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『大きな世界の樹の下で』  作者: 星乃湶
=第2部=
175/322

~狂乱の戦士  行方~


 放心状態のリリィ。


「まさか。。こんな手段に打って出るとはな。。思いも寄らなかった。。」

 僕は深いため息をつく。

「どうしたの?アル。。大丈夫?」

 何も分かっていないリリィが僕を優しく撫でてくれる。


「うん。。リリィこそ病み上がりなんだ。。無理しないで。」

「そう。。なんだかボッーとしちゃって。。まるで心にぽっかり穴が空いてしまったようなの。。変よね。。」

 力なく笑うリリィに僕は何もしてあげられない。。

「疲れてるんだよ。。。ゆっくり休んで?」

「えぇ。。ありがとう。。」


 僕はリリィにまた睡眠魔法をかけた。。

 今度はリリィの精神世界を見るために。。


「ダルガ!!こっちきて!!」

 僕はダルガを呼ぶ。

「どうするつもりじゃ?」


「うん。。リリィがどれくらいの術をかけられたのか確認しに、リリィの精神世界に入ろうと思うんだ。。ダルガの意見を聞きたいんだけど。。」

「そうじゃな。。だがシグナルはそれくらいは見越していると思うぞ?行くのは危険だと考えざるを得ない。」

「そうか。。うーん。どれくらいの術なんだろう。。」

 僕は困ってしまう。


「そうじゃな。。ワシらの記憶は残っているところを見ると。。。古代魔法の一種にその者に関する記憶だけを封印するという物があった。。ヴァンパイアは記憶操作は得意じゃからな。。古代魔法よりも優れた術の可能性もある。」

「そうか。。そうだった。。うーん。どうしようかな。。」

「そうじゃな。。まずは様子見じゃろう。。リリィがどこまで普通の生活に戻れるかじゃな。。」

「けどさ。。結婚式まであと3ヶ月。今が一番楽しい時でさ、心の中でシグナルに対する気持ちが占める割合はかなり大きかったと思うんだ。。その記憶がすっぽり抜け落ちたんだよ?大丈夫かな。。。」

「大丈夫なわけは無いじゃろう。。”マーキング”したのであろう?シグナルの動向を探っておれ。ワシは記憶操作の文献を探しながら、リリィを見ておく。」

「うん。頼んだよ。。」



 僕はダルガにリリィをお願いして、みどりの国に戻る。



 執務中のジョージを緊急として会議室へ呼び出す。


「どうした?」

 部屋に入るなり、心配そうにジョージが聞く。


「うん。。リリィが記憶を無くした。シグナルに関する記憶を。。。そんでそれを消したシグナルは行方不明なんだ。」

 僕は事の次第をジョージへ報告する。モランとジルは監獄ドルゴの封鎖に当たっている。


「そうか。。まさかそんな事をするとは思わなかったな。。あの事件の記憶を消すだけで十分だったろうに。。」

「でしょ?僕もそう思って油断してた。。まさか監獄ドルゴを脱獄できるとも思わなかったしさ。。」

 僕が溜息をつく。


「だが。。君はマーキングしているんだろう?そっちはどうなんだ?」

「うん。。まだ上手く繋がらなくて。。生きてるのは間違いないんだけど。。居場所までは。。それにあいつ無口だからさ。。全然会話とか入ってこなくて。。」

「マーキングの弱点だな。。無口では周辺情報が確かに入らないか。。まぁ少し様子を見よう。どちらにも自死禁止の術もかかってるわけだし。魔人の力もまだアルが預かっている。自暴自棄になったところで知れているだろう。」

「うん。。」

 僕はジョージの言葉に頷くしかなかった。

 どうしようもできないのだから。。


「じゃあ。僕は部屋に戻ってる。。シグナルのマーキングに集中するから、周りの事が聞こえないかもしれないからね。。帰ってきたら、声掛けて?」

「あぁ。分かったよ。あまり無理しないで。」

 項垂れる僕をジョージは優しく撫でてくれた。その優しさに自分の情けなさを感じてしまって、思わずその手に擦り寄ってしまう。。良かったスライムで。。他の身体だったら泣いてたかもしれない。。

