表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/23

第1話・突撃すれどもすれ違い~断片だけが届く日々~

第5章 停滞すれども世界は動く



      第1話・突撃すれどもすれ違い~断片だけが届く日々~



 一日目。


 女官兵に言って皇帝(そふ)に面会希望を届けさせる。


 夕方になって、後日調整するとの返答。



 二日目。


 朝から執務室に突撃。


 皇帝筆頭秘書官である公爵に不在を告げられる。


 更にチクチク嫌味のようにお小言を言われて追い返される。



 三日目。


 朝から私室に突撃。


 筆頭女官長に既に出仕したと告げられる。


 更にその女官長からがっつりお叱りを数時間にわたって聞かされる。



 四日目。


 二日続けてのお小言に懲りて手紙にして届けさせる。


 一応、返事が来るのを待つことにする。



「えっ!? インス、一人で廃離宮に行ったの!?」



 翌日の午前中。


 先日の一件で数日休んでいたリオンが復帰してきて、最初にジャンヌに伝えた情報が、インスが旧都の調査に行ったらしい、という噂。



「……らしいって、だけだけどな……」



 頷いたリオンは、けれど詳細までは知らない。


 ただ、皇宮呪師とその護衛官が来たと神殿で噂されていて、その特徴がインスと、皇宮護衛官のステールに似ていると判断したからジャンヌに話している。



「ズルイ!! わたしも行きたかったのに!!」


「でも、なんか、すごいマズい状態になったみたいだぞ? 旧都周辺への立ち入り禁止が強化されたって話だ」



 本気で悔しがるジャンヌが立ち上がったのを見て、部屋を飛び出さないように牽制する意味もあってリオンは話を続ける。


 多少、何らかの情報をジャンヌに伝えておかないと、我慢しきれずに皇都を飛び出しかねない。



「まずいって? 何が?」


「……や、詳しいことまでは分からないけどさ……」



 とりあえず、座り直してくれたジャンヌに、首の後ろを掻きながらちょっと困ったように口籠る。



(言えるかよ……ステールがインスを殺そうとしたって噂が流れてるなんて……)



 実際には、皇宮護衛官が理由もなく皇宮呪師に襲い掛かったらしい、という噂が流れているだけだが、様々な情報を繋ぎ合わせればそれが誰と誰で、何があったかを察することはできる。



 ただ、どうしてそうなったのかまでは分からなくて、正直不気味だ。



「……とにかく、どうも、旧都の辺りはオレたちが思っているより危なそうだってことだよ……調査に行ったのが本当にインスだったのなら、聞いてみれば何かわかるんじゃないか?」



 リオンはそう言うが、呼ばれたところでインスは来ないだろうし、聞いたとしても何も話さないだろうなと半ば確信している。



「そっか! じゃあ、早速インスを呼んできて!!」



 けれど、ジャンヌはその提案にすぐに笑顔を見せ、女官兵の一人に命じる。



 皇帝そふからの返事を待つ間に情報収集ね、とご機嫌な様子だが、命じられた女官兵も、言伝を伝えに行った侍女も、室内に控える近衛騎士らも、誰もジャンヌの思うようにはならないだろうな……と理解していた。



 そして、その予想の通り、その日、皇宮呪師殿からインスがジャンヌの部屋を訪れることはなく。



「はっ!? 何で!!」



 七日目。


 手紙を出して三日も待ったが返事が来ないので、また皇帝(そふ)のところに突撃しようとして、ファンたちに止められる。


 それならインスのところに……と思ったらインスも不在と伝えられた。



 更に……



「何で、インスが主神殿に出向??」



 皇宮呪師であるインスが、なぜか主神殿に出向しているという噂をリオンが仕入れてきて、訳が分からなくて首を傾げる。



「……知るかよ……ただ、出向は夜だけらしくて、日中は別の任務で外に出ているらしいぜ……」



 そもそも、所属が違うので詳細な情報が入ってくるはずのないリオンが、これだけの噂を集めてこられることに、女官兵や近衛騎士らが感心半分、危機感半分といった気分で二人のやり取りを見守る。



 止めないのは、リオンがちゃんと話題を選別し、ジャンヌが飛び出していかないように牽制していることにも気づいているから。



 ジャンヌが自分で噂話を集めに回ることがないように部屋に留める誘導までもを完璧にこなし、午後になって交代人員としてやってきたクロードと視線だけで報告をして、リオンは静かに帰って行った。


第5章第1話をお読みいただきありがとうございます。


意気揚々と動き出したジャンヌですが、行く先々でお説教を食らったり、すれ違ったり……。


本人はやる気満々なのに、外堀がどんどん埋まっていく不穏な空気(笑)。


ジャンヌの知らないところで、インスとステールの間に何やら「マズい事態」が起きている様子。


皇宮に流れる物騒な噂と、何も知らされず空回りするジャンヌ……この温度差が今後の展開にどう響いてくるのか。


姿を見せないインスの真意、そして主神殿への「夜間出向」の謎。 停滞しているように見えて、裏では着実に世界が動き出しています。


唯一の頼みの綱であるリオンが有能すぎて、周囲の騎士たちが感心し始めているのがまたシュールですね。


自由すぎるお姫様と、それを必死にコントロールする周囲の攻防をぜひお楽しみください!


次回もお楽しみに!


【第1部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】

(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)


【番外編・第1弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~

(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)


【番外編・第2弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞②~滞留するのは魔力ちからの残滓~

(https://ncode.syosetu.com/n6684lr/)


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