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自己紹介

毎日19時頃投稿予定です。

翌日。俺は与えられた情報通り、学園の講堂へと向かった。


一年生全員が一堂に会するこの場所は、早くも帝国の縮図となっていた。貴族たちは自然と固まり、平民の特別聴講生は肩身が狭そうに隅に追いやられている。


そんな中でも、ジークハルトの名は早くも知れ渡っているようで、俺に向けられる視線は好奇と値踏み、そして警戒が入り混じっていた。


学園長による形式的な挨拶と、オリエンテーションの説明が始まる。その間も、俺は昨夜のアストリアとの会話を思い出していた。彼女との再会? そして俺の記憶喪失。彼女がこの場にいるのか、無意識のうちに探していた。


オリエンテーションは、まず全体での自己紹介から始まった。


貴族たちのグループが家柄や魔法の適性を誇示する中、講堂の空気を支配する存在がいた。入学式で生徒会長と論戦した第一皇子カインだ。彼は自信に満ちた表情を浮かべ、模範であるかのように振る舞い、周囲の視線を独り占めにしていた。


……だがあれは仮面だろう。


そして、俺の番が来た。ざわめきが起こる。ジークハルトの弟、魔法適性がない黒髪……悪い噂ばかりが先行している。


壇上へ続く階段を上る一歩一歩が、やけに重く感じられた。視線が全身に突き刺さり、肌が粟立つ。


壇上に立つと、講堂全体のざわめきが、まるで潮が引くようにわずかに鎮まった。誰もが固唾をのんで、俺の次の言葉を待っているかのようだ。


「フレイアスト・フォン・アトレイディスです。ご覧の通り、黒髪で魔法適性もありませんが、勉学に励む所存です」


自嘲を込めて、だが毅然と言い切った。案の定、軽蔑と嘲笑が渦巻く。「魔法適性がないのにアトレイディス家?」「貴族の面汚しめ」「噂は本当だったのか」。平民からの視線も、同族嫌悪か警戒か、刺さるように痛い。


重苦しい空気が講堂に広がる中、アストリアの番が来た。彼女は静かに立ち上がる。その夜闇を照らす月を彷彿とさせる銀色の髪が、講堂の光を反射してきらめいた。


彼女が壇上に立つと、講堂のざわめきは先ほどとは異なる、奇妙な静けさに包まれた。誰もがその銀髪に目を奪われているかのようだ。


「アストリア・グレイよ」


簡潔な言葉。他の生徒たちには一切興味なさげな素振りを見せる。


だが、その瞬間だけ、ずっと退屈そうにしていた第一皇子カインの視線がアストリアの銀髪に釘付けになったのを、俺は見逃さなかった。


彼はその場でわずかに身を乗り出し、その瞳には美しいものを手に入れることを当然とするような、冷たい輝きが宿っていた。まるで獲物を見定めたかのように、カインはアストリアから目を離さない。


俺は内心で嫌な予感を覚えた。


自己紹介が終わり、学園長から「施設ツアーは自由なグループで回ること」が告げられた。


これで目立たずに済むと安堵したが、同時にカインのアストリアへの視線が、脳裏に焼き付いて離れなかった。

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