 ジョージは何も言わず、僕が落ち着くまで、撫で続けてくれた。


 そうして、少し落ち着いたところで、僕は部屋へと戻った。



「アル?アル?」

 僕はバルコニーのロッキングチェアで身体を揺さぶられた。

「・・・ぅんん。。」

 身体がやけに重い。。首が締め付けられるほどの圧迫感。。

 寝ぼけまなこをうっすらと開けると。。

 僕は竜人姿で、首にはアリアが巻き付き、膝の上にはジョシュアが寝ていた。


「アル。。こんなところでうたた寝していたら危ないだろう?」

「あぁ。ホントだ。。ごめん。。」

 ジョージはジョシュアとアリアを抱きかかえてくれる。


「無理しないで。。」

 ジョージは竜人のおでこにチュッと唇を寄せる。男同士なのに変な感じもしない。。むしろ疲れた心が癒されるようだった。

「うん。」

 とだけ返事をして、部屋へ入る。


 ジョージが眠る双子をベッドに寝かせると、今度は僕がジョージに寄りかかる。

「ねぇ。ジョージ。。ちょっと甘えてもいいかな。。」

「ん?どうした?」

 竜人の僕の頭を撫でるジョージに僕は顔を赤らめながらお願いをする。

「男同士で変なんだけど。。僕も。。」

 最後まで言い切れなかったが、ジョージは察してくれて僕を膝の上に抱えて包み込んでくれた。


「ありがとう。。」

「余程疲れてるんだな。。いいさ。サクラの竜人だと思えばね。。僕も君が足りてなかった。」

 ジョージは優しく僕の頭を抱え込むようにして、髪を撫でてくれる。

 腕の中はジョージの匂いと暖かさで僕を癒してくれる。


「ところで。。サクラにはまだ戻れそうもないのか?」

「うん。。上手く行ってたら、もう戻れてたんだろうけど。。いろいろ失敗続き。。上手く行かないね。。マーキングも万が一の保険くらいに考えてたんだけど。。ここまで目一杯に使うとは思わなくて。。ごめん。」

 僕はジョージの優しさに甘えながら、それを申し訳ないとも思い謝る。


「いや。いいよ。。リリィとシグナルの事はなんとしてでも解決したいのは僕も一緒さ。。ただ。。これだけサクラと離れているとな。。サクラに戻ったときは、覚悟しといて。」

「それは。。その。。」

 ジョージの言わんとする意味に、僕は全力で顔を紅潮させてしまった。

「はっはっは。君が顔を赤らめる必要はないだろう?恥ずかしがるべきはサクラなんだから。。」

「もう。。ジョージ。。」

「ははっ。かわいいな。。見た目はサクラの竜人と一緒だからな。このまま襲ってしまいたい気分だ。」

 困り果てる僕をさらにからかうジョージに、僕は慌ててスライムに戻る。


「あれ?もう戻るの?君から甘えてきたのに。」

 ジョージはいつものいたずらな笑顔を浮かべ、僕をつつく。

「だってさ。。ジョージがからかうから。。」

「ごめんごめん。少しは落ち着いた?」

「うん。。。ありがと。」

 ジョージはにっこりと微笑み、僕を痛いほどに強く撫でてくれた。心が疲弊した今の僕にはその力強さが心地よかった。


 

 そして3日後。魔王城のジルの部屋にみんなが集まる。

「それで?それぞれの報告を聞こうか。。」

 僕が口を開く。


「まずは俺からだな。。この度は”脱獄”を許すなどという失態を侵し、大変申し訳ない。。この命をもって詫びても済まないだろうが。。監獄ドルゴに関しては、綻びはシグナルの部屋だけだった。修復も完了している。脱獄ルートに関しては未だ判明していない。。誠に申し訳ない。」

 モランが深々と頭を下げる。


「いいよ。。たぶん僕がこじ開けたのがいけなかったんだ。。正規に扉を入らなかった僕のミスだから。。あと、何度も言うけど、失敗したからって命はいらないからね。」

 僕は反省しきりのモランへ返答する。


「じゃあ、次はワシじゃな。。リリィはあれから、気力が抜け落ちたようになっておる。食事と睡眠はとれておるが。。一日、外を見て過ごす程度じゃな。。やはり人の気配には未だ敏感でな。。ソフィアが専らの話し相手じゃ。。ソフィアに探らせておるが。。シグナルの記憶だけがすっぽりと抜け落ちていることは間違いない。。」

 ダルガが大きく息を吐いて話しを終える。


「うーん。そうか。。じゃあ、僕の番だね。。シグナルの行方か。。今のところ人間界にいるよ。。様子を窺うに。。人間として暮らし始めてるみたいだ。。これは僕のワガママなんだけど。シグナルはリリィの為を想って身を引いたと思うんだ。。だから。。少しだけ僕に時間をくれないかな。。少し様子を見させて欲しいんだ。。」

「アル。。。それは、シグナルの居場所も言えないということか?」

「うん。。もう少しだけ待って。。」

 ジョージは腕を組み、僕の言葉に目を瞑る。



 バターンッ!!!


