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推しと清く正しい逢瀬(デート)生活 ーこっそり、隣人推しちゃいますー  作者: 田古 みゆう


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Fに託す(4)

 候補者F。彼は、歌もダンスも既存メンバーに見劣りしない力量を持っている。他の候補者と戯れ合うことはあまりないけれど、線を引いて孤立無縁というわけでもない。一歩引いて周りを見る。程良く周りをサポートする。落ち着いていて、物静か。それがFの印象だ。


 落ち着いた感じはFの声音にも表れている。彼の声はとても耳馴染みの良い声。耳から沼る。そんな感じだった。


 そして、もう一点私がリラックスして動画を見ていられた理由。それは、蓮との相性だ。動画の中の蓮は、歌やダンスのレッスンの際、Fと組んでいる時が一番伸び伸びとしていて楽しそうだった。


 動画を見る限りでは、蓮とFはそれほど背丈も変わらない。これは、蓮とのシンメ(左右対象の位置)が合うかもなぁ。


 私は蓮とFが一緒にダンスレッスンを受けているシーンを何度も見返し、ステージ上で並ぶ二人を想像していた。


 そして、三次選考最終日。


 投票締切時間ギリギリまで動画を見て、蓮たちと候補者たちの親和性を確かめた。通過率0.1%という超難関を突破しただけあって、どの候補者も高いポテンシャルを秘めている。


 それでも、やはり私は一票をFに投じた。


 結果発表は一週間後。最終選考に進めるのは、10人のうち上位5名。果たして誰が最終選考に進むのか。ドキドキしながら結果を待つことにした。もうすぐ新生Scorpio(スコルピオ)の誕生だ。


 大切な一票を投じ終え、私はすっきりとした気持ちでいた。これまで、こんなに真剣にグループの在り方を考えたことなどなかった。ただ、推しに熱を上げる。それがアイドルとヲタクとの関係性だと思っていた。


 だけど、蓮たちはファンもグループの一員だと考えてくれた。グループの未来を左右する大切な決定をファンにも委ねてくれた。


 グループを一緒に育てていく。


 そんな固い絆がファンとメンバーの間に芽生えた気がする。これまで以上にScorpioを、そして蓮を応援したい。三次選考を通して、そんな気持ちが強くなった。


 昂っていた気持ちを落ち着けようと、私はコーヒーへ手を伸ばす。随分前に注文したコーヒーはすっかり冷めてしまっていたけれど、今の私にはちょうどいい温度だった。


 私は成瀬さんのお兄さんがやっているというコーヒーショップの常連になっていた。店内に漂うコーヒー豆の香ばしい香りが胸の奥に残っていた熱をゆっくりと冷ましてくれる。


 コーヒーを飲み終え、カップをソーサーに戻したとき、声をかけられた。


「相席いいですか?」

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