのだが。。。」

 そう言って、王ガウディは僕たちを見る。


「ははっ。アル?挨拶をするといいよ。」

 ジョージが僕の背中を押し、リリィがシエイラからの手みやげをそっと机に置く。


「あの。これ、魔界からのお土産です。僕はこういうことに疎くて。。。用意して貰ったので、お気に召していただけると良いのですが。。。」

 ジョージが包みを広げる。

 石や宝石みたいな物、果物や植物も入っている。


「おぉ。。。これは。。。魔石に魔宝玉。。。カブト魔草まで。。。これほどの質の品々をこんなにも。。。こちらが感謝を示さなければならない立場であるのに。。。なんと御礼を申し上げたらよいのやら。。。そうか、スライム殿は、魔界からの使者であったか。。失礼をした。魔王殿には、私の感謝の気持ちを伝えていただきたい。」

 土産物に感嘆し、そして。。。僕の事を”魔王”とは認識してはもらえなかった様子。


「えーと。。。その。。。すいません。。。僕がその”魔王”でして。。。アルと言います。。。よろしくお願いします。」

 人の勘違いを訂正するのも申し訳ないし、自分から”魔王”とか言うのもホントに恥ずかしい。


「なんと!!そうであったのか。。。知らなかったとはいえ、無礼をした。この通りだ。申し訳ない。」

 ガウディが椅子から立ち上がり、深く頭を下げる。


「いやいや。貫禄がない僕が、問題でして。。。魔王としても未熟ですし、王としての作法も分かりませんので、不作法な点は許していただけると助かります。」

 ガウディの謝罪に慌てて僕も頭を下げる。


「では、改めて、今回の件に関して御礼を申し上げる。そして、今後について、話し合いをさせていただきたく、お願い申し上げる。」


「あの。。。僕、堅苦しく話すのは苦手でして。特に、細かい話をしようとすると、上手く伝わらないかもしれないので、こんな感じで、普通にお話させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

 長く難しくなるかもしれない話し合いに、僕はきっとすぐにボロを出しそうだったので、先に断りを入れた。


「はっはっはっは。ジル殿の言うとおりのお方だな。では、私も気を少し抜いても良いだろうか?」

「ありがとうございます。その方が助かります!!」

 僕たちは、少しリラックスして、椅子に腰掛け直した。


「では、ひとつだけ。僕からお願いしてもいいですか?」

 僕が口火を切る。


「ん?なんであろうか?」

 ガウディは少し不思議そうな顔をした。


「あの。今回の件、僕たちが居合わせたのはホントに偶然でしたし、魔王軍が関わることになったのも、本当に偶然だったんです。火炎龍ファイヤードラゴンは、モンスターですし、大まかには僕たち魔界の者ですから、問題を収束もさせたかった。それに、僕は人間界生まれで、人間界が大好きなので、人間に被害が出るのは耐えられませんでしたし。ほぼ、僕たちが好き勝手にやったことなので、あまり感謝とか言われるようなことは。。。なので、これからは対等な感じで、お話をさせていただけると嬉しいんですが。」


「なんと。。。魔王殿がいなければ、この国は崩壊していたのですぞ?しからば、この国を接収する事も可能である立場。それを放棄なさるのか?」

 目を丸くし、ガウディが話す。


「え?そんな事は。考えた事もなかったな。。。あの。でも、もしそうだとしても、魔界が人間界に手を出すことはしません。魔界にしか住めない魔物もいますし、そもそも新人なんで、魔界だけで手一杯です。領地的にも十分ありますし。なので、この国は今まで通りで良いと思うんですけど。。。ねぇ?ジョージ?」


「そうですね。緑の国としては、多くの役人の捕縛により、国政が不安定になる可能性がありますから、その点は要請があれば、お手伝いを。だからといって、緑の国としても、過度な干渉はしないつもりです。まぁ、より友好的な間柄になれれば、有り難いですがね。」

 

「本当に、それでよろしいのでしょうか?属国となることも厭わないですが。こちらからは、その恩赦に対して、お返しする物が何もない。。。」

 ガウディが、首を振る。


「・・・・・。」

「国王陛下。顔を上げてください。アルの言ったとおり、僕たちが勝手にやっていることです。復興にしてもこちらから、協力を申し出ているのです。困っている方に協力して、対価を要求をするなど、あってはならない事だと考えます。たぶん、アルも同じ考えですよ。」

 ジョージは僕を見る。


「もちろんだよ。」

 ジョージの目を見て答える。

「それと、王様にお願いがあるんです。僕たち魔王軍にも街の復興をお手伝いさせていただけないかと。今回は皆さんに誤解や恐怖心を持たれないように、人間との混血者だけを集めました。人間界の言葉ももちろん話せますし、この国出身の親を持つ者もいます。慣習なども分かると思いますし。ご迷惑をおかけすれば、すぐに撤退させますので、どうかお許しいただけませんか?」

 僕は、ガウディの目をまっすぐと見て、お願いをした。


「それは。なんと。。。願ってもないことです。市街地では、その身を賭して、市民を助けてくれたと聞き及んでおります。そして、人間だけでは、力仕事にも限界がある。では、お言葉に甘え、協力をしていただきたくお願い申し上げる。」

