秘めたる重圧
毎日19時頃投稿予定です。
「フレイアストさん!あの……昨日、何かあったんですか?私、心配で……」
翌朝、学園の廊下でフレイアストの姿を捉えたセレスティアは、迷うことなく駆け寄った。息を切らしながら問いかけるセレスティアに、フレイアストはわずかに目を見開いた。
「セレスティアさん……おはようございます。いえ、何でもありません。少し考え事をしていただけです」
フレイアストはいつものように平静を装い、穏やかな微笑みを浮かべた。しかし、その瞳の奥には、彼が必死に隠そうとしている重い影が潜んでいるのを、セレスティアは見逃さなかった。
「そんなこと、ありません!昨日も、薬草園での様子がおかしかった。それに、今朝も、なんだか元気がなくて……私、心配なんです!」
セレスティアは一歩踏み込み、真っ直ぐにフレイアストの目を見つめた。彼女の声は震えていたが、その表情には、これまでの彼女からは考えられないほどの強い意志が宿っていた。
「心配、ですか……」
フレイアストは言葉に詰まった。セレスティアの真剣な眼差しは、彼が築き上げてきた冷静な仮面を揺るがすには十分だった。彼女の純粋なまでの問いかけに、自分の問題で彼女を巻き込むことへの罪悪感が再び胸を締め付ける。しかし、彼はそれでも、この重い荷を一人で背負おうとした。
「大したことではありません。僕が解決すべきことです」
そう言って、フレイアストは視線をそらそうとした。だが、セレスティアは一歩も引かない。
「大したことないなんて、そんなはずありません!フレイアストさんがそんな顔をするなんて、よほどのことに決まってます。私、フレイアストさんが困っているのに、見て見ぬふりなんてできません!お願いです、教えてください!」
セレスティアは、これまでの人生で一度も他人に向けたことのないような「圧」を、全身から放っていた。それは、怯えや遠慮とは無縁の、ただ純粋な「あなたを助けたい」という情熱からくるものだった。その瞳は、まるで彼の心の奥底まで見透かすかのように、真っ直ぐに彼を捉え続ける。
フレイアストは、セレスティアの「今まで見たことのない」毅然とした態度に面食らった。彼女がここまで、自分に深く踏み込んできたことは一度もなかった。彼女のその揺るぎない覚悟を前に、フレイアストの心にあった障壁が、ゆっくりと崩れていくのを感じた。
「……分かりました」
彼は深く息を吐き出した。もう、隠し通すことはできない。そして、この目の前の純粋な強さに、自分もまた、向き合うべきだと悟った。
「話します。ですが、少し長くなります。人目につかない場所へ行きましょう」
フレイアストはそう告げると、セレスティアを連れて、人気のない渡り廊下へと向かった。彼の重い口から、ユーリ生徒会長からの退学宣告と、「次期生徒会長選挙」という名の「代理戦争」の全てが語られることになる。
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