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結局、

作者: 瑞樹

 結局、人間とか言う生物は何よりも卑怯な生命体なのだと今更ながらに認識する。

 何も―――自分のために生きる事を悪いとは誰も言わないだろう。何せ、彼も彼女もみんなみんな、自分の事を最優先にして、他人の事なんて手前の飯の次くらいにしか考えていないのだから。

 自分を優先してしまうのは、人間と言う生き物の性分なのだろう。

 生きる事を食べる事を行く事を遊ぶ事を―――何もかもを自分の都合に合わせて他人と設定しようとする。身に覚えがない人間なんて、きっと一人もいないのだ。

「頑張りなよ」なんて誰かが言うが、その『誰か』にとって、言われた僕としてはその誰かの『都合』に合わせて頑張れと言われるだけなのだ。

 頑張れと言われて頑張るが、それが自分にとって良い方向に全てが転換するかと言われれば、それは時と場合によってかわる。

 ―――例えば。

 例えば―――もしここに、二人の男女がいるとする。その二人は付き合っていて、今まさに幸せの絶頂にあるとしよう。

 結局は、彼らがお互いを『好き』であるという『都合』に合わせて付き合っているのだと。―――それをもう少し美化して表現するならば、『お互いの心が通じ合っているから』、となるのだろう。

 なら、それを妬むものだっているだろう。

 幸せな目にあっているというならば、同時に憎しみの中に心を沈めるものだっているのだ。

 この男女にだって、同じ事が言える。

 もしも、この男女―――女は、一度他の男と付き合っていた事が有って―――今、一緒にいる男の方に惚れたから、という自分の『都合』で別れたとしよう。―――男の方はどうなるだろうか。

 不愉快であり、何より不快だ。―――嬉しい筈などないのだ。

 だからといって憎しみに沈むとして―――それも、この男の『都合』といえよう。

 振られた、ふざけるな、どうしてどうしてどうしてどうして―――おかしいだろうが。

 そんな気持ちが溜まりに溜まっても、それを発散させようとするのも人間の性―――もとい、習性だ。

 結局、人間なんて―――自分を中心にする事でしか、思考する事なんて出来やしないのだ。

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