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第4話・完全に、とばっちり~純粋さとは時に危うい~

第3章 彼女はいつも一生懸命



      第4話・完全に、とばっちり~純粋さとは時に危うい~



 今日の担当者が、皇宮護衛官の総括をしている官長だと知った時から嫌な予感はしていたインスだったが、予想を上回る面倒な事態に今、巻き込まれていた。



「……つまり、皇子殿下の()()のために、旧都に行かれたいと……?」



 目の治療でどうして宝石なのか? とか。


 それでどうして旧都に行きたいのか? とか聞きたいことは色々あった。


 けれども、聞くとろくでもないことになりそうなので、インスはただその一言に話をまとめる。



「今度こそ倒さなくちゃ!」



 グッと右手を握りしめて言い切ったジャンヌに、室温がさらに下がった。



(いや、何を? ……分かりますけど、何を?)



 完全に表情が抜け落ちたインスが内心で突っ込む。


 そうやって、他のことでも考えていないとやっていられない。



 なぜなら、インスの真後ろに立っている皇宮護衛官からも。


 周囲の……さりげなく立ち位置を変えている近衛たちも。


 そして、ジャンヌの真後ろで真顔のままインスを見据えるファンからも。



 隠しきれない警戒心……いや。もはや殺気に近い気配が漏れている。


 全く気づいていないのか、それとも気にしていないのか。



 変わりがないのはジャンヌだけ。



 ジャンヌの斜め後ろに立つリオンは居心地が悪そうにしているし、表情は変わらないまでもクロードからも少し困惑したような気配がしている。



(……これ、下手なことを口にすると殺されそうなんですけれど……?)



 状況に、少しばかり苛立ってきたインスだったが、彼らの気持ちが分からないわけでもない。


 そっと息を吐いて、困ったように微笑んだ。



「無理でしょう」


「えっ!? 何で!!」



 断言されて、本日三回目となるジャンヌの言葉に、今度こそ、隠さずに溜め息を漏らした。



「……まず、旧都の廃離宮の調査に、皇宮呪師団から調査隊が派遣されたのは事実です」



 ジャンヌが調べたという情報分析書を指さして、ゆっくりと説明を始める。


 とりあえず、ジャンヌも黙って話を聞くことにしてくれたらしく、無言で数度頷く。



「派遣された理由は、先の事件の現場検証。……大きな魔力を宿すものが用いられていますから、どのような影響が出ているのか分かりません。……もちろん、事件の主犯がどうなったのかを確認したい。という考えも当然あります」



 魔族は、倒しても()()()()()()


 では、どうやって確認するかと言えば……


 基本的には魔力を感じ取ることで判断する。



「でも、魔物が出て撤退したんでしょう?」



 ピッと書類を指さして、どうだと言わんばかりに胸を張るジャンヌ。



 だが、実際のところは情報が錯綜しているせいで明確なことは分からないまま。


 魔物が出たから退治した。


 とか、調査隊を派遣したら魔物が出たとか。


 どちらが正しいのか、どちらも正しいのか、よくわからない。



 けれど、派遣された調査隊が撤退し、旧都が封鎖されたことだけは確かだ。



「……さあ? どうなんでしょうね? 私が入院していた間の派遣ですので……」



 少し首を傾げて応えたインスの言い回しに「うまい。」と思ったのはジャンヌ以外の全員。



 知っている。とも、知らない。とも。


 そして、正しいとも、間違っているとも返していない。


 ただ周知の事実だけを告げる。



「……次に、今更行ったところで、いるとは思えません……いえ。むしろ、いない可能性の方が高いでしょう……」



 ジャンヌに対して「無理。」と断言した理由の殆どはこちら。


 あの場に残っているのなら、調査隊が帰還できたとは思えない。



 純魔族は()()()()人の手には余る。


 だから人間がこれまで討伐してきたのは『亜魔族』と呼ばれる下位の魔族だけ。


 それこそ、すべての呪師が、全滅覚悟でぶつかって……何とか倒しきれるかどうかといったところ。



 つまり……



「……正直、神剣けんがあればどうにかなる。という考えは甘すぎます」



 再び断言されて、ジャンヌは大きく目を見開いて息を飲んだ。


第3章第4話をお読みいただきありがとうございます。


「今度こそ倒さなくちゃ!」と意気込むジャンヌと、それに対して冷え切っていく周囲の温度差……。


護衛たちの殺気(?)を背中で受けながら、ジャンヌの「とばっちり」を一身に浴びるインス。


内心のツッコミが冴え渡っていますが、その実、彼がジャンヌに放った言葉は非常に重く、鋭いものでした。


インスの巧みな話術と、最後に突きつけた冷徹な事実。


夢見がちなジャンヌの計画が、プロの視点によって真っ向から否定された今、彼女は次にどう動くのか?


次回もお楽しみに!


【第1部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】

(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)


【番外編・第1弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~

(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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