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怪奇  作者: ミドリのヒト
1/8

お断り

 世の中には科学的根拠では表現しきれない。いや、証明できないというのが正しいのだろう。そんな現象やら物事やらが多々起きたり起きなかったりする。大抵見た、聞いた等、本人からの口から出た噂かそれに近い現実離れした体験談なのか端又作り話なのかは別として、知人友人、果ては顔の知らない他者まで伝達され事は肥大化し、妄言を含まれ聴く人それぞれが思い思いの想像力を大いに膨れ上がらせ、そしてまた別の人へと伝染するように勢いが収まらず話題は絶えず積もって途切れない。ましてはそれが誰かの意に関係なく能率的に動き続け、最初に発言していた人間と、最後に聞き見した人間とは大いに見解もそれまでの過程、結果もちぐはぐなものに成り代わっているものだ。人の記憶とは曖昧なものだと言うものだが、自分の聴いた、若しくは言った事は何事も無く覚えていたりもする。特にそんな紛いじみた話なんかは大抵自分の気分が優れないとか、なんかだるいなとか、今日はちょっと嫌な日だなとかそんな「負」といった感情や気持ちに攣られて現れてくる、そんなところだ。特にこんな暑い日に限ってではないけれど、だいたい暑い日。そう、例えば夏なんかどうだろう。夏と言えば暑い。その暑さを凌ぐ為考え出され昔の人の知恵というのが、怪談である。身も蓋もない殺生な、そしてどうも後味の悪いあの感触を親身に受け取り、冷や汗をタラリと頬を伝う様。まさに夏の風物詩でもある。そんな夏の風物詩みたいな感じのものを、俺は最近になって身近に感じた日があった。前に話したとおり、科学的根拠がどうだとか、人が人から聞いた話はあてにならんとかそういうことを前フリにしてみたのも実は意味があってないものだ。多分あれを忘れたくてついつい口走っちゃう、要は臆病だとおもう。我ながら貧相で軟弱な性格ではあるが、あの時はそんなことを微塵にも感じられていなかった。というか、日付を見たら良く良く判っていただろうに。あの時ああしていればとかよくもまあそんなセリフ言えるものだと昔は思っていたのがまさか自分に降りかかってくるとは予想だにしないことだった。確かにこういった類のものは人から伝わってきたほうがいいのかもしれない。夏の暑さも程よいほど静まった今日の午後。そう思って記憶を辿る事にしたのだ。

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