表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/54

H-1 「初めて見る世界の色 -全年齢版-」


孤独。

そんな言葉がSNSをはじめ、いろんな場所でつぶやかれているけれど。

もし自分が何も挑戦していなかったら、今の自分はいなかっただろう。


ボクは「林田豪」として存在してから、5年くらいは平気だった。

小学校に入る頃には、何かがおかしいと思っていた。


なぜ、ボクが話しかけると、女子はびっくりした顔をするのか。

なぜ、ボクが近づくと、男子はそっけなくなるのか。

「ボクが生きているから? ボクはこんなに普通じゃないから?」

聞いてみたかったけれど、怖くて言えなかった。


父さんは「そんなことはない」と言った。

母さんは「おかしいのは周りのみんなの方だ」と教えてくれた。

ボクはボクのままでいい、と。


それでも、ボクは一度も「生まれてきてよかった」と思えたことはなかった。

周りは楽しそうにしていた。男子も女子も、みんな青春を謳歌していた。


高校を卒業し、ボクはアルバイトをしながら、自分の好きなことに挑戦するためにお金を貯めた。

ネットで見つけた、初めての体験型アトラクション。


お金さえあれば、新しい世界を見られる。ボクみたいな普通の人でも。


19歳の夏、貯めた10万円を握りしめて、ボクは初めてその体験施設に行った。

受付の人に案内されて、ドキドキしながら部屋に入る。

そこには、やさしく笑うスタッフが立っていて、ボクをサポートしてくれた。


その日、ボクは初めてできることの楽しさ、誰かと一緒に挑戦する喜びを知った。

「自分の顔やコンプレックスなんて関係ないんだ」

そう思えた瞬間だった。


     *

     *


施設のスタッフ、ふみのちゃん。

初めて会った時、ボクの不安や緊張に気づいて、優しく励ましてくれた。

「大丈夫、楽しめばいいんです」と笑う彼女を見て、ボクは安心した。

そして、ボクは初めて心の底から楽しむことができた。


それからボクは、他の体験施設を渡り歩いたり、新しいことに挑戦するたびに、ふみのさんの言葉を思い出す。


「失敗してもいい、楽しむことが大事」


その日から、ボクは自分を卑下するのをやめた。

誰かに認めてもらうのではなく、自分自身で世界の色を知ることができるのだと知ったから。


ボクはここにいる。

林田豪として、生きている。

そして今日も、新しい体験に挑戦する準備をしている。

次は「F-2」。全年齢版をアップし、通常版はミッドナイトへ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