 今日何度目だろう。ガウディが頭を下げた。


「ありがとうございます!!嬉しいです。魔界の者たちも喜びます。」

 僕の言葉を聞いて、ガウディは不思議そうな顔を一瞬見せたが、すぐに口角を上げ優しそうな目をして頷いた。


「じゃ、早速、シグナルに来るように伝えるね。」

 ジルが部屋の片隅に行き、通信を始めた。


「それから、確認をしたいのですが、街の中でも被害の大きい所は、一から建物を建てなくてはいけないと思うんです。こちらは設計などの者も連れてくるつもりですが、街の方と相談して、建ててしまっても問題ありませんかね?更地になれば、王都としての整備もできるかと思うので、王様の意向があれば、それに沿って進めたいのですが。」


「それほどの人材まで用意していただいたのですが。本当にありがたい。街の民が過ごしやすいのが一番です。安全が確保されるのであれば、民の要望を優先させていただいて構いません。」

 

「では、そのように。できる限り早く、皆さんが元の生活に戻れるように頑張ります。」

「ありがとうございます。」


 こうして、僕たち3カ国の話し合いは、終わった。



「すいません。王様、ちょっと息抜きしていいですかね。」

「ん?構わないが。。。」

「じゃ。失礼します。」


 確認も取ったし、良いだろう。


「はぁ~~~。終わった~~~~。疲れたぁ~。」

 僕は大きく息を吐き出すと、ジョージの膝の上に転がった。

「お疲れ様。アル。」

 ジョージの指がそっと僕を撫でる。


「はっはっはっは。本当に面白い。古来より聞き及ぶ”魔王”とは全く違う。今までも我々の偏見であったのだろうか?」

 ガウディは僕の姿に興味津々のようだ。

「いえ。それは、それぞれに違ったようですよ?僕は、彼が”魔王”になる前から友達だったので、こんな風に接していますが。。ですが、これだけは言えます。彼が”魔王”である間は、人間界は魔界と友好関係を結べると思います。」

 ジョージはキリっとした王子の顔で、断言した。


「そうですな。私もあの時、この身体を治して頂いた瞬間、触れたその場所から安堵の気持ち伝わり、それが拭い去れなかった。初めて見る、妙なスライムであったにもかかわらず。。。普段なら警戒して触れさせることすら、しなかったであろうに。不思議な魅力を持っておられるな。」


「あ~~~~~!!!忘れてたっぁ!!」

 ほっこりとした僕に対する二人の会話を聞きながら、唐突に思い出して、飛び起きる。


「なに?どうした?アル!!」

 ジョージが驚き、僕を支える。


「あのさ、王女様。病気だったよね?放置しっぱなしじゃない?どうしよう?忘れてたよ。。。」

 ジョージを見上げる。

「そうだったね。国王陛下。ご病状はいかがなのですか?」

 ジョージも不安げにガウディに問う。


「あぁ。あの子は死病に冒されているのであろうな?悪化の一途だ。どんな手を尽くしてもダメであった。いつ何時、何があってもおかしくないであろう。。。」

 ガウディは悲しく俯く。


「何の病気なんです?」

「分からぬのです。ですから、臣下が”龍の目”などという暴挙に出たのです。」

 静かに首を振る。


「あの。それでしたら、一つ薬を持っているんです。魔界の飲み物ですけど、ジョージやリリィが飲んでも大丈夫なので、王女様に効果があるかは分かりませんが、もし良かったら、試してみませんか?」

 僕は自分の考えに興奮して、机に乗って熱弁していた。


「そんな薬があるのですか?魔界の薬などは手に入りませんから試してはおりませんでしたが。稀少な物ではないのですか?」

 魔王が差し出す薬。。余程高価な物と思ったようだ。ガウディは、欲しいとは言い出せなさそうだった。


「珍しいみたいですけど、丁度今、持ってるんで。良かったら。」

「アル?何を持ってきたの?」

「ほら、レイマンゾの花。実は、あれ以外に摘んで来てたんだよ。」

 サラッと言う。


「また、君は。。。何も言わずにレアアイテムを隠し持ってるんだね。」

 ジョージはため息まじり、呆れながらも、いつものことと笑っていた。



「陛下。ただいま到着いたしました。軍は王城中庭にて待機させております。」

 シグナルがゲートから出てきた。

 なんというグッドタイミング!!


「丁度良かったよ。国王様、紹介しますね。この魔人が今回の司令官のシグナルです。シグナルもハーフなんで、ご安心下さい。」

「シグナルと申します。今回の火炎龍ファイヤードラゴンの件、お詫び申し上げます。国内の復興に関しましては全力であたらせていただきますので、どうかよろしくお願い申し上げます。」

 シグナルが深々と頭を下げた。

 彼の謝罪には、ウォールの家庭教師としての気持ちも含まれているのだろう。


「これはこれは。こちらこそ、今後もご迷惑をおかけする。先のご協力にも感謝申し上げる。」

 ガウディも頭を下げた。


「シグナル。あのね。ここの王女様が、治らない病気なんだって。レイマンゾの花を飲ませてあげようかと思うんだけど。。。」

「私のアレは同族に対しての力だと思いますが。」

 さすがだ。”血”とは言わずに濁してくれた。


「うん。そうだと思うけど、一応、側にいてくれると助かるかなって。いいかな?」

「分かりました。では、ご一緒いたします。」


「それでは、魔王軍をお待たせするのも悪いですし、その間に、うちの兵士と顔合わせさせてきますね。」

「ありがとう。リリィ。じゃ、お願いするね。」

「えぇ。王女様が良くなることをお祈りしているわ。」


 リリィは敬礼をして部屋を出て行った。


 そして僕たちも、王女様の部屋へ向かうことにした。

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