第41話 ~終わらない謎~
「で?魔宝玉。どれくらいの大きさなの?それによって、魔力も違ってくると思うからさ。」
「あぁ。これなんだけど。。。。」
頬袋に入れた、魔宝玉を出・・・出せない。
ん???どうした。魔宝玉。。。どこだ?
「あれ?ちゃんと頬袋に入れてたはず。。なんだけど。。。あれ?」
「無くなってはないだろ?”闇”の力は出てるんだからさ。よく探せよ。」
「でもさ。どこなんだろ?」
とりあえず、頬袋の中身を出していく。。。
《世界樹の葉》3枚と欠片、《世界樹の雫》小瓶2本、大瓶3本、《黄宝王玉》1個、《戦闘糧食》2個、《攻撃用ピック》1本、《ホセ用ハーネス》1組。
その他として、おやつやら、小銭やらの細々した雑貨が入っていた。。。が、肝心の『魔宝玉』だけが見あたらない。
「どうしよう。無くしたかも。。。ヤバイ、よね?」
青ざめながら、マロウを見る。
「ヤバイの意味が違うだろうな。。。無くしたなんて問題じゃないぞ。お前に世界樹の加護がかかってるだろ?もしかすると、その尻尾みたいに世界樹の力で融合した可能性が。。。」
「えっっえぇぇぇぇ!!!マジでヤバイやつじゃん!!!どうしよう???」」
僕は慌てふためく。
「どうしよう。。どうしよう。。。困るよぉ。。。」
その場で行ったり来たりウロウロする。
「落ち着ける内容じゃないが、ちょっと落ち着け。。。とりあえず、分かることは、いつ何時どこでも、魔王からの連絡が入ってしまうということだな。。。だが裏を返せば、こちらからも魔王に連絡が入れることができる。何か良い対策を思いつけばいいだけの話だ。。。」
そんな都合良く、良い案なんて、思い浮かぶ訳がない。。。。
「まず、整理しようか。魔王の目的は、《世界樹の葉》なんだよな?」
「うん。奥さんを助けたいって話だった。」
「それで、アルは今現在、3枚の《世界樹の葉》を持っている。これは魔王も知らない。欠片の存在は魔王も知っているが、要らないらしい。と言うことで良いかな?」
「そうだね。」
「そして、魔王は《世界樹の葉》の落葉は数ヶ月に一度だと思っていて、さらに、愛妻はその力で助かってはいるが、この次、数ヶ月先までは持たないらしい。」
「うんうん。そんな感じ。」
「なので、世界樹の辺りにうろついていたアルに目を付け、《世界樹の葉》を見つけたら連絡するように。という約束をした。というわけだな。」
「そうです。」
「ここまでが、魔王側の問題だな。ここからは、アルの意見を聞きたいんだが。。。」
「うん。何?」
「魔王は、《世界樹の葉》の落葉時期を、大体把握しているようだ。俺が”世界樹の精”をしていた時よりも、落葉の間隔が短いが、3000年という年月や葉の数が多いことを踏まえると、そういうこともあるかもしれない。」
「それで?」
「うん。そうなるとだ、君はここに来て10数日で4枚の葉を拾ったことになる。」
「1枚目はカウントしないの?」
「あぁ。重傷を負った者が世界樹に近づくと、《世界樹が認めた者》であれば、自動的に落葉し、使用されるんだ。だから、1枚目のカウントはしなくてもいい。」
「そうなんだ。」
「それでも。4枚の落葉は多すぎる。このペースで落葉すると、カルアが思っている以上に、世界樹の限界は早くなる。」
「それは。。。。」
「君としても困るよな?”世界樹の精”としての返答を突きつけられるんだから。だが今、俺が聞きたいのは、君が”世界樹の精”となりたいかということではない。」
「・・・・・。」
「この《世界樹の葉》の異常な落葉スピードが一過性のものなのか、それとも今後も続くようなものなのか。ということなんだ。君は、《世界樹の葉》を拾った時に、何か感じなかったか?」
「えーと、それは、《世界樹の葉》が落ちる2~3日前に、最後の光って感じで、ボワーと薄く光る。みたいな事じゃないよね?落葉の間隔の話だもんね。。。僕は気付かなかったな。。。」
「なんだって?《世界樹の葉》は落葉前に光りを放つのか?」
「うん。そうだよ?3回確認したから、間違いないと思うな。」
「・・・・・。そんな法則。歴代の”世界樹の精”の知識にも無かった。。。偶然なのか。必然なのか。それとも、アルが持っている4枚だけに起きたのか。。。」
「でも、落葉と落葉の間隔だって、分かんないよ?」
「そうだな。。。落葉に法則があるのならば、今後に繋げていける。対策も取りやすい。落葉の間隔と法則を確認する必要があるな。」
「でも、どうするの?マロウさんは動けないでしょ?」
