H-2 「発見 配信 波紋 -全年齢版-」
ふみのちゃんの勤務は、週の後半だった。
でもその4日全部を予約するほどには、ボクにはお金がない。
勤務の都合もあって毎週は無理だし、月に2〜3回だけ。
それ以外の夜は、ボクはネットで新しい体験動画を探していた。
今日も、お気に入りの動画サイトを訪れる。
プロのものもあるけれど、ボクは素人の挑戦動画が好きだった。
たくさんの投稿者がいて、いろんな挑戦や発見がある。
ボクはじっくり、動画をチェックしていった。
ふと、新しい動画で目を止めた。
初めて見る投稿者で、動画のテーマは「夢の中の挑戦」。
人気ランキング3位で、かなり注目されている様子。
中では、参加者が難しいパズルや運動チャレンジに挑戦していた。
そして、ある瞬間、
画面に見覚えのある特徴が……。
動画の中の、細かい手や脚の動き。
そして、右太ももの特徴的な模様。
本人も見えない位置にある目印。
「これは……!」
ボクは驚いた。
*
*
「……うん、知ってた」
こともなげに、ふみのちゃんは答えた。
煙草を消す横顔は、彫刻のように美しかった。
「てっきり誰かに見せると思っていたから、まさかネットで公開してるとは思わなかった」
ふみのちゃんは説明してくれた。
「その映像の機械は、夢の中で安全に挑戦させるためのものなんです。危険防止機能もついているし、途中で止まるから安心」
なるほど、彼氏は使い方をきちんと理解していなかっただけだった。
でも、その後、知らない人にも動画が公開されてしまった。
「アイツ、それも勝手に公開してたの」
「え?」
「だから、次の新作も公開されるかも」
彼女は落ち着いた声でそう告げた。
ボクは怒りを覚えた。
「不正利用は許せない」
でも、ふみのちゃんは首を振った。
「大丈夫。好きなんだし、正しい方法で守ればいいだけ」
そう言って、彼女は平静を取り戻す。
*
*
今日は、林田さんの時間を使って話を聞きたい。
そう、ふみのちゃんは言った。
ボクは驚いたけれど、うなずいて彼女を迎えた。
話を進める中で、彼女は怒りや悲しみを吐き出した。
「友達の動画も勝手に公開されてしまった。どうしても止めたい」
ふみのちゃんは本名を「純子」だと教えてくれた。
文乃は友達の名前だ。仕事の時の名前として勝手に借りていたのだという。
ボクは知恵や方法を共有し、協力することにした。
不正に公開された情報を削除させる手順や、今後の対策を考えた。
「自分だけじゃなく、大切な人を守れるようになりたい。文乃を守りたい」
純子ちゃんは涙をこぼしながらも、強い意志を見せた。
ボクはその意志を尊重した。
この日、ボクたちは不正を止め、次のステップに進む準備をした。
挑戦はまだ続くけれど、少なくとも自分たちで立ち向かう力を持てた。
そして、ボクたちは新しい「発見の色」を、少しだけ見たのだった。




