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第5話・ぶつかり合うのは~思いだけでは頷けない~

第3章 彼女はいつも一生懸命



       第5話・ぶつかり合うのは~思いだけでは頷けない~



「……どうして?」



 息を飲んだジャンヌの第一声を聞いた瞬間、頭痛を感じたのはインスだけだろうか?



 いや。ファンも眉間を揉んでいるし、クロードも困ったようにジャンヌを見つめている。


 同じように首を傾げているのはリオンだけ。


 そして周囲の警備は流石に表情を変えることはない。



(……このお方は、自殺願望でもあるんでしょうか……?)



 意識が遠くに逸れた気がするインスだったが、このままでは話が終わらないのも分かった。



「……皆さまが、どのように切り抜けたのかは知りませんが……」


「それはね……!」



 溜め息を飲み込んで、困ったような微笑を浮かべたインスが話し始めると、すぐにジャンヌが口を挟んできた。



「言わないで下さい。私は死にたくないです」



 どこか自信にあふれた表情のジャンヌの話を強引に止める。


 正直、聞きたくはない。



「何でそうなるのよっ!?」



(……四回目……)



 リオンが若干逃避しかかった意識の下で数えた。



 インスと、そしてファンが同時に、それはそれは重い溜め息を吐く。



「……悪いな……」


「……いえ……」



 それから、ファンが短く告げると、インスも疲れたように応える。



 警戒し、殺気立っていた周囲からも憐れまれている気がするのは気のせいか?



(……全く嬉しくないんですけれど……!?)



「だって! どうやって倒したかちゃんと聞けば無理じゃないって、分かるでしょう!!」



 力んで言うジャンヌに、そういう問題ではないと返す。



「……そもそも、()()を話題にすること自体が危険だと、認識して下さい……」


「何でよ? インスは知ってるからいいでしょう?」



 説明するが、ジャンヌが理解していないことが分かっただけ。



「良くないです」


「良くありません」


「……ダメだろう……」



 インスが、ファンが、リオンが。



「わたしだって、ちゃんと話す相手くらい、選んでるわよ!!」



 同時に言い切るのを見て、ジャンヌは不満そうに頬を膨らませた。



「相手以前に、内容を精査して下さい……というか、どうして私がそれを指摘しないといけないんですか?」



 皇族の教育はどうなっているのか。と声を大にして問い質したい。



「……きちんと受けていらしてコレだ……」



 インスの心の中でのツッコミに、スッと視線を逸らして呟くファンの様子を見て……



「……………」



 完全にインスの表情から感情が抜け落ちた。



「二人とも、失礼だわ!」



 プンプン怒るジャンヌだが、リオンも二人に賛成だ。


 ずっと無表情で……実際には極わずかに変化してはいるのだが、気づける者は少ない……やり取りを見守っているクロードももちろん賛成。


 とりあえず、クロードが落ち着けとばかりにジャンヌの肩に手を置いた。



「……わたしは……」



 一度、大きく深呼吸したジャンヌの声音が変わる。


 表情からも、それまでの天真爛漫で何も分かっていないかのような無邪気さが消え、真剣なものになる。



「……………」



 様子に、インスも居住まいを正してジャンヌと向かい合った。



「……カルロスを救けたいのよ……」



 天色の瞳が真っ直ぐにインスの赤みを帯びた紫色を見据える。


 そっと、インスは溜め息を飲み込む。



「……たとえ、そうだとしても……」



 これを言うのは自分の仕事ではないような気がする。と思いながらも、今、この場で口にするのなら、自分が一番適任であることも分かって……



 真っ直ぐに、その瞳を見つめ返して、インスも告げる。



皇孫皇女(あなた)がお出ましになられてはいけません」



 それが、立場ある者の振る舞いなのだから。


第3章第5話をお読みいただきありがとうございます。


ジャンヌの純粋すぎる熱意に対し、インス、ファン、リオンの三人の声が珍しく(?)完全に一致しました。


表情が抜け落ちてしまうインスと、そっと目を逸らすファンの様子が、ジャンヌの「一生懸命すぎる危うさ」を物語っています。


彼女の純粋な願いを、他ならぬ仲間たちが全力で止めようとする皮肉な状況。


しかしそれは、彼らがジャンヌを大切に思っているからに他なりません。


インスが放った言葉は、ジャンヌの情熱を冷ますのか? それとも新たな火を灯すのか?


ぶつかり合う二人の信念。


その先に待つ決断はいかに!?


次回もお楽しみに!


【第1部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】

(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)


【番外編・第1弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~

(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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