再会 ×(偶然)³ +きゅん= ゼロ距離って、合ってます?(2)
ダンスボーカルグループScorpioは、圧倒的なパフォーマンス力と個性が魅力の男性四人組アイドルグループ。そのルックスの良さとダンスのキレから男女問わず人気がある。とは言え、やはり女性人気の方が圧倒的だが。
いつも完璧な王子様感を漂わせている藤崎樹はグループの顔。朝ドラに出たのを機に、その知名度を全国に広げた。メンバーカラーは黒。寡黙でシックな雰囲気の彼にはピッタリだ。
藤崎樹の次に人気が高いのは、影山蓮。私の推しメン。Scorpioのリーダーである彼は、ダンスも歌も上手い。そして、なによりも周りへの気配りを欠かさない。グループ内では、暑苦しいが頼れる兄貴分として慕われている。そんな熱血兄貴のメンバーカラーは、もちろん情熱の赤。暑苦しさがピッタリだと、メンバーからはよく揶揄われている。
そして、弟組の二人。メンカラ白の桐野涼と、メンカラ黄の西原優磨。涼はグループのムードメーカーで、面白いことが大好き。お調子者でたまに羽目を外すこともあるけれど、そこも含めてメンバーに可愛がられている。
優磨はグループ最年少ながら、ツッコミ担当である。そして、グループのコンポーザーでもある。そう、Scorpioの音楽は、優磨によって生み出されているのだ。まさにScorpioの精神的支柱。
二人は個々でも人気があるが、二人セットで推しているファンも少なくない。弟感満載の涼が、クールで天才肌の優磨に絡んでわちゃわちゃしているのを愛でるのが好きという、いわゆるケミ推しというやつだ。
樹のぶれない王子様感。蓮のいつも高い熱量。涼の愛らしさ。優磨のクールさ。それぞれが個性的で、一人として欠けてはいけない唯一無二の存在。それがScorpio。
そんな彼らの魅力を最大限に引き出した最新のミュージックビデオを満足いくまで堪能した私は、イヤホンを外した。スマホの待ち受け画像にしてある推しを見つめる。
ああ、尊い。いつまででも見ていられる。
そんなことを思いながら、ふぅと一息ついた私の心臓が、突如ドキリと跳ねた。向かいの席に座っている人を見て、思わず目を見開く。
成瀬さんだ。成瀬さんが向かいの席に座っていた。彼はカップに口をつけながら、寛いだ様子で文庫本を読んでいる。私は何度か瞬きを繰り返したあと、慌てて周りを見渡した。
席は他にも空いているのに、何故この席に?
驚きに満ちた私の視線に気がついたのか、成瀬さんが本から目をあげた。