「そこは、カルアに協力してもらうしか無いだろうな。。。だが、俺よりも知識の欠けた世界樹の力で、どこまでできるか。。。しかし、やってもらうしかないな。」
「どうやって?」
「そこが問題だ。”世界樹の精”は『世界樹であって、世界樹ではない。』これが真理だ。落葉に関してはノータッチだし、1000年間、ずっと起きている訳でもない。眠っている時間があるからこそ、1000年という時を過ごせるんだ。世界樹の力を使うこともできるし、次の”世界樹の精”を決める決定もできるのに、やれない、分からない事もあるんだ。」
「眠る事があるの?」
「あぁ。人間のように睡魔が襲ってくるわけではないがな。意識が無いといった方がいいだろうか。。。数分の時もあれば、数年のこともある。その間の出来事すら分からない。」
「・・・・・。」
「たぶん、カルアが君と魔王の遣り取りを知らなかったのは、この眠りの時間だったからだと考えられるな。」
「まずは上に戻ろうか。魔王のことは今は伏せておこう。要らぬ心配はさせなくていい。それから、《世界樹の葉》の件は、カルアにそれとなく探りを入れてくれ。俺の方でも文献を漁る。地下2階層のヤバイ本の中になら、俺の知らない情報でも隠されているかもしれない。」
「分かった。何か分かったら、すぐ知らせに来るよ。」
「魔王の口ぶりからすると、1ヶ月ほどは放置でも大丈夫だろう。まずは1週間後にここに来てくれないか?お互いの状況報告をし合おう。」
「うん。」
マロウの足下に魔法陣が浮かび上がる。
「おかえり。ア・・・ル???」
ジョージが振り返り目を見開く。。。
「どうしたの?ジョージ?」
みんなが僕の後ろを凝視している。。。
(あぁ。マロウさん。そのままできたからな。)
そう思って、振り返るとそこには。。。。
「うわーーー!!!何やってんだよ!マロウさん!!ちょ。離れてよ~~~!!」
そこには、満面の笑みで『サクラ』の幻影の肩を抱くマロウさんが立っていた。
「マロウ?さん???どういう事だ。。。その子は『サクラ』に似ているんだが。。。」
ジョージの声が。。。怒りモードだ。
「ちょっ。マロウさん。もうややこしいのは無しでお願いしますよぉ。ジョージこれには訳があってさ。あれ、サクラだけどサクラじゃないから。。」
「まぁ。落ち着けや。アル、説明が説明になってへん。ジョージ、『サクラ』はここにはおらへん。で、そっちのイケメンは誰やねん?」
ホセは冷静だ。
くくっ。と笑うと、ワイルドイケメンの身体が見る見る小さくなっていく。その身体には皺が刻まれ、気付けば、迷宮管理人のいつものマロウさんになっていた。
「ふっふっふっふ。驚かせてしまいましたかな?坊ちゃん。迷宮ですからな。貧弱な爺より、若いもんの方が安心じゃろうと、見た目だけでもと変えたのでございます。アルさんもモンスターの標的にならぬよう、知り合いの女の子の幻影を作りまして。。。散歩したのでございますよ。」
すっごく適当な言い訳をしている。
「そうか。そういうことならば、仕方ないのか。迷宮は危険そうだからな。。。というか『サクラ』の目覚めている姿を初めて見たが。。。。やはり僕の目に狂いはなかったな。。」
ジョージが頷きながら、サクラの幻影を見ている。
『僕の目に狂いはなかった』って。。勝手な基準を作らないで欲しい。もう、ジョージの頭の中の『サクラ』がどんな子に仕上がっているのか。。。頭をかち割って見てやりたいよ。。。
「ふっふっふ。坊ちゃんはその子にご執心のようですな。」
そしてマロウさんは楽しげに僕をチラッと見る。
僕は深いため息をつくのだった。。。
「ねぇねぇ。それで、どんな話をしたの?わざわざ二人になってさ。」
カルアが興味津々で聞いてくる。
「あ?そうだな。僕が世界樹に行ったこととか?その後のこととか?そうそう。カルアはさ。やっぱり世界樹に戻った方がいいんじゃないかって話になったから。そういうことでよろしく。」
テキトーにごまかす。
「えぇ~?もっと遊びたかったのに~~。」
カルアが涙目になる。
「カルア。”世界樹の精”の役割を終えれば、思う存分遊べますよ?あともう少しでございます。」
マロウさんが慰める。
「それでは、アルさん。1週間後にお待ちしております。それまでにお探しの本が見つかるよう努力いたしますね。」
僕たちは、図書館を後にした。
1つの謎を解くと、1つの謎が生まれる。。。僕はこの先、全ての謎を解くことができるのだろうか。。。
闇に沈みゆく夕日が、僕の今後の人生を表しているようで不気味だった。
(僕の未来は、闇に沈まないでくれよ。。。)




