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マッド科学特区

毎日19時頃投稿予定です。

「うわぁ! すごい!」


「これがあの村じゃと!?」


ルミナと村長が驚きの声を上げる。続いてリーゼ村の人々も口々に感嘆の声を上げていた。


俺も驚いた。この村は山脈の麓の森の中にあるのだが、綺麗に区画整理されており、森の中に突然そのまま街ごと転移したような、そんな異質さを漂わせていた。


ここに辿りつくまでに通った森の中はうっそうと茂った植物が生え。毒を持った害虫がいたり、時折魔獣にも出くわした。


そんな森から一転、この村には秩序と清潔感があり、聞いていた辺境の村の印象とかけ離れていた。


「久しいなリーゼ村の村長よ。話は聞いておる。しばらくはテントで暮らしてもらう事になるとは思うが。その内、空いた区画に家を建てるといい」


そう申し出たのはこの村の村長と思しき人物だった。


「なんと! 事情をすでにご存じと!? それに本当に我々を受け入れて下さるのですか?」


「事情は今朝聞かされた。だがこの村も随分と余裕が出てきた。村民の受け入れ、快く受けようぞ」


昨日の出来事だったのにすでに話が通っていて、快く受け入れてくれると。


普通だと怪しむ展開だろう、だがこの村はこの程度の住人など受け入れても何ら問題はない、それだけ発展しているように見受けられた。


「これ、お前がやったのか?」


間違いなくLPの仕業だろう。


『いえ……私は関与していません』


「じゃあこの状況はなんだ?」


『マッド様です』


「だれ?」


『私の恩人です』


「……そうか、よくわかんないけど、これっていいの?」


『少々やりすぎのようですね…ですがこの村だけの特例ですので……』


LP曰く、この村はマッドという人物が管理しているらしく、その人物は自身で開発したものをこの村で試験的に取り入れているのだとか。


本来、文明への介入をLPもよく思わないのだがこの村だけは特例とし、マッドという人物が自ら製作した物に限りこの村での利用を許可した。


なんでも、自分を助けたマッドを助けた村であるからという理由で、この村だけ特別なのだとか。


「恩人の恩人は恩人ってところか……」


『間接的に借りがある村といった方が簡潔で伝わり易いかと』


「いいんだよ、独り言だ」


この村での実験を許されたマッドは自分を助けてくれた村の惨状をなんとかしたいと考えていた。そのため、この村の役に立つような発明を積極的に行った。


最初は村の人たちも懐疑的な目を向けていたらしいが、マッドのやることを見ているうちに次第に積極的に協力するようになった。


聞いた限りでは、電力を供給し、食料保存のために冷蔵庫、冷凍庫を設置したことがこの村を発展させる決定的な要因だったのだと思う。


次に安定的な食料確保のために、農業に適さない土地で農業を行おうと考えたそうだ。これは一筋縄にはいかなかったようだが、マッドは工場を参考にして自動化技術に目をつけた。


土地に栄養がないのであれば栄養のある土壌を作り出せばいいと考えた。


森林を伐採し、山脈の向こうから大量の栄養のない土を持ち込む。そして自動で土を耕す機械を開発し、さらに、自動で肥料を撒く機械を開発した。そうして少しずつ土に栄養を与えていった。


次に自動で種を撒く機械を作り、少しではあるが植物が育つようになる。その次は自動で収穫する機械だ。


こうして十年近くの年月、半自動的に農作業を続けたことで立派な自動化農場を完成させた。


元の星にあった緑化装置を、少々回りくどくして作り上げたようなものだった。


こうして食糧事情は解決した。


ここまでくればもう、村の者はマッドに全面的に協力するようになる。そしてマッドが描いた設計図を基に村を作りなおす大規模な工事を始めた。


山脈から流れる川の水を組み上げて水道を通し、下水道も作った。そして汚水処理施設も建造する。


新たに出来上がった村は電気、水道のインフラが整い。もはや帝国の都市よりも快適に過ごせると言っても過言ではない。


しかし、外との交流は徹底的に遮断した。この村の存在がバレれば明らかにこの星の文明に少なくない影響を及ぼすことが懸念される。


中には外と交易を図るべきだと主張する村人もいた。だがマッドはLPの言いつけを守るために、村人をなんとか説得して納得させたようだ。幸い交易なしでもこの村で十分豊かな生活は送れる。それにこの村以上に安定的に暮らせる場所は魔王領にはないだろう。


そういった理由もありマッドの説得は成功した。しかし村人の主張を抑えることは簡単なことではないだろう、それほどマッドという人物はこの村で絶大な信頼を得ているのだろうことが分かった。


ただ、LPも最初からこの村から技術が漏洩することはないと考えていた。そもそもこの村に訪れる人などほとんどおらず、魔王領といえども魔王軍ですらこんな辺境に目を向けることはないらしい。


加えて、LPもこの村のことは監視しているらしく、外に技術が流れるということはないということだそうだ。


もしマッドによる説得が成功せずに、村人が外との接触を図っていたらどうなっていたのだろう?


LPのことだ……想像に容易い。



そうしてこの村、別名マッド科学特区(Mads Science Special Zone)

通称MaSSZ(マッズ)は完成した。いや正確にはまだ開発は進んでいる。


リーゼ村の人たちもこの村を一通り案内され、反対意見を出していたものも納得したようだった。


これで魔王軍幹部のベノク・トートベンズの死についての情報はうやむやになり、次第に時が忘れさせるだろう。



『さてマスター、今後の方針は? どうされる予定ですか?』


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ちょっとでも続きが気になると思っていただけたら是非お願いします!


まっず、いい名前が浮かんでこない…

もしマッド科学特区のいい呼称があれば教えて下さい。

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