 扉が勢いよく開き、怒鳴り声と共にドラキーが入ってくる。

「もうっ!!人使いが荒いダロ!!」

 ドラキーがぷんぷんと怒りながらアルの元へ来る。その後ろには。。妖しい程に麗しい妙齢の美女。。


「おい!ソルア!!僕は手駒に使えそうなヤツをスカウトして来いって言ったんだぞ?そんな美人の女の子をスカウトしてどうするんだよ!!」

 僕はドラキーに物申す。だが返ってきたのは意外な言葉。。


「分かってるダロ!!こいつモンスターダロ!!よーくオーラを読み取ってみるダロ!!」

 ドラキーが地団駄を踏んでぷりぷり怒る。。まぁ、僕はこのドラキーの怒る姿が結構好きなんだ。もう少し怒ると勢い余って転がる事もある。。かわいいよな。。

 そんな事を思いつつ、美女をよーく見ると。。。


「ホントだ。。え?元は何?」

 僕を始め、部屋中の者達も同じように思っていたのだろう、美女を射抜くほどに見つめている。


「私。。迷宮30階層のマミーキングです。」

 美女がドレスの端を持ち膝を少し折り曲げ、艶っぽく挨拶する。


『え~~~~!!!』


 僕たちは声を揃えて驚いてしまう。。


「いや。。あのマミーキングだろ?ホントにあいつなのか?」

 マロウが口をぱくぱくとさせながら、ジョージを見る。

「あ。あぁ。。。あのマミーキングなのか?」

 ジョージもいつになく目を見開いて驚いている。


「ふふっ。あなたには2度ほど負けておりますね。強い殿方は好きですわ。」

 首を傾け妖艶な笑みを浮かべて、ジョージを見る。


「ちょっ。。やめてよ。。ジョージは僕の旦那さんだから!!」

 僕が慌てて間に入る。

「ふふっ。雄のスライムと結婚なさってるの?変わった趣味をお持ちなのね?」

 バカにしたような目で僕を見下す。

「違うよ!!!スライムは変化へんげした姿で!!ホントの僕の姿はすっごいかわいい女の子なんだ!!」

 僕は鼻息荒く抗議する。なんとなく理由は無いけど。。苦手だ。


「アル。。。下らないことより、話しを進めないか?」

 ジルが呆れかえったように深い溜息をつく。


「あっ!!そうだ。そうだった。。全くもう。。」

 僕もドラキーのようにぷんすかと怒りながら席に戻る。


「じゃあ。ちょっとめんどくさいけどみんなを紹介することにしようか。。」

 ジルが本当に言葉通りめんどくさそうに、僕たちをマミーキングに紹介した。


「まぁ。。この中で一番弱そうなスライムが一番強いの。。。不思議ね。。」

 マミーキングが目を丸くする。


「そうだっ!!魔界で一番強いのが僕で!!そんで、人間で一番強いのが僕の旦那さんのジョージなんだっ!!」

 僕は何故かムキになって強めにマミーキングに言ってしまう。


「ふふっ。アルちゃん。どうしたの?そんなにムキになって。。アルちゃんらしくないわね?サクラに戻れないからって、マミーキングの美しさにヤキモチでも焼いてるの?」

 シエイラが楽しそうに僕を見る。

「そっそんなんじゃない!!そんなんじゃ無いけど。。。」

 僕は思わず口ごもる。


「アル。。心配すんな。ここだけの話し。ジョージはマミーキングが苦手なんだよ。生理的に苦手なんだと。戦いすら逃げる程にな。だから、あの美女も迷宮でのマミーキングを想像してジョージには嫌悪感しか無いはずだ。」

 マロウがこっそりと、だけど面白がるように僕に耳打ちする。それを聞いて僕はジョージを見ると、彼の目線はずっとマミーキングから逸らされていた。

 それでもやっぱりなんとなーくモヤモヤして。。僕は竜人になり、ジョージの膝に乗る。


「アル。。どうしたんだ?」

「なんでもない。」

 僕は口をとがらせながら、ジョージにしがみついていた。


「とりあえず。。話しを進めよう。。」

 ジルが口火を切る。


「で、どうするダロ。。僕が結構がんばってスカウトしたのに、こいつを使わないのか?」

 ドラキーが僕を見る。

「だってさ。。僕の予定では。。シグナルの監視に使いたかったんだよ。。そんなに美人だと。。違う心配が増えるだろ?」

 僕はまだふて腐れたような態度をとってしまう。


「シグナル?・・・シグナル。。」

 マミーキングはブツブツと小さく呟いていた。

「どうしたダロ?」

 ドラキーがマミーキングを覗き込む。


「んんん。。ドラキーキングよ。”シグナル”という者について何か。。思い出しそうなのです。。ちょっとお待ちなさい。。」

 そう言って覗き込むドラキーを牽制して、また考えこみ始める。

 

「あのさ。。結構待っても出てこないじゃん。。本当になんか思い出しそうなの?」

 僕は突慳貪に質問する。


「もちろんです。。ただ。。迷宮で死んでから、時間も経ってますし。。ドラキーキングが来るまで自我すら忘れていたのです。。ドラキーの力で最低限の自我は取り戻しましたが。。。」

