表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/130

初めての決意

毎日19時頃投稿予定です。

フレイアストさんが薬草園を足早に去っていくのを見て、思わず手を止めた。普段の彼は、どんなに疲れていても、植物の小さな変化一つ見逃さず、研究に没頭する人だ。それなのに、今日の彼はまるで心ここにあらず、私の問いかけにも上の空で、結局、早々に切り上げてしまった。背中が、いつもよりずっと小さく見えた。


(どうしたんだろう……何か、辛いことでもあったのかな)


これまでの私だったら、きっと「余計な詮索はしない方がいい」と、見て見ぬふりをしていただろう。人前に出ることを恐れ、誰にも関わらず生きてきた私にとって、他人の領域に踏み込むことなど、考えたこともなかった。下級貴族や平民の生徒からさえ「出来損ない」と嘲笑されてきた私には、誰かと深く関わる自信も、その資格もないと思っていたから。


でも、フレイアストさんは違った。


初めて会った時から、彼は私の緑属性の魔法を「地味」だとか「おまじない」だとか、一度も馬鹿にしなかった。むしろ、私の魔法が持つ可能性を誰よりも信じ、「生命の真理に最も近い力だ」と、私自身が気づかなかった価値を見出してくれた。彼が教えてくれた「細胞サイボウ」の概念は、私の世界を大きく広げ、魔法に触れるたびに感じていた「確かなもの」の正体を教えてくれた。


私の研究が、私自身が、無意味ではないのだと、彼は証明してくれた。


(フレイアストさんが、私と真摯に向き合ってくれたから……今度は、私がフレイアストさんに向き合う番だ)


胸の奥に、小さな、しかし確かな炎が灯ったような感覚があった。それは、これまで感じたことのない、「誰かのために」という強い思いだった。彼が抱えているだろう重い秘密。それを知らずに、彼を一人にしておくことはできない。私の臆病な心が「やめておけ」と囁いたが、その声は、フレイアストさんへの感謝と、彼を支えたいという願いの前では、あまりにも小さかった。


その夜、セレスティアはなかなか寝付けなかった。翌朝、学園に向かう足は、いつもよりずっと軽かった。そして、朝一番にフレイアストを探し、彼の姿を捉えた瞬間、迷うことなく駆け寄った。


「フレイアストさん!あの……昨日、何かあったんですか?私、心配で……」


顔を上げたフレイアストは、少し驚いたようだった。だが、セレスティアの瞳には、もう後戻りできない、固い決意の光が宿っていた。

ブックマーク、高評価、グッドボタンが何よりも励みになります!

ちょっとでも続きが気になると思っていただけたら是非お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