第2話・女神の巫女と赤髪の青年~皇宮呪師に期待を寄せて~
第1章 それは泡沫の歓びに過ぎず
第2話・女神の巫女と赤髪の青年~皇宮呪師に期待を寄せて~
「……悪い。ジャンヌ……話し、してこれなかった……」
そうジャンヌに告げたのは、赤髪の青年リオン。
「……そう……まあ、まだ入院中のインスに、あんまり無茶は言えないわよね……」
言われて、頷きはしたものの、ジャンヌの顔は納得していないし、焦燥が浮かんでいる。
けれど、相手は先の魔族との戦いで重傷を負って入院中の相手。
そうそう無理は言えないのも……分かってはいる。
分かってはいるが、以前からジャンヌに協力的である皇宮呪師のインス=ラントに相談できれば、ジョンの視力を取り戻すための手がかりが得られるのではないか? との期待も高かった。
もちろん、他の皇宮の呪師たちや、皇城の文官たち。
また、神殿の神官たちなども、過去の文献や眉唾ものの噂まで、片っ端から調べてくれているのは知っている。
けれど……ジョンが意識を取り戻し、ジャンヌが寝込んでいる間の一週間。
その間にも、ジョンの目が見えないことが判明して、調査は開始されていた。
なのに、いまだに何の手掛かりもつかめていないことに焦燥感が募る。
「や……それもあるんだけどさ……」
歯切れ悪く口籠るリオンは、チラリと周囲を見た。
ジャンヌの部屋に、以前はいなかった近衛騎士が数名。
女官兵や侍女らと共に控えていて、何かあればすぐに動けるように待機している。
その、全員がさりげなくリオンを見ていて、居心地が悪いなんてものじゃない。
ただ、彼らが見ているのはリオンの赤い髪だけ。
この大陸において、赤い髪色は嫌われる。
理由は、神話に『赤毛の魔女』と記された女呪師の逸話のせい。
呪師は魔法を使える。そして、『赤毛の魔女』は人間の呪師であった女が魔族と化した存在。
だからそういう視線には慣れっこのリオンなのだが……
神剣や……その他にも機密にかかわる話を、不用意に口に出してはいけない。という程度の分別はあった。
むしろ、ジャンヌが気にしなさすぎなのがマズいんじゃないか? とも思っている。
平民の孤児で……赤髪で生まれたために捨てられた……神殿孤児院で育ち、十七歳になっても出られなかった問題児に心配される皇女というのもどうかと思うが。
実際にジャンヌは細かくないことも、細かいことも気にしない。
彼女にとっては弟のジョンが一番で、そのためになら何でもやる! と心に決めている節があった。
「……ほら、ファン……卿が、アインのことを、さ……」
いつもは「ファンの野郎。」などと口悪く呼んでいるリオンだが、流石にこれだけ騎士の圧がある中で侯爵家の嫡子である騎士団長・ファン卿ディアスをそんな風には呼べなくて、物凄く嫌そうに敬称付きで呼ぶ。
「……ぁ……」
リオンのその言葉で、ジャンヌはようやく思い出した。
先日の戦いで、重傷を負って主神殿の医務殿に入院中なのは、皇宮呪師のインスだけではないことを。
第1章第2話をお読みいただきありがとうございます。
「全部終わった」はずの第1部から一転、不穏な空気ばかりが漂っています。
ジャンヌにとっての頼みの綱は、皇宮呪師のインスのようですが、この時の彼はまだ先の事件で入院中――
そして、周囲の圧に屈する赤髪の青年リオン(笑)
無茶は言えないと言いながらも無茶ぶりしそうなジャンヌは一体、何を仕出かそうと企んでいるのか?
次回もお楽しみに!
【第1部はこちら】
姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】
(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)
【番外編・第1弾はこちら】
皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~
(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)
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ノリト&ミコト




