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第2話・嚙み合わないのは~信じる者と知っている者~

第6章 決壊の予兆



      第2話・嚙み合わないのは~信じる者と知っている者~



 インスが退院して、皇宮に戻って来たらしいとジャンヌが聞いたのは、皇宮医務殿への慰問から四日後。


 すぐに呼んで! もしくは会いに行く!! と騒いだジャンヌだったが、残念ながらその日はどちらも叶わず……



「……ぅわぁ~……」


「失礼ね! せっかく会いに来てあげたのに!!」



 穏やかな表情のまま、心底嫌そうにそう漏らしたインスに、むうっと唇を尖らせてジャンヌは不満をぶつけた。


 ぶつけながら、そういえば、初めて会った時も同じ反応をされたなとふと思い出す。



「……頼んでいませんが……?」


「呼んでも全然来てくれないからでしょう!?」



 皇宮呪師らが日中に詰める執務棟である皇宮呪師殿の一角。


 皇城に繋がる回廊から、真っ直ぐに突撃して来たジャンヌを前に、真顔で返したインスに反射で怒鳴る。



「申し上げたでしょう? 私がお手伝いできることはありません。と……」


「そんなこと言って! 一人で西の塔に行ってきたでしょう!! ズルイ!!」



 ぷくっと頬を膨らませて詰め寄るジャンヌにスンとなってしまったのはインスが悪いのか。



(……その、廃離宮の調査で私は二日前まで入院していたんですが……?)



 それが何を意味するのか分からないのだろうか?



「わたし()()も連れて行ってくれればよかったのに!! そうしたら、インスだって、入院せずに済んだでしょう?」



 何を根拠に行っているのか分からないが、自信満々に言い切るジャンヌに絶句する。



 いつの間にか複数形……誰を一緒に連れていくつもりだったのか……


 いや。それよりも……



「……それは、私に死ねと?」


「何でそうなるのよ!!」



 頭痛を堪えて問いかけると、心底驚いたジャンヌが声を上げた。



「……いえ……入院せずに済んだ……と、仰ったので、入院する()()()()()()()になっていた、と仰りたいのかと……」


「そうよ? わたしたちが一緒だったら、入院しなくて済んだでしょう?」



 額に指を当て、頭痛を堪えるインスにジャンヌはあっさりと頷く。



「「……………」」



 一瞬、沈黙が横たわった。



 ジャンヌからすれば、自分たちが一緒なら、神剣もあるし、入院するような事態にはならず、無事に帰って来れただろう。と言う話。


 インスからすれば、全滅。もしくはインスが殿を務めることになって、生きて帰れなかった未来予想図でしかない。



「……とりあえず、お引き取り下さい……」


「何でっ!?」



 重い溜め息と共に言われてジャンヌは目をむいた。



「今日はこの後、アイン君の授業があります。ジャンヌ様とゆっくりお話しする時間はありません」


「ちょっとくらいあるでしょ? この間、西の塔付近で魔物が活発化してるって話を討伐に行った騎士団の負傷者から聞いたのよ!!」



 暗に忙しいと言っているのに、ジャンヌは全く聞かない。


 見て見て! と言わんばかりに手にした書類を突き付け、ずいっと顔を寄せてくる。



 この時期に出る魔物で、騎士団が対応したということは……と一応思考を巡らせたインスが、近くに居て話を聞いてしまった皇宮呪師にチラッと視線を向けると、彼は無言で首を横に振った。



 つまり、実態は例年と変わりなかったらしい。



「だったら、なおさら、皇孫皇女(あなた)が行くべき場所ではないでしょう? 陛下のからもご下命はありませんし」



 それを確かめて、その上でインスは正論としてジャンヌの言う通りなら。と拒絶を告げる。



「それは……っ!!」



 ジャンヌが言葉に詰まったのは、インスの言う通り、皇帝(そふ)に報告と提案を上げても許可は()()来ていないから。


 必ず()()と信じているが、まだ出ていないのは事実。


 そして、出ると信じているのはジャンヌだけで、出る事はないというのが周囲の認識だ。



「……ですので? お引き取り下さい……?」



 にこりと、貼りつけたような笑顔で告げたインスの声にかぶせるように……



「姫様っ!!」



 護衛騎士団長・ファンの怒声が回廊に響き渡った。


第6章第2話をお読みいただきありがとうございます。


やっと退院できたと思ったら、即座にジャンヌの強襲を受けるインス。


西の塔へ行きたいジャンヌの「ポジティブ解釈」は、現場を知るインスには通用しません。


ジャンヌにとっては純粋な協力の申し出でも、インスにとっては無理難題。


この圧倒的なまでの「噛み合わなさ」が今回の見どころです。


話を聞かないジャンヌを前に、ついに騎士団長ファンの怒声が響き渡ります。


怒れる騎士団長を前に、ジャンヌはどう言い訳するのか?


次回もお楽しみに!


【第1部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】

(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)


【番外編・第1弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~

(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)


【番外編・第2弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞②~滞留するのは魔力ちからの残滓~

(https://ncode.syosetu.com/n6684lr/)


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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