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第2話・言葉の刃を交わした先で~わからずやとわからずや~

第4章 それでも彼女は希う



     第2話・言葉の刃を交わした先で~わからずやとわからずや~



「……ですから、皇女殿下(あなた)は、現場に立ってはいけません……」



 大切な者を、守りたい。助けたいと。本当に思うのなら、()()が先頭に立ってはいけない。



 繰り返したインスの表情も、声音も、口調も……どれも決して、責めるようなものではない。


 ただ、ある意味淡々と、穏やかに、柔らかに……どこまでも静かに……言葉の刃を鋭く突き付ける。



 インスを呆然と見つめるジャンヌはまだ無言のまま。


 言葉もないのか。分かっていないのか。


 その表情からは何も読み取れなくて……



(……これ以上言って、意味があるのかどうか……)



 少し迷うが、はっきりしないのなら、させた方が良いかもしれない……


 もう一度ファンと目配せをして、続けることを伝える。


 微かにファンは顔を顰めるが何も言わなかった。



()()()()()には、あなたにしかできない、するべきことが別にちゃんとあるでしょう?」


「…………ぇ?」



 ふわりと微笑んだインスの言葉に、初めてジャンヌの表情が動いた。



「……わたしにしか、できないこと……?」



 驚いて、ジャンヌは瞬きを繰り返す。



「……ええ……」



 頷くインスが何のことを言っているのか分からない。



 分からなかったのはジャンヌだけではなかったようで、真っ青になって倒れそうになっていたリオンも訝し気にインスを見る。



「……()()()は、何のために、なぜ、()()()()のですか……?」



 その原点を問うインスに、ジャンヌは首を傾げた。



 何のためにも、なぜも、何度も繰り返し伝えたではないか。



「さっきから言っているでしょう? わたしは(カルロス)を救けたいのよ」



 ゆっくりとインスは頷く。



「……そのために、あなたが()()()するべきことに、ちゃんと気づいて下さい……」



 インスが言っていることが分からない。


 まるでわからずやを相手にしているようでジャンヌは少し苛立つ。



「だから! 西の塔に……!!」


「違います」


「今度こそ魔族(あいつ)を倒して……!!」


「それも違います」


「宝石を取り戻すのよ!!」


「……それは、よく分かりませんが……どちらにしろ、あなたがするべきことではないのは間違いありません」



 ジャンヌが()()()()()()を上げるたびにインスが否定する。



 宝石云々に関してだけはインスにはよく分からなかったが、それでも間違いなく『ジャンヌがする』事ではないだろう。



「でも! そうしないとカルロスは……!!」


「それらは現場に任せるべきことで、ジャンヌ様(あなた)にしかできない、あなたがするべきことではありません」



 堂々巡りに、ジャンヌだけではなくインスも流石に苛立ってきた。



「……どうして……!」



 とうとう、インスの声に()()が宿る。



 ざわりと空気が揺れた気配に、一気に近衛や護衛官の緊張感が高まる。


 ファンとクロードもハッと息を飲み身構えたのを見て、インスはゆっくりと息を吐きだす。


 無理やり感情を押し殺し、それまでと変わらない声で問いかけた。



「……皇子殿下のお傍に居て差し上げないのですか……?」


「え……?」



 思いもかけない問いかけに、ジャンヌはまた、目を丸くして言葉に詰まった。


第4章第2話をお読みいただきありがとうございます。


どこまでも平行線をたどるジャンヌとインスの対話。


「西の塔に行きたい」ジャンヌと、「現場に任せろ」と説くインス。


穏やかな口調の裏で、一歩も引かないインスの攻防が続きます。


剣を振るい、敵を倒すことだけが「救う」ことなのか。


インスが説く「皇女にしかできないこと」は、ジャンヌが望む華々しい活躍とは正反対の、静かで、けれど最も尊い場所でした。


ファンやクロードまでが身構えるほどの緊張感にリオンも倒れそうな中、インスが放った最後の一撃。


自分の想いこそが正しいと信じて疑わないジャンヌに対し、インスが告げた彼女にしかできない「役割」……。


その一言は、皇女殿下の心にどう響くのか?


二人の言葉の刃が交わされた先にある答えとは?


次回もお楽しみに!


★明日(12:00)より、番外編第2弾の連載を開始します!


本編で話題に上がった「廃離宮での調査隊撤退」や「魔物騒動」。


ジャンヌたちが噂としてしか聞いていないその裏側で、一体何が起きていたのか?


皇宮呪師たちが直面した戦慄の真実を描く番外編第2弾、 明日より【お昼の12時】に更新スタートです!


夜の本編更新とあわせて、ぜひお楽しみください!


【第1部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】

(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)


【番外編・第1弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~

(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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