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アーチの過去 後編

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毎日19時頃投稿予定です。

宇宙コロニーで一般家庭に生まれたアーチ・ファラデー。


6歳になり、強制的に受けるさせられる身体検査により優秀であると判断される。


そのため家族から無理やり引きはがされ、幼くして帝国軍直轄の機動兵器パイロット養成施設に入れられる。


そこでの生活に自由は少なく、良い成績を修めると待遇が少しずつ良くなっていく。


そんなシステムのためか、周りの人間とは自然と競うように仕組まれ、アーチと同じように無理やり連れてこられた彼ら彼女らにとっては同年代の男女は敵でしかなく、仲良くなる余地などなかった。


厳しく統制されたルールにただ従う事のみを良しとし、戦闘に必要な知識だけを詰め込まれ、厳しい訓練に耐え続ける日々。


アーチもすぐにその環境に適応し、他の少年少女と同じように、ただ()()()()()()ようになっていく。


しかしそんな日々の中にあって、アーチにはただ一人、心の拠り所とする存在がいた。


2歳年上の少年である。その少年はアーチと同じコロニー出身で、偶然にも彼は、近所に暮らしていたのだ。アーチはごく幼いころにその少年と毎日のように遊んでおり、彼を兄の様に慕っていた。


その少年もアーチのことを弟のように思っており、この施設でアーチを見つけた少年は隙を見つけては会いに行き、二人でいろいろなことを語り合っていた。


そんなある日、その少年が施設の中でも特に優秀な成績を修めたために、異例の士官学校への飛び級入学が決まる。


この施設から士官学校への飛び級などいつ振りの事だろう。この閉鎖的な施設から逃れられる術があったことにアーチもその少年も素直に喜び合った。


その当時の士官学校は、後方勤務を志望する貴族のみが通う軍学校であり、そこを卒業した者はどんな成績であろうと軍の将校となれる。拍をつけたい貴族にとって、手っ取り早く出世する都合のいい学校でしかなかった。


そんな場所に平民が入学することなど想定はされていなかった、にも拘らずその少年は士官学校行きの切符を手にする。


なぜか? それには帝国の歴史が関係している。


戦争があまりにも長年続き過ぎたために、戦争など支配者階級の者からすればただの日常となり、もはや帝国は本気で戦争を行っていなかった。そのため士官学校はすでに形骸化していた。


しかし大昔には、帝国も本気で戦争をしている時代があった。その時の制度で養成施設で、()()()()()()()()()()を修めた者には平民であっても士官学校に入学できるという制度があった。


その条件を満たすほどの成績をとる者が、このシステマチックな養成施設から出てくることはかなり稀であり、長い歴史から見ても数えきれるほどの数しかいない。


だが、少年はその条件を見事にクリアして見せた。


そして、形骸化した士官学校は長年改定されることのなかった制度に従い、その少年の入学を認めた。


彼は士官学校でも優秀な成績を修め続けた。彼が目をつけた帝国軍の制度では、士官学校を卒業した平民は前線での実戦経験をいくつか積めば後方勤務に移動できるというようになっていた。


そのことをアーチにも伝え、一緒に後方勤務を目指そうと提案したのであった。


そうしてアーチも養成施設で見事に優秀な成績を修め、無事に士官学校入りを果たす。


アーチが士官学校に入学したのと同時に少年は士官学校を卒業し前線に送られる。


しかし、彼は早くに戦死してしまうのであった。


それを知ったアーチは絶望した。自分よりも優秀だった少年がこうもあっさり戦死したからだ。


それからのアーチは無気力に士官学校生活を送った。優秀な成績を修めれば待遇が良くなっていくという養成施設のシステムが身についていたアーチは、無気力ではありながらも無意識で優秀な成績を修め続け、士官学校を卒業することとなる。


何の因果か、アーチの唯一の拠り所であった、兄のような少年が死んだ戦場にアーチも送られるのであった。


無気力に生きてきたアーチは、ついに迎えた初陣で、死んでもいいと考えていた。


しかし、初めての実践で戦場と人型機動兵器に魅了されたアーチは覚醒を果たす。


そこからのアーチは死んでしまった兄のような少年の代わりに、後方勤務の夢を叶えようと必死に生き残った。


順調に戦功を重ね、少尉まで上り詰めたアーチは、新型機動兵器エアレー量産試作機のテスト小隊隊長に任命された。


しかし、その戦場で想定されていなかった敵の大戦力の奇襲に会い、死亡した。



『……これがあなたの過去です』


「あぁ、思い出した……」


LPが語った俺の前世……すべて思い出した。


「あいつの名前はハルトだ……」


何の因果だろう、この世界での兄がジークハルトで、前世での兄のような存在がハルト……笑えない冗談だ……


「おれはあと何回戦場で生き残ったら後方勤務になれたのかな……?」


最後の戦場で俺はかなりの戦績を叩き出した、もしかしたらあそこを生き残ればハルトと目指した夢が叶っていたのかもしれない……


『いくら生き残っても不可能だったでしょう』


「は!?」


『帝国は戦争を惰性で続けているだけです、もちろんそこに帝国の思惑は存在しますが。後方勤務の将校には貴族しかなれません。戦争に真摯に向き合っていたころの帝国ならばマスターはすでに将校への道が開けていたでしょう。あなたは最前線で目覚ましい活躍を遂げ、エースパイロットでありながら士官学校をも卒業した稀有な存在です。死ぬ直前には帝国軍歴代撃墜スコアトップを叩き出しました、昔の帝国であればあなたは帝国の英雄と呼ばれていたことでしょう』


「……ばかみたいだな」


俺やハルトが夢見て成し遂げようとしてきたことはなんの意味もなかった……


「俺がどれだけ頑張ったって生まれた時代と場所が悪かったんだ……俺に出来ることはなかったんだ……それに、それじゃあハルトは……あいつだって……」


怒りや悲しみ、無力感。色んな感情が沸き上がってきて自然と涙がこぼれてきた。転生して泣いたのなんていつぶりだろう。


「俺じゃなくてハルトが転生してればよかったのにな、あいつの方がよっぽど勇者だよ……」


『マスター……もう一つお伝えしたいことが、これは余分なのですが一応』


「なんだ? もうなんでもいいよ……」


『あなたがエアレー量産試作機のテストパイロットに選ばれたのには理由があります』


「そうか? 帝国はテキトーに戦争してただけだろ? 俺もテキトーに選ばれたんだろうよ」


『いいえ、それは違います。あなたに目を付けた貴族の方がいました。その方は帝国貴族には珍しく、戦争を本気で終わらせようと孤軍奮闘されていたようです』


「そんな奴がいたのか、それをなんでお前が知ってるんだ? そんな帝国の方針に抗うようなこと、秘密裏に行われて然るべきなんじゃないのか?」


『その方の力でエアレー量産試作機と私の前身であるA.E.S.Aが作成されました。その方の計画の全てを知るわけではないのですが、計画にはあなたに功績を上げさせ、無理やりにでも自身のもとに引き上げようという狙いがありました。そこから先の計画は分かりませんが……』


「なんだそれ……じゃあ俺は将校としての後方勤務はないけど、もう少しで最前線から脱出できてたかもしれないってことか?」


『可能性はあります。しかしその行先が最前線よりも良いものかというと、はなはだ疑問ではありますが……』


「そうか……だったら、この世界に転生出来てよかったのかもな……」


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