 なおも考えこむマミーキングに痺れを切らして、「もう。。めんどくさい!!」と僕は力を使う。

 

 僕がパシッと叩いた肩がキラキラと輝く。

 マミーキングは「あっ。。。あっ。。。」と目を瞬かせる。


「思い出したか?」

 僕は腕組みをして彼女を睥睨する。


「え。。。えぇ。。思い出したわ。。。」

 マミーキングが惚けたように呟いた。

「で?」

 僕はオーバーに聞く。


「えぇ。。私。。ヴァンパイアだったわ。。」

 彼女の告白に皆が息をのむ。


「だから。どうなの?」

 僕は急かした。


「私は。。ヴァンパイアで。。医者で。。シグナルとは腐れ縁。。というかお互いの遊び相手?ってところだったかしら。。」


「・・・え?・・・・えぇ~~~!!!!!ダメじゃん!!!一番ダメなヤツ連れて来てんじゃん!!!ソルア何やってんの!!!」

 僕はソルアの両肩を持ち、全力で叫ぶ。

「はぁ?知らなかったダロ!!!てか、マミーキングの記憶を呼び起こしたのはアルダロ!!僕はアルが言ったような能力持ちを探してきただけダロ!!」

 ソルアも僕の言葉に全力で抗議をする。


「まぁまぁ。。。二人とも。まずは話しを聞こうよ。ね?」

 ジルが僕とドラキーを肩を持ち、溜息混じりに宥める。


「マミーキング。。僕たちは”シグナル”の友人なんだ。君がシグナルの害悪になるのであれば、また迷宮に帰ってもらうことになる。それを踏まえた上で、話しをしてくれ。」

 ジルが真剣な面持ちで彼女に話す。


「えぇ。構わないわ。どうせヴァンパイアに戻れる事はないし、ヴァンパイアに固執してるわけでもないもの。。。そうね。。どこからがいいかしら。。」

 マミーキングは思案しながら、ゆっくりと語り始めた。



---まずは。そうね。。。


 彼とは幼い頃に出会ったわ。。

 

 幼いとは言ってもそれは魔物としてね。。彼が確か20歳くらいだったかしら。。

 私はその頃、もう50歳くらいね。。ま、見た目はこの通りよ。。全盛期を保ったまま変わらないから。


 私はもう”医者”を生業としててね。。その関係で彼を診たのよ。


 ヴァンパイアの”医者”はね。。人間の医者とはちょっと違うわね。。時代も随分と前ですしね。。

 人間でいうところの”魔女”に近いかしら?もちろん病気や怪我を治すところは一緒だけれどね。。

 

 彼は初めての恋をしたみたいね。

 相手の彼女は妖精族でね。。。

 始めは上手くいっていたらしいわ。


 けれど、ある日。。

 彼女達の住む隠里が妖精狩りに遭ったの。

 シグナルも駆け付けたそうだけど。

 間に合わなくてね。。。


 瀕死の彼女を連れて、私のところに来たわ。。


 助からないことは誰の目にも明らかでね。

 それでも、と懇願してきたわ。


 私にできることは、彼女を苦しませないことだけ。

 だから命を絶ったの。私の手でね。


 それは、他人から見たら分からないことよ。


 シグナルもまさか私が介錯したとは思ってもいないでしょうね。


 まだ若いシグナルはまだ魔人となることもできなかったけれど、その悲しみから、力を暴走させ始めて。


 手に負えなくなる前にと、私は彼の妖精に関する記憶を消したわ。

 そして、その妖精の魂は私が食べたの。


 それが、シグナルの父であった族長の指示だったから。


 なぜって。。。

 妖精の彼女とシグナルには、魂の繋がりがあったらしいわ。

 そうなれば、(つがい)となることはほぼ決まりね。しかも、妖精であれば肉体が死んでも魂は確実に残るでしょう?


 魂が新たに輪廻するには、自然に任せれば、500年から1000年はかかる。

 次期族長候補のシグナルには、後継が必要。ヴァンパイアの寿命が500年から800年。族長となるような上位のヴァンパイアでも1000年よ。。

 そう考えると。。もしも1000年後に彼女が生まれ変わったとするならば。。後継者作りは無理でしょう?

 だから断ち切ったの。。繋がりを断ち切れば、新たな伴侶を探すことも可能だから。。。


 そして、魂の繋がりを消すために、妖精の魂は私が食べて、彼の記憶も消して。。


 それからしばらくは、何か心に穴が開いたみたいになってたわね。

 シグナルはそれがなぜだか分からないでしょう?

