表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

プロローグ 〜世界を救った独身女の孤独〜

挿絵(By みてみん)


この小説のタイトルロゴ完成

世界を、救った。

悪魔王ガイアスを打ち倒し、魔王と和平協定を結び、長きにわたる人間と魔族の争いに終止符を打った。


そして私たち勇者一行は、それぞれの道へと散った。


村人リスクはシスターマリアと結婚。

「あの人、昔はただの村人だったのに……」などという少女時代の妄想が現実になった瞬間だ。

めでたい。お幸せに。二人の新居には転送魔法陣を置いてやった。ノックなしで突然現れてやる予定だ。


勇者は?というと

「俺は夢のハーレム実現するために女の子たちに囲まれて、第二の人生をエンジョイするぜ★」

そう言い残して、どこかへ消えた。

こっちもある意味、めでたい。


……で、私はというと。

独りぼっちになった。


302歳、独身。

黒魔術師を極めし者。

救世主なのに婚期を逃すという、まさかのスキル取得。


「え?マーリン様って魔族だったんですか?」

「302歳って。ちょっと……怖いです……」

「女なの?てっきり性別不明かと……」


余計なお世話だ、全員焼き払うぞ。


でも、本当は。

私だって、幸せになりたかった。


誰かと手をつないで、並んで歩いて、

どんな魔物より恐ろしい“日常”という名のダンジョンを、共に生き抜くような人生。

魔法じゃない奇跡が、あるなら。


そんな男、いるわけない。

でも何処かにいるかもしれない。


理想の男、ね。

そうね。たとえば、こんな人。


・黙っていても私の機嫌に気づく、鋭い感性。

・黒魔術の大爆発に引かない度胸と懐の深さ。

・器が大きく、でも自慢しない。

・美味しいワインの一本くらい、サラッと選べる品格。

・笑うとちょっと犬っぽくて、でも口下手で照れ屋。

・お店の店員に敬語が使えて、ゴミもちゃんと持ち帰る。

・ちょっとした傷にも気づいて「大丈夫?」って聞いてくれる優しさ。

・割り勘でもいい。でも1円単位まではやめて。

・話を聞く力があって、自分語りをしない。

・ついでに言えば、顔も私のタイプで、年収は安定していて、母親と適度な距離感があり


……あれ? 

これってもう、まぼろしぃ~じゃない?


「……いい男なんて、いないのよ。どうせまたクズに引っかかるだけ」

そう言いながらも、私は放浪の旅に出る。


なぜなら


どこかで、誰かが私を待ってるような気がしたから。


待ってなかったら?

ふふ、そいつは地獄まで吹き飛ばすだけ。

私の黒魔法で。


こうして私は、再び杖を手に取った。

今度の旅は、世界を救うためじゃない。

私自身を救うための戦いだ。


名付けて

『風転爆撃のマーリン 〜いい男探して3000里〜』


世界一長くて辛口な婚活放浪記、今、ここに開幕。

幸せよ、待ってなさい。

この魅惑の黒魔術師マーリン様が、今、迎えに行くわ。


(※ただし相手がクズだった場合、迎える前に吹き飛ばします)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