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第2話・期待は募るが物々しくて~その思考に溜め息を~

第3章 彼女はいつも一生懸命



      第2話・期待は募るが物々しくて~その思考に溜め息を~



 わたしの弟。やっぱり天才!!



 自作の情報分析書を眺めながら、ジャンヌはルンルン気分でインスが来るのを待つ。


 自分で一から考え直して、色々と、細かいところはファン……ファン卿ディアスたちからもアドバイスを受けて……そうして作り上げた書類の一番上には『重要』の文字。



 結局のところ、すべてが収束したのは皇都の西にある旧都。


 アンヴァと呼ばれる、遷都以前にはこの国の首都であった古い都市。



 アーグとの決戦の地である、旧都の廃離宮・西の塔は、かつては監獄であった場所。


 調べていくうちに、その西の塔には、事件直後に調査隊が派遣されていたことと……何らかの事故があって撤退し、以降、封鎖されていることが分かった。


 事故の詳細や、調査隊が派遣された理由などは情報が入り乱れていてよく分からなかったが、魔物が出たらしい。という噂だ。



(魔族が巣くっていた場所に、すぐにまた魔物が出てくるなんて、怪しすぎるわ!!)



 グッと、右手で拳を作って決意を固めるジャンヌの様子に、ファンが溜め息を零す。



 絶対に、ろくでもないことを考えているに違いない。



 ファンだけではなく、クロードも、リオンも……今日の近衛たちも皆が察していた。


 そんなことは気にしないジャンヌは……



(きっと、インスなら()()()()()()くれるわよね?)



 などと考えているが、無邪気な皇女殿下の思考を知ったら、ファンは激怒し、リオンは目を剥き、クロードは絶句するだろう。



 しかし、幸か不幸かあくまでもジャンヌが自分の中で考えているだけなので、誰も何の被害も受けずに済んでいる。



 どういう訳か、すぐに呼んで欲しかったインスのとの面会は翌日の昼過ぎに持ち越され、部屋にはいつもより多めの護衛。


 専属護衛騎士団のメンバーを始め、皇帝(そふ)の近衛騎士団や近衛呪師団から数名が派遣されていて物々しい。



(人数的にはいつもとそう大幅には変わらないけど、ごつくて年上が多いのよね……)



 いつもの若手の近衛ではなく、祖父である皇帝付きの近衛なので年齢が全体的に高めのメンバー。


 代わりに、何を話しても怒らない。とファンから言われていた。



(にしても、ディアスってば、何を言ってるのかしら? インスは色々と知っているんだし、元から別に問題ないでしょう?)



 なぜ、何かを言ってはいけない前提なのかがわからない。


 首を傾げるジャンヌの様子に、「コイツ、何もわかってないな……」と、リオンが疲れた顔をしていることにも気づかない程度には、ジャンヌはインスとの面会を心待ちにしていた。



 さて、問題の皇宮呪師こうぐうじゅしインス=ラントは、歴代最高との呼び名の高い天才呪師である。


 年齢は十八歳。青みのかかった銀色の髪と、赤みを帯びた紫色の瞳を持った青年。


 細身で、女性的ですらある優しげな風貌を持ち、ジャンヌとは旧知の仲。



 内緒だが、ジャンヌが皇城しろを抜け出し、皇都まちに出かける時によく手伝ってくれていた。


 呪師が、その魔法の力を使って皇女の脱走に手を貸していた。なんてばれたら、どんな罰を受けるかわからないので秘密にしているが……


 一か月ほど前に、夜中の皇都に魔族を探しに出かけた際、うっかり疑いを向けさせてしまっていた。



 更に、ジャンヌは気にもしていないが……リオンが「忘れているんじゃないか?」と疑っているくらいには気にしていない……ジャンヌたち、神剣の契約者が廃離宮の西の塔に強制転移させられたきっかけは、インスだ。


 皇宮医務殿から姿を消したインスが、突然ジャンヌの部屋に降ってきて、ジャンヌと、その時、部屋で話をしていたリオン。


 そして、知らせを聞いて駆け付けたファンとクロードの四人が揃ったところで、赤い光が魔法陣を描き出し、気づいたら西の塔へと移動させられていた。



 だから、ファンや近衛が警戒しているのはむしろそちら。


 ジャンヌたち四人と、インスが揃った時に、また魔族に強制転移させられてしまう可能性……


 インス自身にそんなつもりはなくても、またトリガーとして使われる可能性はある。



 そんなインスが、年かさの皇宮護衛官に付き添われてジャンヌの部屋を訪れて……



「……ええと……こんにちは?」



 あまりの物々しさと、それを全く気にもせずに輝く瞳で見つめてくるジャンヌを見て、困惑したように首を傾げた。


第3章第2話をお読みいただきありがとうございます。


「わたしの弟、やっぱり天才!」とルンルンなジャンヌですが、リオンの「こいつ、何もわかってないな」という表情がすべてを物語っていますね(;'∀')


廃離宮の事故、魔物の噂、そしてインスの再登場。


役者は揃いましたが、ジャンヌの頭の中にある「旧都遠征プラン」がバレた瞬間に、この物々しい護衛たちがどう動くのか……想像するだけで冷や汗が出ます。


困惑気味なインスの「こんにちは?」という第一声の先に、どんな波乱が待っているのか。


次回もお楽しみに!


【第1部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】

(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)


【番外編・第1弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~

(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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