表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/21

第2話・日常茶飯事のやり取りに~双方ともに我慢の限界~

第2章 思いは熱く、空回る



     第2話・日常茶飯事のやり取りに~双方ともに我慢の限界~



「何でよ!」

「なぜも何も……」



 ジャンヌがジョンの見舞いに日参しつつ、毎日繰り返される風物詩と化しつつあるやり取りが、今日もジャンヌの部屋で起きていた。



 ぷっくりと頬を膨らませて文句をつけるジャンヌに、頭痛を堪えるような仕草で溜め息を吐いたファンは、ぎろりとリオンを睨んだ。



「医務殿側から面会の拒絶が伝えられていると、()()お伝えしておりますが?」

「……オレを見ながら言われてもな……」



 ジャンヌに言っている筈なのに、睨んでいるのはリオンの方。という、矛盾した状態になっているのは、医務殿が面会拒絶を言い出した原因がリオンにあるから。



 いや。正確に言えば、()()()()()()()()リオンが会いに行ったインスに対し、医務殿側が遮断していた情報を伝えてしまったから。



 けれど、リオンにも言いたいことはある。



(つーか、ファン(おまえ)がアインに厳罰要求なんかしてなければ問題なかったんじゃないか?)



 口に出せば万倍で返ってくるし、周囲の近衛騎士らや従者らの目もあるので口には出さない。


 出さないが、それはリオンだけ。



「ディアスが変なこと言いださなければよかっただけでしょう!」



 腰に手を当て、睨むようにして顔を上げたジャンヌの言葉に……



((((言っちゃった~~~))))



 見守る全員の心の声がきれいにハモった。



「当然の要求です……。事実は事実ですので」

「おかしいでしょう!!」



 表情を変えもせずに冷徹に言い放ったファンに対し、ジャンヌはますます声を荒げる。



「そもそも、文官、神官、呪師、その他、多くの者が懸命に調べているのです。まだ年若いインス=ラントに相談したところで、姫様がお望みになるような答えなど持ち合わせているとは思えません」

「そんなの、聞いてみないと分からないじゃない!!」



 どこまでも冷静なファンの言う通りだろう。と思うのはリオンや周囲で聞いている者たちだけ。


 ジャンヌの方はそれでも! と食い下がるのをやめようとしない。


 しかし、文官や神官などの知識層に、魔法が使えるがゆえに長寿である呪師たち、その他、そのために他の仕事を中断させて調査に当たらせている者たち。


 という、人海戦術で調べを進めているのに、手がかり一つ掴めていない以上。


 まだ十八歳の年若い皇宮呪師一人に個別で相談を持ち掛けたところで、あっさり手掛かりが見つかるとは思えない。


 というファンの意見は正論。



 むしろ、これで何か出してきたら逆にインス=ラントは何者だ? になってしまう。



「で~も~っ!」

「それほど調べが進むのをお待ちになれないようでしたら……」



 地団駄踏んで食い下がるジャンヌとのこのやり取りは、ジャンヌが目を覚ました日からずっと続いていて、そろそろ一週間。


 ファンの方も我慢の限界だったのだろう。


 いつもはとにかくダメですで押し切るファンが、急に冷ややかな笑顔を見せた。



(……コワっ! 顔がいいやつの冷笑って、こんなに怖いのかよ!?)



 うっかり目撃してしまったリオンが震え上がるが、ジャンヌは慣れているのかただ少し、警戒するように身構えるだけ。



 リオン以外にも部屋中の人間が凍り付いたように青ざめているというのに、幼馴染ってすごい……



 周囲が思考を飛ばしている中、ファンがジャンヌに告げた言葉は。



「姫様にも調査を手伝っていただきましょう」

「「えっ!?」」


 

 言われた瞬間、喜色を浮かべたジャンヌの声と、信じられないと言わんばかりのリオンの声が同時に響く。



「……クロードが参りましたら、案内をさせます。それまでは()()()()お待ちください」



 あえて見下ろすような視線でジャンヌを睨みつけたファンと。



「わかったわ!」



 嬉しそうに両手を合わせるジャンヌを見て。



(……あ、コレ、ジャンヌが思っているような奴じゃないわ……)



 察したリオンは、とりあえず、口を噤むことにする。



 ジャンヌは、悪いやつではないのだけれど……



(……致命的に、考えが浅い……)



 オレにそう思われてるのって、問題なんだろうなぁ~。



 と思いながら、リオンはルンルンと軽くステップを踏んでいるジャンヌと、冷笑が消えていないファンとをそっと見比べ、溜め息を漏らした。


第2章第2話をお読みいただきありがとうございます。


毎日繰り返されるジャンヌとファンの押し問答。


ぱあっと表情を輝かせるジャンヌですが、皆様もリオンと同じく「あ、これ絶対違うやつだ」とお察しのことでしょう。


クロードの案内で彼女が連れて行かれる先とは?


ジャンヌの熱い思いがどう空回るのか?


次回もお楽しみに!


【第1部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】

(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)


【番外編・第1弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~

(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