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外伝:ジークハルト 学園編8

今日は三話分投稿します! 続きは昼頃と夜に投稿予定です!

ジークはいったい何を決めたのだろう。結局私には教えてくれなかった……


彼が本当は優しいこと、辺境伯の長男であるという重たい責任を負っていて、そこからたまに誤解を招くような言動をしてしまうことはもう私は気付いている。


最初は彼のことを、帝国でも随一の名家の御曹司で、ただ傲慢でプライドが高いだけの典型的な帝国貴族、いやそれ以上に質の悪い人間だと思っていた。


実際に私の方が座学でも魔法による実践でも勝っていて、彼はそれを気に食わないとして私を退学させようとまでしていた。本当に貴族的で傲慢だと思った。


でも彼は少し違った。彼は彼なりの正義を見出そうとあがき、必死に勉強して座学で私を追い越した。さらに、私が貶められて死の危機に瀕していた時、真っ先に助けに来てくれたのは彼だ。


自分の危険も顧みず、一平民でしかない私を助けるためだけに命を張ってくれた。


それにあの時の…… ふふっ、ちょっとかわいかったな。


まあそれは置いておいて、彼はあの時、第三魔法と思しき力を発揮した。


……あの魔法はなんだったのだろう。冷たくない氷魔法。


氷魔法の存在自体が異質だというのに、さらに彼の魔法はただの氷魔法じゃない気がする……


まあとにかく彼はその魔法に目覚めたことにより、実践でも私を追い越した。


名実ともに紛れもなくこの学園のトップになった彼は生徒会長になる。


彼の公約は、全ての生徒が分け隔てなく正当に評価される学園。


本当に不器用だと思った。それでもそんな公約を打ち立てれるのは彼くらいしかいないだろう。


それによって私へのいじめは陰湿化していったのだけれど……それは彼のせいではない。


彼は本当は、私を助けたかったのではとも思う……いや、それは私の希望的観測だ。


彼の彼なりの正義を貫いた結果の公約だろう……


「キサラ」


「え!? ジークなんでここに?」


「一つしかないだろう。お前を誘いに来た」


「……? どういうこと?」


突然ジークが片膝をつき、私に手を差し出してくる。


「レディ……ダンスパーティーのお相手をしていただけませんか?」


「へ? なに?」


「二度も言わせるな。ダンスパーティーの当日、俺と踊れ」


「え! で、でも特別聴講生である平民はダンスパーティには呼ばれない」


「知るか」


「そ、それに私ドレスなんて持っていないし……」


何を的外れなことを。ドレスを持っていたって平民の私が辺境伯家の長男とダンスなんて……


「心配するな。ドレスは用意させる。屋敷の使用人を何人か連れてきた。採寸とドレスの選定は彼女らに任せろ」


「え!? そ、そんな、何かの冗談でしょ? 私に恥をかかせて、勝った。とか言うんでしょ!?」


「ごちゃごちゃうるさい」


「お、お金は!? そうお金! 私にそんなドレスを買うお金なんてない! あなたは御曹司だから知らないかもしれないけどドレスって本当に高いのよ?!」


「ああ、知らんなドレスの値段など。だがそれがどうした? 俺が出すのであればお前には関係ないだろ?」


「……本気、なの?」


「冗談で俺がお前の前で膝をつくと思うか?」


「で、でも私は平民」


「だからどうした」


「ダンスの相手に選ぶってどういうことか知っているの?」


「なぜ平民のお前に貴族の作法を解かれないといけない。知っていて当たり前だ」


「……」


「チッ…素直に俺の誘いを受けろ」


「私のためにそこまで……」


「か、勘違いするなよ! 俺がお前を誘うのは俺の公約を身をもって体現するためであって、決してお前を助けたいとか…そ、その……す、すきじゃなくて。こ、好意を抱いているわけでもなくて。ただお前の存在が利用するのに丁度いいだけであって……」


「ありがとう…ございます。とても嬉しいです! ……でも、お断りします」


「は?」


「あなたが思っている以上にあなたの影響力は強いです……私があなたのダンス相手に選ばれればきっとこの先、私はこの学園にはいられなくなるでしょう……」


「はぁ……お前は俺の認識を誤っているようだな。まず、お前に言われなくとも俺の影響力がどれほどのものか俺は理解している」


「それなら!」


「黙って聞け。これが最もお前が俺の認識を誤っている点だ、俺はお前に頼んでいるのではない。これは決定事項だ」


「……! そ、そんな……」


「わかったなら大人しく俺の決定に従え。一週間後のパーティで待っているぞ。逃げることは許さん」


そう言い残してジークは去っていく。


ここまで強引だとは思わなかった……彼が言ったように私は認識を間違っていた。


……やっぱり貴族と平民の関係はどこまで行っても変わらない。


少しでも彼に希望のようなものを見出しかけていた私が馬鹿だった……



それから私はジークの決定に従い、本当に現れた彼の家の使用人によって採寸が行われる。


「はぁ……」


「ジークハルト様に振り回されているご様子ですね」


「……」


「いいですよ、気を使わなくとも。私たちがキサラ様の発言をジークハルト様に告げ口するなどは致しません」


「そ、そうですか……」


それをどうやって信じろと?


「ええ。それに、キサラ様を丁重に扱えとジークハルト様から申しつけられております」


「意外ですね……あ。いや間違えました! 今のはその……」


まずい! ……つい口をすべらせた。不敬と取られてもおかしくないかも……


「ふふっ。大丈夫ですよ」


「い、今のは取り消しで……」


「ええ、キサラ様がそうおっしゃるのであれば」


な、なにか違和感を覚える。様付で呼ばれているからかな?


「あのぉ……私に様を付けるのはやめていただいても?」


「それは、困りましたね。ですがどうしてもとおっしゃるなら……」


……? 意味が分からない。貴族の風習かなにかなのだろうか?


「……そうですか、ではご自由にお呼び下さい」


「はい。かしこまりました。キサラ様」

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ちょっとでも続きが気になると思っていただけたら是非お願いします!


第二部からタイトル変更しようと考えています。

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