プロローグ2
「おいテメーさっさと起きろや、じゃねーと頭踏むぞ?」
「..................」
「起きそーにねーなこいつ。しょうがねー」
「おはよーーございまーーーーすっっっっっ」
ガンッッ!!
「いってーーーーー」
いきなり頭に衝撃と痛みを受けて俺は上体を起こした。顔を上げると俺の目の前にジジイが立ってる。多分このジジイがなんかをしたんだろう。俺は痛む頭を押さえながら立とうとして
「起きるのが遅いんじゃこのボケナスが。一回で起きんかーーー」
立ち上がりざまに跳び蹴りを喰らわされた。なにこのジジイ、超理不尽なんですけど。
ジジイは俺に蹴りを叩き込んで満足したのか俺に向かってしゃべりだした。
「ったく、で、お前の名前は吾妻亘であってるな?」
「そうだけど何で俺の名前知ってんだよジジイ。」
「なんでってそりゃわし神様だし当然じゃん。」
うん、あれだ。このジジイはきっと理不尽なだけでなく更年期障害なんだな。
などと考えていたら
「天罰っっっ」
今度はドロップキックされました、はい。
「お前神様なめんじゃねーぞ、お前の考えてることなんか筒抜けだからな。分かったら変なこと考えんじゃねーぞ。」
「いや分かるも何もよ、んなこと信じられるわけねーだろ普通。いきなり目の前にいたジジイが『わし神様』とか言ったらボケが来てんだなって思うだろ。つーか神様だって言い張るんならもっとそれっぽい恰好しとけよ、アロハシャツ着てる神様なんて聞いたことねーよ。」
「あん?、わしは今回の仕事が終わったら休暇取ってハワイ行くんだよ。ハワイ行くんだからアロハシャツ着ててもおかしくないだろ。」
「そりゃハワイでアロハシャツはおかしくないけどよ、休暇って......つーか今更だけど、ここどこだよ、なんで俺こんな何もない真っ白なとこにいるんだよ。確か俺は......俺......は......。」
「ふん、やっと思い出したか。そう、お前は車に轢かれて死んだんだよ。そしてお前を助けようとした女の子も一緒にな。つまりわしの仕事はお前たち2人のこれからについてだ。」
そうだ、確かに俺は死んだ。しかも女の子を巻き込んでだ。だけどジジイの言ってる事が本当なら女の子はどこにいるんだ?それにこのジジイはこれからと言った。死んだんならそれで終わりじゃないのか?そう考えているとジジイが
「女の子ならお前の隣にいる。ただこの場所では死んだ者同士の姿ははお互いに見えないだけだ。ちょっと待ってろ、今見えるようにする。」
そう言ってジジイが何かのしぐさをすると俺の隣に女の子が現れた。女の子は俺を見ても特に驚くようなことはなかった。
「この子には大まかには説明してある。いいか、吾妻亘。お前のこれからだが3つの選択肢がある。1つ目は天国か地獄に行くことだ。どちらに行くかはわしには決められんからどっちかとしか言いようがない。2つ目はここでわしの雑務をこなすことだ。わしがハワイに行ってる間にもきっと仕事はあるからな。言ってしまえばわしのもとに就職するといったところか。そして3つ目、こことは別の世界、つまり異世界に転生することだ。地球とは全然違う世界だ。転生する際に特典、まあ力が与えられる。この3つの中から選べ、わしのおすすめは2だな。なんせわしが楽できるからな。」
このジジイの言ってることが本当だとしたらどれを選ぶべきだ?話を聞く限りだと3が一番魅力的に聞こえるが。地球と違う世界と言われてもよくわからないんだよな、小説とかによくあるような剣と魔法の世界しかイメージできない。2はまあ論外だな、うん。ジジイの雑用なんか真っ平御免だ。1はどっちに行くか分からないんだよな、だけど......
「決めたぜジジイ。俺は1を選ぶぜ。」
「ほう、3が一番魅力的に聞こえるように言ったのだがな、まあ理由を聞こうか。」
「考えてることがわかるくせにめんどくせーな、ったく。どーせ異世界に行ったところでまた迷惑掛けるのが目に見えてるからだよ。迷惑くらい誰でも掛けてるって言われればそうだなとしか言いようがないけど、現にこの子は俺のせいで死んだんだ。それに償いもしないで異世界で生きていくってのも嫌だしな。だったら地獄に行くさ。つまんねー人生だったから最後くらいけじめつけたいしな。」
正直言ってちょっと怖いけど、まあこれが妥当かななんて考えてると
「なに馬鹿なこと言ってんですかーー。」
跳び膝蹴り喰らいました。本日蹴り3発目です、はい。
「せっかく別の世界で人生もう一回歩めるんですから異世界行きましょうよー。てか、一人で異世界と寂しですよー、一緒に行きましょうよー。」
「てかお前が死ぬ原因作ったのは俺だぞ、そんな奴と一緒とか......。それに、俺に対して思うことだってあるだろうし。」
「1人より2人のほうが絶対楽しいですし、それに、別に恨んでるとか全然ないですよ?だから一緒に異世界行きましょうよ。」
彼女はそう言ってくれてるけど俺は......
「やっぱり駄目だ!。俺は地獄に―」
「はいじゃあ2名様異世界にごあんなーい。転生特典はめんどいからメモっといたからな、あっち着いたら確認しな。じゃあ、いってこーーーい。」
「いってきまーす。」
ジジイがそんなこと言うと急に俺たちの足元が青く光りだした。その光に包まれながら俺は
「おいジジイ、だからおれは地獄に―」
「実はな吾妻亘、お前の異世界行きは最初から決まってたんだ。騙してごめんねー ガッハッハッハ。」
「ふ、ふざけんなよこのクソジジイがぁぁぁぁ。」
そう叫んだ直後、俺たちの体全体は光に包まれそこで意識がなくなった。