 だから、私が慰めてあげたのよ。

 それは、族長からの指示でもあり、医師としての役割でもあったから。


 そのうちにシグナルは強さを求めて魔界に行くようになって。。

彼が100歳を超えた辺りで私とは疎遠になったわ。


 魔界で、魔王軍に入ったと伝え聞いて。彼の兄も能力的には高かったから、族長はシグナルの兄にその座を譲ったわ。。

 シグナルはその時の関係で、多少記憶に関して、差違が生まれていたから。。族長としては。。完璧に近い者を選ぶのは当然の結果だったわ。。


 それからは良く分からないわ。。ヴァンパイアの医者は命が短いのよ。禁忌の術も使うから。。本来の真面目な者なら、その命を全うするんでしょうけど。

 私ってほら、ワガママだから。。力も残ってる間にと、400歳の誕生日にね。転生したの。

 ちょうど、いいエルフの女の子が手に入ったから。


 で、ヴァンパイア族とはそれっきり。


 本来、ヴァンパイア族の医者が転生をするのには、族長の許可が必要なんだけど。ヴァンパイア独自の知識や術なんかもあるから。。

 でも私は縛られるのがイヤで、こっそりと秘密裏に転生を行ったから。逃げるように、人間界で暮らして、肉体が限界を迎えるとまた転生をして。

 そして面白そうな迷宮を見つけて、遊び半分に入ったのが運の尽き。


 こんな感じよ。---



 静かに話しを終えたマミーキング。。


 僕はようやく彼女に対しての嫌悪感が分かった。。妖精の魂を喰ったり、禁忌の術やなんかで、魂が変異してるからだ。。それに対しての拒絶反応だったんだな。。


「じゃあ。君はシグナルには使えないな。ヴァンパイアとしてもマミーキングとしても面が割れてるから。。。リリィにも流石に会わせられないし。。」

 僕は考えこんでしまう。。

 かなり有能な知識を有していそうなんだが。。記憶操作に関しては、シグナルに綻びが無いところを見ると、たぶん彼より優秀かもしれない。。けど。。リリィを診てもらうワケにはいかないよな。。

 族長の指示だとか医者としての役割とか言ってるが。。。関係はあったんだし。。


「ねえ。私も話しをしたんだから。。シグナルに何が起きているのか聞いてもいいかしら?」

 マミーキングが流すような目で僕を見る。


「あ。あぁ。。。そうだな。。。シグナルには婚約者がいてさ。その彼女がちょっとした事件に巻き込まれて。。シグナルが彼女の記憶を消して、姿を消したんだ。。。ま、それでシグナルの偵察をしてくれる人物を探してたってわけ。。人間界も魔界も、優秀なヤツはみんなシグナルに知られてるから。。新顔が欲しかったんだ。」

 

「術で姿を消せばいいじゃない。」

 マミーキングが不思議そうに首を傾げる。


「残念。。シグナルは最近魔人として覚醒したから。不自然な術を見れば気付くよ。。まぁ。魔人の力は今は僕が預かってるけども。。たぶんそれくらいは見抜ける。。だから自然体で近づける手駒が欲しかったんだよ。。」

 

「ちょっと待って。。魔人として覚醒とか。。その力を預かるとか。。一体何が起きてるの?その"婚約者”というのはそれほどの存在なの?」

 マミーキングがジョージの膝の上の僕の胸ぐらを掴んで勢い込んで聞いてくる。。ジョージはやはり苦手なのだろう。目一杯身体を反らしていた。


「ちょっ。。危ないだろ?気をつけろよ。。リリィとシグナルは本当に仲がいいんだ。。お互い一目惚れするほどに。」

 僕はマミーキングの手を払う。


「ごめんなさい。。でも。。。ねぇ。私が死んでからの月日がどれ程経ったのかが分からないから聞くけれど。。シグナルは今、何歳なのかしら?」

 マミーキングは真剣な顔で僕に聞く。


「えーと。。そう言われると正確には知らないな。。。ダルガさん知ってる?」

 僕は前魔王ならばと聞いてみる。

「ワシも正確には知らんな。。お前らが聞いた1500年以上生きてきた。という程度と同じじゃ。。」

 ダルガが申し訳なさそうに答えた。



「そうなると。。。ねぇ。。その”婚約者”に会わせて?遠目でも構わないわ。。お願い。。」

 マミーキングが思い詰めた顔で僕に懇願してきた。


「どういうこと?意味が分かんないんだけど。。」

「一目惚れでそこまで惹かれ合ってるんでしょ?それって。。”番の魂”かも。。私は転生を何度かしたの。。それに迷宮では一度死んだわ。。その時間差を考えて。。もしかしたら、私が食べた魂が漏れて。。妖精族の魂が生まれ変わったのかもって。。もしそうだとするならば。。シグナルの判断は危険だわ。。」

