第3話・思った通りの結末と~想定外の貰い事故~
第2章 思いは熱く、空回る
第3話・思った通りの結末と~想定外の貰い事故~
いや。何で!?
という混乱のただ中にいるのはジャンヌだけではなくリオンも。
神殿護衛官でもあるクロード=トレーニアは、本来、神殿に勤める護衛官。
神官呪師たちの監視と護衛を担うのが役目で、ジャンヌ専属護衛騎士団にも籍を置いているのは、団長であるファンが直々にスカウトしたから。
もちろん、初めはクロードは当然断った。
護衛官というのは、時に呪師を『始末』する役割を負っている。
血生臭さもある護衛官が……護衛官になれるのは実力的に優れていると認められている者だけなので、騎兵の名誉としては最高峰……皇族の護衛? ありえない。
さらに、クロード自身も幼いころに両親を亡くして神殿孤児院で育ったクチなので、皇孫皇女の傍に侍るような身分ではない。と言うのが理由。
けれど、それでもと粘ったファンが神殿護衛官を総括する長官に掛け合って、「護衛官の業務に差し障らない範囲でなら。」と出向の許可を取り付けた。
正直、前代未聞の快挙というか、常識外れの暴挙。
今日も、神殿護衛官としての業務を終わらせて皇城に上がったクロードが、ファンに言われてジャンヌと……なぜかリオンも一緒に……連れて行ったのが皇城図書殿。
この国の、ありとあらゆる記録や英知が保管されている、国内最大の資料図書館だった。
「……ぇ……?」
案内される先が図書殿だと気付いた瞬間にジャンヌは首を傾げ、進捗の報告でも受けろってことかしら? などとのんきに構えていたのだが……
「それではお二人とも、こちらの棚からお願い致します」
待ち構えていた司書に連れていかれた一角には、いつのものとも知れない古い書類が大量に箱詰めされ、床から天井まで壁一面を覆う棚に隙間なく詰め込まれた資料室。
「「……え……?」」
お二人ともと言われた瞬間にジャンヌとリオンを見据えた初老の男性司書の目つきが怖い。
「この辺りにあるのは、約五千年前、大陸中で大きな異変が続いたころの資料です。……当時は、日夜天変地異が続き、これまでに見かけることもなかった魔物なども大量発生し、呪師の不足が問題視された時期です。きっと、おそらく、何らかの……魔法的な物品の情報もあるかもしれません。ぜひとも見つけ出し、皇子殿下のご回復の一助となりますよう……」
ご協力をお願い致します。
一息で言い切った、司書の目が一切笑っていない。
ここ二週間ほど連日連夜、休みなく調査が続けられているので、そろそろ全員疲れもピーク。
そこに来ての、ひっかき回すこと確定のジャンヌの参加である。
ファンからすればジャンヌを大人しくさせるために調査に加える。
程度であったのかもしれないが、皇孫皇女を迎えて、重要な資料などもある場所で、どんな扱い方をされるかわからない。
というストレスは、司書を始めとした文官たちの許容量を超えていた。
よって……
「「いや。何で!?」」
なぜ資料調査なのか!? と叫ぶジャンヌの声と。
なんでオレまで!? というリオンの悲鳴とが静かな図書殿内に響き渡った。
リオンにしてみればいいとばっちり。
けれど、ファンにしてみれば、リオンがジャンヌを甘やかすからの増長。
リオンにしてみれば甘やかしているつもりはないのだが、頼まれたらつい協力してしまっているのも事実で……
「……二人とも、図書殿では静かに……」
淡々と告げるクロードは二人の見張り役。
ではあとは宜しくと部屋を出て行った司書の代わりに、扉の前に立ち塞がっていて。
((……あ、これ、逃げれない奴……))
早々にそうと察した二人は、がくりと肩を落としてのろのろと資料を手に取った。
第2章第3話をお読みいただきありがとうございます。
調査を手伝わせると言ったファンの真意は、まさかの「ガチの資料整理」(笑)
ジャンヌの熱意が斜め上の方向へ着地してしまいました。
一番の被害者は間違いなくリオンですが、ファンの無言の圧力が恐ろしすぎます。
今回、ついに神殿護衛官のクロードが案内役として登場。
クロードが見張りについてしまった以上、二人にに逃げ道はありません。
司書さんたちの視線も痛い中、「静かなる戦い」が始まります……?
次回もお楽しみに!
【第1部はこちら】
姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】
(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)
【番外編・第1弾はこちら】
皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~
(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)
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ノリト&ミコト




