隣人特権、強すぎるんですけど。(7)
そう言ってトンと私の肩に頭を預けた。あまりにも突然の展開に、私はただただ呆然とするばかり。
……なにこれ? どういう状況?
自分の置かれた状況に思考が全く追いつかず、私はパニックを通り越して頭の中が真っ白になる。肩に乗せられた成瀬さんの頭の重さを感じながら、ただあわあわと動揺するばかり。
これは夢? 夢なら覚めて! いや、覚めないで!!
私の中で、処理しきれない感情がぐるぐると渦巻く。
どれくらいそうしていただろう。不意に肩が軽くなる。成瀬さんの頭が肩から離れたと思ったら、今度は私の顔を覗き込んできた。その距離の近さに思わず後ずさりそうになる。しかし、がっちりと肩を掴まれたままなので、それ以上は下がれない。
ち、……近いです!
あまりの近さに私は視線を泳がせる。
成瀬さんファンのみなさん、ごめんなさい。でも、これは不可抗力です。
思考回路がパンク寸前の私は、誰にするでもなく謝罪を心の中で繰り返す。そんな私の動揺など全く気にする様子もなく、成瀬さんはさらに顔を近づけてくる。
……お願い、これ以上は来ないで! これ以上、近づかれたら私の心臓が止まる……!
心臓がバクバクと大きな音を立てている。もうすでに私の許容量はいっぱいいっぱいだ。それなのに、そんな私の心の声などお構いなしに、成瀬さんは私の体を頭から足先まで見回す。その真剣な眼差しに私は思わずドキリとした。
納得いくまで私を検分した成瀬さんからようやく解放され、私は安堵のため息をこぼす。
よかった。心臓が止まる前に、無事に生還できた。
なぜだか疲労困憊な私はその場にへなへなと座り込む。すると、私と目線を合わせるように成瀬さんも隣にしゃがみ込んだ。
……まだ何かあるんですか? もう私のライフはゼロですよ?
そんなことを思いながら成瀬さんへ視線を向けると、心配そうに私を見る成瀬さんの視線とぶつかった。
「あの……」
あたふたとするばかりの私をじっと見詰めたまま、成瀬さんが口を開く。
「どうしてあんなことをするのですか!」
成瀬さんから投げかけられた言葉の意味が理解できず、私は目をパチクリさせる。そんな私に構うことなく、成瀬さんは言葉を続ける。
「何か辛いことがあったのですか? 俺でよければ話を聞きます。……話を聞くことくらいしかできないけど……」
かつてないほど至近距離で見る成瀬さんの顔。視線はどうしても離れない。もはや本能レベルで釘付けになっている。
あ、まつ毛長い。いいな。




