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音のない音楽室で  作者: ku-ro
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音楽室

初めて書いている小説なので読みにくいとこ(誤字脱字)があるかもしれませんが、ご了承ください。

 (ガチャ)音楽室のドアが開いた。小谷は緊張している。

入学して3週間、真新しい紺のブレザーにネクタイ。まだ中学生ぽさがのこっている。

顧問の戸口先生がまず入った。その後について入る。

二人の男子生徒が窓際の席でしゃべっていたが、二人の視線がこっちに向いた。

「朝話した入部希望の小谷君。」

「あっ小谷です。よろしくお願いします。」頭を下げたあと目線をあげた。

クラッシック音楽が流れているが小谷は聞く余裕もなく耳に入ってこなかった。

二人が立ち上がり

「大木です。」 「上條です。」

「この二人は三年生。あと一人、二年生がいるんだけど…今日、原は来てるのかな?」

「彼女とデートです。」上條が真顔で答えた。大木が横で一瞬笑った。


 音楽室は小中学校とはちがい音楽家の肖像画などはなく、ピアノ一台、壁は濃いワインレッドなので、落ち着いた感じの空間だ。戸口先生が教壇の黒板横にある奥に入るドアを開ける。

「こっちが音楽準備室ね」

先生に続き小谷も準備室に入った。教室の4/1ぐらいの広さの部屋だった。ドラムセットが置いてある。「ここは楽器の保管場所」

「はい」 と答えた。

後から二人も準備室に入ってきた。

「大木、10月のコンクールにでたいのなら申し込みもするよ」

「四人でですか?」 大木が先生に尋ねるように言った。

「まだ吹奏楽に入部する一年生がいてるかもしれないし…」 少し沈黙があった。

上條が「小谷君は入部するん?」

「はい。」 思わず返事をした。

二人は三年生だが威圧感もなく、直感的にやさしそうな雰囲気が漂っていた。

「おっそうか」 先生は嬉しそうに小谷を見つめた。

小谷の緊張も大分おさまってきた。準備室にはトロフィーが数個並んで飾ってある。

しかし埃を被り色褪せていた。過去に実績のある吹奏楽部だと小谷は知った。

「じゃー頑張ってコンクールにでよっか!!」 上條の少し大きめの声が準備室に響いた。

大木は無理無理と言わんばかりに首を横に振った。

小谷は(コンクールにでるかもしれない)と気が引き締まった。


 私立待望付属高等学校は待望大学に併設した高校である。数年前までは男子校だったが今は学校名も一新し共学になっている。まだ男子校のイメージが強いのか一学年に数十人の女生徒しか在籍していない。

進学(大半は待望大学)、専門学校、就職と進路はまちまちの高校だ。


 授業終了のチャイムが鳴った。小谷は教室をでて音楽室に向かった。

(長髪で真面目そうなほうが大木さん、短髪でどっちかというとスポーツ系の顔立ちが上條さん。)

二人とも細身の体つきだったのでこれだけが頭に巡っていた。

4階端の音楽室に着いたが鍵が閉まっていた。今日はクラブはないのかな?と小谷は思った。

しかし、いきなり休むのもイメージが悪いので教室前で待つことにした。

数分後に二人が教室に向かってくるのが分かった。

「小谷君待ってくれてるんやー」 大木が笑顔で話しかけてきた。

鍵をあけ、教室に入った。静まった音楽室はこれからのクラブ活動の不安を募らせる。

鞄を机に置き、大木が座った。上條も鞄を置き、イスを後ろに向けて大木と向き合うように座った。

そしてスマホをとりだし、土日に開催する競馬情報を調べだした。小谷は何をしたらいいのか、何を話したらいいのか分からなかったので、とりあえず二人の方を向いて座った。

「小谷君トロンボーンしてたみたいやね」 大木が小谷に尋ねた。

「はい、中学のクラブで」

「トロンボーンは持ってるのかな?」

「いえ、学校のを使ってました」

「向こうにトロンボーンあるよなー」 と上條が話しに入ってきた。

「中学では結構練習したん?」

「そうですねー。本番前は毎日してましたねー」


 三人は準備室に移動した。

「大ちゃん、トロンボーンどこかなー」

上條と大木がたくさん並んでいるハードケースを一つずつ開け閉めしトロンボーンを見つけた。

「あったあった、小谷君これ誰も使ってないから使っていいよー」

大木が小谷にトロンボーンを手渡した。

その時、音楽室のドアが開く音がした。

「お疲れーっす」 声も聞こえた。


三人は準備室から教室に移動した。

すぐに「あっ、二年の原くん」と大木が紹介した。

手にトロンボーンを持ったまま

「小谷です。よろしくお願いします。」と頭を下げた。

鞄を置こうとしていた原がこっちを向いて

「原です。」 挨拶を終え大木の方をみて

「新しく入ったんですね」 と少し笑みを浮かべた。

少しみんなより身長は高いが原も見た目は大木と同じように真面目で優しそうだ。

小谷はどんな先輩がいるのかが不安の一つだったので、安堵した。

何か曲をみんなで練習するのかと小谷は思ったが、三人は普通に席に座った。

上條が「何か演奏してーや」 と小谷に言った。

「楽器あるとそうなりますよねー」と原は苦笑いした。

「一人でですか?」

上條がうなずいた。小谷は大木がテナーサックス、上條がトランペットだということは聞いていた。

しかしどれぐらいの実力なのかは分からない。

自分の実力が先輩たちにどう思われるのか、体がふるえた。

立ち上がりトロンボーンを持った。深呼吸、気を落ちつかせる。

そして大きく息を吸って音を出した。


 三人とも真剣に聴いている。


まもなくして「すごいやーん。G線上のアリアかー。」

大木はクラッシックCDをよく聴くので曲はすぐに分かった。

「これってバイオリンとかの曲やんなー?」

演奏を途中でやめ

「中学の時に教則本にあったので」と答えた。

上條、原も「おー」と拍手した。

「すごい新入部員やな」と上條が言うと

「でも発表の機会なんかないですからね~」と原が残念そうに言った。

「先生がコンクールに申し込むことはできるって言ってたで」

「無理無理、4人で何ができるんですか」原は否定した。


大木は上條が顧問の前でがんばりますと言った事を伝えると、

「上條さん、競馬のファンファーレではコンクールに出られませんよー」と原は言いはなった。

「小谷もおったし、あそこはあーいうふうに言わなあかんかなって思っただけ、先生もやる気になったかもしれへんで」と上條が笑いながら答えた。

「ないない」と原は即答した。

そのあと上條はスマホでまた競馬情報をみだした。

大木と原は準備室に入った。

直ぐにドラムの軽快なリズムが教室まで響いた。

大木はアコースティックギターを持ってきて弾きだした。

小谷は吹奏楽部で何故ギター?と感じたが問うことはできなかった。

そして久しぶりに今まで練習したトロンボーンを奏でた。

それとともに、今後の部活の目指すところ、何をしたらいいのか全く分からなくなった。

読んでいたたきありがとうございます。

次回もまたよんでいただければ幸いです。

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