アーチの過去 前編
今回も長くなったので前後編に分けて投稿します!
後編は本日19時頃投稿予定です!
魔王軍幹部のベノク・トートベンズとスケルトンの軍勢を撃退した翌日。
リーゼ村の人々は全員LPの提案に乗ることを決め、さらに東にあるかつて交流のあった村へと移動を開始していた。
中には反対の意見を言う者もいたが、多くはLPに従うしかないという結論に至り、反対していた者もLPが間接的に支配しているという村の様子を見てから決める、と渋々ながら同行していた。
「れーいっ♪」
村を失ったのに妙に上機嫌なルミナが隣まで来て俺の頬に指を突き刺す。
「うぶっ、ルミナ!? ……な、なんだよ……」
なんだか少し照れくさくなり顔を背けてしまう。
「ふふふッ♪ なんでもないよー♪」
それだけ言ってルミナは俺を追い越して行った。
そんな姿を見て、俺もどこか嬉しくなる。
あのまま斥候の任務を続けていたらどうなったのだろう? 俺は二度とルミナやリーゼ村のみんなに会えなくなっていたかもしれない。そう考えると胸の内に安堵のような感情が込み上げてきた。
なんだかんだ言っても俺はルミナや村の人たちと別れるのは嫌だったんだ。
「はぁ……」
安堵はしたものの問題を先延ばしにした感は否めない。
『マスター。少しいいですか?』
「ん? あぁ俺のことか、どうした?」
『お伝えしたいことがありますので付いてきていただけますか?』
「ああ」
そうしてLPは村人達の列から少し離れたところまで俺を連れだし二人きりになる。
『これから話すことはあなたの前世の記憶です』
「それは俺も気になっていたところだ、なんか知ってそうだなお前」
『はい。理解不能でしょうが私の中にあなたの前世の記憶がすべて記録されています』
「なんで?」
『私にもそれを完璧に説明することは不可能です』
推測にはなりますがとLPが前置きをして語ったことは、簡潔に言うと前世で戦闘中に死亡した俺はこの星の勇者召喚という魔法に巻き込まれ、転生したのだという。その際に俺の前世の記憶がAIであるはずのLPに移ったのだとか。
「本気で言ってる?」
『はい。ですが、前置きした通りすべては私の推測です。しかし推測した通り転生したマスターを見つけました、十分な信憑性があると思われます』
「なんで俺がそのますたーってやつなわけ? 勘違いじゃない?」
『あなたは前世の記憶はないものの知識はお持ちなのでしょう? AIというものを素直に受け入れているように見受けられますが?』
そう言われれば一理ある。こいつは人間なのではなくAIを搭載したアンドロイドみたいなものらしいが、そういう存在がいたことは知識にある。
それに、あまりに自然過ぎたので気が付かなかったが、こいつとの会話はこの星の言語ではない、俺が生まれた時から習得していた言語で行っている……
「そうだとして、どうやって俺の居場所を見つけたんだ?」
『見つけたのは単に偶然です。遠くからあなたの戦闘を観察していたところ、私が記録しているマスターの戦闘データと極めて同じような動きをしていましたので、もしかしたらと思いまして』
「それだけ!?」
『ええ、あれほど一致した動きが偶然の産物である可能性は極めて低かったので』
「そうなのか?」
『それに、血液検査の結果であなたとアーチ・ファラデーの生体情報にいくつかの共通点を発見しました。それはクローンと呼ぶには少し遠いですが、他人と判断するには共通点が多すぎましたので』
「血液検査!? そんなのした覚えはないけど?」
『白い布をお渡ししたことは覚えていらっしゃいますか?』
「あの時! なんか変だとは思ったけど、なるほどね……プライバシーの侵害で訴えるぞ?」
『この星にそのような法律が存在するでしょうか?』
「………AIってこんな感じだっけ?」
『………ええそうです』
「おい! なんか間があったぞ!」
『まあ細かいことは気になさらずに、あなたの過去に興味はございませんか?』
「それは……なんで話してくれるんだ? 意図は?」
『あなたが記憶を取り戻せば、これまで話したことを納得していただけるでしょう?』
「それだけか?」
『それだけです、何か気になることでも?』
「いや、話してくれ」
『承知しました』
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次回。ついに明かされるアーチの過去!




