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音のない音楽室で  作者: ku-ro
19/26

図書館

テスト前になりクラブ活動はできない。上條の携帯に原からメールが届いた。

「いつものように図書館に行くんですか?」

上條が「明日は行くよ」と返信すると、

「小谷と一緒に行っていいですか」と返ってきた。

次の日の放課後、大木と上條は自転車置き場に向かった。

「お父さん大丈夫?」

「まあ、今は自宅療養やから」

歩いていくと二人が立っていた。

「じゃあ行こっか。どっちか後ろに乗ってー」大木が言った。

「原、自転車こいで」上條が原に自転車を渡し自分は後ろに座った。

小谷は大木の後ろに「すいません」と謝りながら座った。

大木と上條はこの期間は学校の帰り道にある図書館に行っていた。特にそこでテスト勉強するわけではなく、適当な本など読んで時間潰しをしていた。

「別に図書館で何もしてないけどいいの?」

原はもう二人が音楽室には来ないと思っていた。まだ機会があるならもう少し同じ時間を過ごしたくなっていた。自分だけ行くのも考えようなので小谷を誘った。小谷も図書館なんて小学生以来行ってないので少し気になった。目の前で大木が自転車をこいでいる。先輩という立場を感じさせない、後輩の僕が後ろでいいのかなっと思うが、大木の人柄を小谷はもう知っていた。

上條と原が楽しそうに話している「なんで図書館行くようになったんですか?」

「かわいい女の子に声かけられへんかなーって思ってやん」

大木が上條を誘いテスト前だけは図書館に行くようになった。意外に雑誌や読める本が置いてあり、上條もつきあいでついて行っている訳ではなかった。

「あー楽やったわー」

到着するなり上條が言った。自転車を置き図書館の中に入った。大阪にある図書館の中では大きいほうである。静まりかえった館内で空席を見つけて、鞄をおいた。原は上條についていこうとしたが、鞄を置くなり読みたい本を決めていたのかどこかに行ってしまった。大木の後をついていくとCD貸し出しコーナーだった。

「CD借りれるんですね」

「そうやねん。お金いらないからいいよー」

大木と二人でCDを見ながら、おすすめのアーティスト、持っているCDなどの情報を交換した。小谷は館内をまわった。ほとんどが文庫本。読書はほとんどしない。何か読みたい本がないか探していると、小説「宮本武蔵」を見つけた。親が宮本武蔵のマンガを持っているので読んでいた。小説ではどうなのかと気になったので第一巻を手にとり席に戻った。席には上條が座っていた。

「なに持ってきたん」

「宮本武蔵の小説です」

「へー雑誌やないんや。真面目やなー」

小谷は上條が読んでいる本は何かと見てみると、英語の表紙が見えた。一言言おうとしたら、大木と原が戻ってきた。二人とも音楽雑誌を持っていた。

「色々ありますねー」原が驚いたように呟いた。四人は席に座り、それぞれの本に目を通した。

「大木さんとかは勉強しないんですか?」

「ここではしないよ」

原は大木は真面目で勉強熱心なイメージがあったので意外だった。原は席に座り雑誌に目を通してると、上條が英会話の本を読んでいるのに気づいた。

「上條さん英会話の本何か読んでどうしたんですか?」

小谷も気になったとこだった。

「テスト勉強やん、英語やばいねん」

「普通は文法とか勉強するんじゃないんですか」

「まー英語に慣れるということでいっしょてちがう」

「まーそうかもしれませんけど」

納得できたようなできないような思いだがこれ以上は言わなかった。雑誌を交換したり、本を選び直したりと静かな時を過ごした。

「小谷、ずっと小説読んでたなー」

「はい、マンガと同じ内容だったので」

みんなは図書館をでて駐輪場に着いた

「おまえら歩いて帰れよー」

「すいませーん。お願いしまーす」原は上條の自転車に乗り、上條は後ろに乗った。小谷は大木の後ろだったので、すこしほっとした。

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