世界を水で全部満たすスペシャル! 出てきた外来種にスタジオ騒然!
随分前に書いてほったらかしにしていたパロディ作品です。
異世界転生・転移についてのパロディですが、特定の作品やジャンルを貶める意図はありません。
「そういうのは冗談でも気に入らない」という方は、お読みにならない事をお勧めします。
「全然平気」という方、どうぞお楽しみください。
「お茶の間の皆さんこんばんは。『世界を水で全部満たすスペシャル!』のお時間がやってまいりました。解説にはこの世界の闇を統べる魔王様にお越しいただきました」
「どーもー」
「本日はよろしくお願いいたします」
「お願いしまーす」
「さて、今回は既に創造主の方が世界を水で満たしてもらっているので、船で逃れた生き物の中から外来種を探す訳ですが、どうですか? 見つかると思いますか?」
「このところ発見報告がかなり増えていますからねー。あ、早速見つかったようですよ」
創造主の見えざる手で持ち上げられた外来種!
一体どんな外来種なのか!?
「魔王様、あれは?」
「チート目高レベル科無自覚族の【ナンデオドロイテルノ】ですねー」
「これはどういった外来種ですか?」
「こちらの世界に来た際に、レベルが上昇しやすくなるスキルなどを所持していた事で、突き抜けた能力を手に入れたタイプです」
「成程。世界の生態系への影響はどうでしょうか?」
「このタイプは温厚な性格がほとんどで、仲間や所属する国に攻撃をしない限り、環境の維持・向上に努める事が多いですねー」
「あ、本当ですね。宙吊りにされているのに、『すみません、また驚かしちゃって……』って頭掻いてますね」
「これは戻しても問題ないでしょう」
「あ、創造主の方もそっと船に戻しましたね」
「ただ刺激すると激しい反撃をする事がありますので、生息域を確認する必要はあると思います」
「要観察といったところですね」
「はい」
さて、次なる外来種は……!?
その時!
創造主の見えざる手が何かを掴んだ!
「あ! また何か見つかったようですよ。魔王様、あれは何という外来種でしょう?」
「あれはチート目異世界知識科技術革新族【ゲンダイギジュツムソウ】ですねー」
「ほう、これはどんな外来種ですか?」
「元の世界での知識や技術を持ち込んで、生活や文明のレベルを引き上げるタイプです」
「それはこの世界にとってメリットがあるのではないですか?」
「そうですね。しかし技術革新が急速すぎると、倫理が育つ前に力だけが広がってしまう事になりかねません」
「成程」
「魔力がなくても知識と技術さえ伝われば際限なく広がってしまうので、この世界の文化や文明を守る意味では完全に野放しにはできませんねー」
「あ、創造主の方が、『無闇に広げないように』と声をかけて船に戻しました」
「ネガティブな話もしましたが、この世界の発展には【ゲンダイギジュツムソウ】の力は大きく役立ちますからね。共存共栄ができるとの判断でしょう」
「今後の動向に注目です」
さて、次なる外来種は……!?
その時!
創造主の見えざる手が何かを掴んだ!
今度は何やら大物の予感!
「あ! 今度の外来種は激しく抵抗していますね。魔王様、あれは何という外来種でしょう?」
「『チート目特殊スキル科不遇族の【コノセカイニフクシュウヲ】ですねー」
「これはどういった外来種になりますか?」
「転生や転移の際に一般的な良スキルを得なかった、または評価されなかった事で不遇な状況に追い込まれ、社会や世界全体に対して強い怒りを持っています」
「成程、それは危険ですね」
「しかしこの外来種は、自分と同じ、またはそれよりひどい状況に置かれている者に対して心を開く事が多く、その者が平和を望むと復讐にこだわらなくなります」
「あー。あの【コノセカイニフクシュウヲ】も『俺の仲間に手を出したら、粉微塵になるまですり潰すぞ!』と叫んでますね」
「復讐心の高いままなら、『創造主だろうと何だろうとこの世界ごと滅ぼしてやる!』とか言うので、語気は荒いですがかなり落ち着いているようです」
「あ、創造主もそっと元に戻しました」
「世界を滅ぼす程の危険はないと判断したのでしょう」
「仲間と共に幸せに生きられるといいですね」
今回の収録では危険な外来種は発見されなかった……!
だが異世界転生・転移がある限り、世界が滅びる危険性を持つ外来種が持ち込まれる可能性はある……!
今後も我々の調査は続いていくのだ……!
読了ありがとうございます。
笑えばいいと思うよ(震え声)。
なお外来種分類は適当です。
……シテ。……許シテ……。
不快に思った方がいたならすみません。
楽しんでもらえたなら幸いです。