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外伝:ジークハルト 学園編9

「ジークハルト様はダンスのお相手はすでにお決めになられたんですの?」


……この質問は今週に入って何回目か。


「あぁ、もう決めている」


「そ、そうですか、伯爵家のかたですか? それとも子爵家?」


「いや違う」


大体このパターンだな。そしてこの続きは


「男爵家ですの?!」


「……まあ気にするな当日になれば分かることだ」


「わ、わたくしはまだ決まっておりません!」


彼女は伯爵家の人間だ。


「それはなんとも。まだ私の相手が決まっていなければあなたをお誘いしたでしょうが……次回以降、機会がありましたら是非」


「そ、そうですか……まあお家の決定もあるでしょうから仕方のないことですわね。それでは。失礼いたしますわ」


そう言って彼女は去っていく。


コネクション作りは今も行っている。有力な貴族家の子息とは今のところ問題なく関係を築けている。


だが、キサラの言ったように俺の影響力はいい意味でも悪い意味でもこの学園内では大きすぎる。


それは俺が辺境伯家の子息であり、この学園には俺以上の貴族家がいないから当然のことなのだが……


俺が今からやろうとしていることは……


まあいい。この先のことは俺ならばどうとでもなるだろう。この程度で躓いているようでは俺がアトレイディス家を、ひいては帝国を率いていくことは出来ないだろう。



そしてダンスパーティー当日。


会場は煌びやかに装飾が施され、数々のオードブル、そしてドリンクやワイン、カクテルなどの酒類が一通り用意されており、本格的な貴族の社交の場ではないにしろ、さすがは帝国一の名門学園といったことが伺える。


会場にはほとんど貴族家の者しか出席はしていないが、ちらほらと特別聴講生が手伝いとしているのが見受けられる。


そんな帝国の縮図のような場で俺の周りには常に人だかりができ、毎度のことながら俺は売られる媚びを買いたたく。


無限に続くかのように思われたやり取りに疲れ、少し休憩を挟もうかと思った時だった。


何やら会場の入り口の方の雰囲気が異様なことに気が付く。


気になって注目しているとそれは現れた。



「……天使」



ーーーー



ついにこの日がやってきてしまった……


私はドレスの着付けをすませ、パーティー会場へと向かう。


はじめてドレスなんか着た。窮屈で苦しい……


ドレスは自分で選んだ。図々しいとは思ったが、色とりどりの装飾華美なドレスは目立つので避けたかった。そのなかで私がかわいいなと思ったのが白いドレス、とてもシンプルで派手な装飾はない。そして何より値段が安かった。


これならばあとから請求されても何とか払えるかもしれない……


「はぁ……」


出来るだけ目立ちたくない、だからあえて少し遅れて会場へ向かった。


ジークを待たせるのは良くないとは思ったがこれくらいなら大丈夫だろう。


「ちょっと、なにあれ?」


やっぱりだ……。周囲の目が私を捉えるとひそひそと何かを呟いている。


「白のドレス? 私は清純ですとでもアピールしたいわけ?」


「それにあの子は誰? 見たことないわ」


非常にまずい……。白はだめだったのだろうか?


「おい、見ろよあの子……」


なんだか、目立っているような……


「どこの家の子だ? お前知っているか?」


「……いや、わからないな」


それはそうだろう。私は貴族ではないのだ、認知されているはずがない。


「なぁ、かわいくないか? 声かけてみようかな」


「やめとけ。多分ダンスの相手は高位の貴族だぞ?」


え?


「……そうだろうな。あんなにかわいいしな」


ど、どういうこと?


ざわざわ…


会場へ着く。何やら私の周りの雰囲気が異様だ……


目立たないようにと思っていたはずなのに。


会場までたどり着いたがここからどうすれば?!


よく考えたら社交パーティーなんて経験していない、あたりまえだが……。何をすればいいのかわからない…、マナーだって知らない。私としたことが失念していた、あまりにも突然であまりにもスケールの大きいことに直面し、思考がついていかなかったのだ。


「ど、どうしよう……」


つい心の声がもれる。


なぜか、みんな私と距離をおこうとする。そのせいで私の周囲は開け、すごく目立っている。


とにかくなにか、行動しなくては。そうだ! ジーク。彼はどこ?


がやがや……


間違いなく私に視線が集まっている……


どうしようとてつもなく目立っている!



カツ…カツ…


「レディ。俺と一曲踊っていただけませんか?」


白を基調とした仕立ての良い豪華な衣装に身を包んだジークが手を差し出してきていた。


「ジーク! ちょうど……って…えっ!?」


私は手を引っ張られダンスホールまで連れて行かれる。


「ちょ…」


音楽隊による演奏がはじまる。


「俺に合わせろ」


「え……」


何が何だかわからない。ジークに手を引かれ、ステップなのか分からないステップを踏む。


「フッ…」


「ちょ、何?」


明らかに鼻で笑われた。


「いや、なぜ白を?」


「ご、ごめんなさい。白は場違いなの? 知らなかった……」


会話をしながらもなんとかジークについて踊る。


「あ! それを言うならジークも白じゃない!」


「そうだが? 俺は白の意味を知ったうえで選んだ」


なに? いつもと表情が違う。柔らかくて…なんだか……嬉しそう?


「白の意味? 清純とか聞こえてきたけど……この場ではだめなの? それなら何で使用人の人たちは止めなかったの?」


「お前が選んだのか?」


「そ、そうよ」


「フッ…」


また鼻で笑われた。


「なによ」


「使用人達は止めないだろうな。俺の意図を知っているから……」


「……意図?」


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