 

「それはどういう意味で?妖精族の彼女が生まれ変わってリリィになったのならば、元の鞘に収まったということだろう?それがなんでシグナルの術に関係してくるんだ?」

 ジョージもようやく参戦する。


「魂の繋がりがあるのならば、記憶操作は愚策なのよ。。二人の記憶が他人によって同じように消えていれば、また一から紡ぐ事ができるでしょう?けれど。一方だけが無理矢理に記憶を消されれば。。それも当人によって。。魂全てで惹かれ合ってるの。。記憶が残っている方の想いで、必ず消された方が引っ張られるようにして動いてしまうわ。。もしもどちらかが”死”でも望もうものなら。。お互いにそれを叶えようとしてしまう。。記憶を消さなくてはならないほどの事があったとするのならば。。。可能性としては高いのではないの?」


 マミーキングの言葉に、皆が思い当たることばかりで沈黙してしまう。


「アル。。リリィに会わせてみるダロ。。」

 ドラキーが悩ましげに僕を見た。

「うん。。そうだね。。」

 僕は仕方なく頷いた。




「マミーキング。。リリィは人に対してかなり敏感になってるんだ。。会えない時はそっと覗くくらいだよ?それでもいい?」

 僕たちはジルの部屋を出て、"魔王部屋”へ向かいながら話しを続けた。

「構わないわ。。その存在が近付けば、あの妖精の魂かどうか分かるから。。」

 

「じゃあちょっと。。ここで待ってて。。様子見てくるから。。」

 僕はそっとスライムになり、音もなく水槽に近づく。


「ねぇねぇ。」

 僕はコソコソと魔人魚(セイレーン)に話しかける。


「あっ!アル。。おかえり~。」

 僕のコソコソ感とは打って変わって、いつも通りの脳天気なソフィア。


「え?ちょっ。。声大きいって。。リリィに会いに来たんだよ。」

「え?リリィいないけど?」

「え?」

 僕とソフィアで話しが噛み合わない。。


 とりあえず、ソフィアを連れて、応接に行く。


「ソフィア。水槽を離れられるんだね。」

「うん。リリィのおかげ。」


「それで。リリィは何処行ったか分かる?」

 僕は魔人魚(ソフィア)に聞く。

「散歩だよ。。少し身体を動かしたいからって。。そこにあった細剣(レイピア)を持って出掛けたよ?」

「え?レイピアなんてどうしたんだろう?」

「え?」

 先程の遣り取りのように僕とソフィアの間で?だけが付く。


「リリィの細剣(レイピア)じゃないのか?」

 ジョージに聞かれるが、あれは僕が預かったままだ。。

「これ。。あの時のシグナルから取り上げたヤツ。」

 そう言って、口からレイピアを取り出す。


「なら、リリィが持って行ったのは誰の?」

 ジルが不思議そうに聞く。

「ここには武器なんて置いてなかったぞ?」

 ダルガも首を傾げる。

「だが、持って行ったんだろう?」

 マロウが魔人魚(ソフィア)を見る。

「うん。。間違いないよ。柄のところに素敵なバラのレリーフがあってさ。。オシャレだったから、てっきりリリィのだと。。」

 ソフィアも困り顔。


「ん?ちょっと待って。。それって。。」

 僕はふとひらめいて、思念を飛ばす。


(アンスウェラー。。聞こえる?ねぇ。アンスウェラー。。)

(お?アルか?困ったことになった。)

(もしかして、リリィと一緒?)

(そうなんだよ。。お前に会いに行ったら、リリィに見つかっちまって。。慌てて細剣(レイピア)変化へんげしたのが間違いだった。)

 声の主は相当焦った感じがしている。


(良かった~。助かったよ。。今、どこ?魔界?)

(いや。。これ、人間界だな。。詳しい場所までは。。これで分かるか?)

 そう言って、座標が送られてきた。


(え?そこなの?)

 僕は座標を見て驚きながらも安心する。

(どうする?)

 アンスウェラーからの問いに、僕はお願いをすることにした。


(ちょっと、様子を見たいんだ。。リリィと暫く一緒に行動してもらえる?アンスウェラーってバレないように。。もしもの時はもちろん全力使ってもいいからさ。守って欲しいんだ。)

 僕のお願いにアンスウェラーは、嬉しそう。

(本当だな。。これはお前からの”めい”だからな。もしもが起きてくれた方がおもしろいな。)


(もしもの時だけだぞ?お前が暴れると、遣り過ぎになるから。。気をつけてくれよ?)

(分かってるって。ほどほどに。だろ?任せとけって。)

 太鼓判を押してくるが。。。それが一番危ない。。マジで規格外の強さだから。。

 だが、これ以上の隠密はいないな。。


「まっ。いいっか。」

 僕は満足げに通信を終える。


「誰と話してたの?」

 ジルが当たり前のように思念通信に気付いて話しかけてきた。


「あぁ。細剣(レイピア)はアンスウェラーだった。たまたま、僕を探しに来て、リリィに見つかったらしい。あいつが一緒なら、安心だ。」

 

「聖剣アンスウェラーか。。だが、リリィは何処に?」

 ジョージが心配そうにしている。

「あぁ。場所は。。まぁ。リリィの事もシグナルの事も様子を見よう。。”マーキング”もしてるし。。もう少しだけ僕のワガママ聞いて?・・・万が一の時は、瞬間転移できるから。。」

 僕はみんなの顔を見た。。


「ま、いつも通り”なんとかなるさ”って思ってるんだろうけどさ。。いっつも連絡がギリギリなんだよなぁ。今回こそは早めに連絡するって約束してくれる?」

 ジルが困ったような呆れたような諦めたような。。複雑な表情で僕に聞いてくる。


「へへっ。いつも僕のワガママで、迷惑かけてすいませんね~。そこまで理解してくれてるんなら、今回もよろしく~。」

 僕は重い状況を振り払おうと、努めて明るく振る舞う。。


『はぁ~~。』

 みんなからは大きな溜息が聞こえたが、反対はされなかった。。

 まぁ。ジルの言うとおり、いつものこと。だからかな。。



 そして僕たちは、それぞれ思念が繋がるメンバーの為、僕との繋がりをいつもより強化してもらい、万が一の際は、ソッコーで対応してもらう約束を取り付けて、別れた。



「アル。。。こんなことは言いたくないんだが。。」

 みどりの国の部屋に戻るとジョージから苦情が来た。

「なに?」

 言いたいことは分かってるが一応聞いてみる。


「なんで、マミーキングが一緒なんだ?」

 人を嫌う態度を見せないジョージが全力でイヤな顔をしている。。なんだか新鮮で僕は心の中で笑ってしまった。


「だってさ。連れてきたのはソルアだし。。マミーキングとは思念繋げられないじゃん。。一応、変化へんげは続けてもらって。マミーキングの姿にはならないって約束したじゃん。」

「納得できない。。」

 不満そうなジョージ。

「仕方ないダロ。。マミーキングは僕の部屋からできるだけ出ないようにしてもらうダロ。。」

 ソルアも呆れ顔。


「どうして?そんなに”マミー”が苦手?」

 マミーキングがそっとジョージの頬に向けて手を伸ばしたのだが。。その手がうっすらとマミーに戻り、包帯がひらひらと見え始める。


「うわっ!!約束が違うだろ!!」

 ジョージが飛び退く。。


「ぎゃはははは。。ジョージに苦手なモノがあったんやな。。おもしろいやん!!」

 いつの間にかホセが来ていた。


「ホセ。。アルキアの姿じゃないんだ。。ジョシュアとアリアは?」

 僕はジョージとホセの遣り取りを放っておいて、双子の心配をする。

「あぁ。二人ともオウムの姿の方が喜ぶんや。。遊び疲れてぐっすり眠ってるわ。。」

 とベッドを差すと、確かに二人ともすやすやと眠っていた。



 僕たちは応接に座り、リュウセイとハクゼンさんが用意してくれた軽食を食べながら、古代竜神(アルキア)時の神(アルティミナ)とみどりの国の前国王ジョセフに今回の件を伝える。


「ならば、アル君はあの二人の未来をどう描いておるんじゃ?」

 ジョセフは静かに優しく、だが為政者としての威厳も込めて僕に聞いた。


「うん。。できるならば。リリィの記憶は戻らないかも知れないけれど。。もう一度。二人に時間を持って欲しい。未来は。。分からないけれど。。」

 僕は本音を吐露する。。


「そうか。。」

 ジョセフが言ったのはそれだけだった。。どういう意味だったのかも僕には分からない。否定なのか肯定なのかも。。だが、僕の行動を止めることはなかった。



 それから1週間。僕は二人の行動を見守った。。。





---リリィは美しい魔界の銀世界を見ていた。


 なんだか、何かが足りなくて。放心状態。何もやる気が起きない。。ただ時間が過ぎていくだけ。。

 けれど、何かに引かれるように。。どこかに行きたかった。。


 バルコニーに目を向けると、アルには似つかわしくない玉座。

 ダルガが使っていた物をそのまま使っているという。


 その上に美しいレリーフの細剣(レイピア)があった。


「私の細剣(レイピア)ってどうしたのかしら。。」

 リリィは呟きながら、玉座のレイピアを持つ。


 とても軽く美しく。。思わず鞘から抜いて一振りする。

「まぁ。羽根のようだわ。。」

 久しぶりの感触に少し気が晴れたような気がした。


「ここにあるんだから、アルのよね。。少し借りてもアルなら。。」

 リリィはアルならきっと怒らないだろうと踏んで、ソフィアの元へ行く。


「ねぇ。ソフィア。。少し身体を動かそうと思って。。アルが来たらそう伝えてね。」

 久しぶりの笑顔にソフィアは疑念も抱かない。

「うん。分かった。」

 

 リリィは少し申し訳なく、バルコニーへと向かう。。

 外の冷たい空気を肺一杯に吸い込んで、魔法陣を描く。。



 そして、潜った先は。。世界樹の元。。。


「いつ来ても美しいわね。。。」

 新緑の世界樹を見上げて、その幹を撫でる。


「私はどうしたらいいのかしら。。あてもなく来てしまったわ。。」


『リリィ様?どうなさいました?』

 五行の精がリリィの独り言に返事をする。


「ごめんなさい。独り言よ。。」

『今日はどのような御用向きで?』

「ちょっと気分転換。。散歩しに来たの。。じゃあ、ちょっとその辺りを廻ってくるわ。またね。」

『いってらっしゃいませ。』

 リリィは慌ててその場を後にする。アルに見つかればすぐにでも連れ戻される。。

 気分転換したいというのは偽らざる気持ちだったから。。



 リリィはサチのいる村やカッツェ村とは反対方向へと歩き出す。

 これ以上”アル”の関係者に会ってはいけないと思って。。。



 1時間は歩いただろうか。。小さな村が見えてきた。子供達が遊んでいる姿が見えた。

 リリィはその村を避けるようにして背を向ける。



 暫く進んだところで、目の前を掠めるように龍とすれ違い、それは飛んでいった。。水龍ウォータードラゴンだった。

 直後、後方から絶叫が聞こえる。


「村が。。襲われた?」

 リリィの顔は青ざめ、踵を返す。

 全力で走るとほどなく、先程の村が見えてきた。。龍の水だろうか、地面が濡れていた。


「助けてっっ~~!!」

 小さな男の子の真上に水龍ウォータードラゴンが迫っていた。男の子は恐怖のあまり、転んだ身体を起こすこともできず、襲いかかる龍を見上げるのみ。


「あぁぁぁっぁぁぁぁぁ!!!」

 リリィは咆哮してレイピアを抜きオーラに身を包みながら、男の子と水龍ウォータードラゴンの間に滑り込んでその牙を受け止め、渾身の魔力弾をその口に撃ち込む。


 グハァァァァァッ!!


 水龍ウォータードラゴンは思いもかけない反撃をまともに喰らい、一瞬動きが止まる。

 だが、リリィの力量では龍相手にはここまでが限界。


 怒った水龍ウォータードラゴンがリリィと子供を敵と見定め、その大きな口で噛み殺そうと牙を向け、彼女は咄嗟に子供に覆い被さり全力で防御結界を張る。目の前の水龍ウォータードラゴンは大型種。力負けは必死。ならば子供だけでも助けようと。。


「ごめん。。ダメかも。。」

 小さく呟き、子供を抱きしめる。二人は目を瞑り、その攻撃が当たる衝撃を覚悟した。。


 だが。。龍の攻撃が来ない。。


 リリィは恐る恐る目を開けると。。。


 彼女の前に一人の剣士。。そしてその青年が水龍ウォータードラゴンの攻撃を受け止めていた。


「逃げろ。。この獲物は俺のだ。」

 青年はそれだけ言うと、力任せに大剣を振り抜く。。


 グギャァァァァァァァッ!!!


 水龍ウォータードラゴンが絶叫をあげながら、吹き飛んだ。。青年はそれを追って、もう姿が見えなくなっていた。。


「すごいわ。。。」

 リリィは子供を抱きしめたまま、座り込む。

「お姉ちゃん。。ありがとう。。」

 男の子の声で、リリィは我に返った。


「うん。良かったわ。。私、龍を見てくるね。それじゃ、気をつけてね。」

 リリィは心ここにあらずに男の子に返事をして、走り出す。



 ぼさぼさの髪で、分厚い瓶底のような眼鏡をかけた青年。。

 とても強そうには見えないが、体躯に合わない大剣を振りかざし、水龍ウォータードラゴンを力任せに振り抜ける力量。。

 賢者であり剣士でもあるリリィでさえ、底が見えないと思った。。


 だが。。それよりも。。何よりも。。


 ほんの数秒。。僅かな時間だけしか見なかったのに。。

 その声に。その姿に。その剣技に。。魅了されてしまった。瞬きも忘れ時が止まったように、彼を見てしまった。。

 胸がざわつき、彼を追わなければと本能で思った。。




 リリィは水龍ウォータードラゴンの叫び声を目印に、彼の元へと全力で駆けて行くのだった。



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