◇ 白の家
月の都の女はこう言っていた。
「ホワイトハウスに強い月光を感じます」
つまり、ホワイトハウスに行けばいいということだ。
勝負服のスーツを着て、戦いに挑む。百年ほど前に買って、気に入ったので着続けている代物だ。
腰に携えているのは刀。銘は『黄金』、なかなかの名刀で気に入っている。腕くらいならスッと斬れてしまう恐ろしい刀。
「まもなくアメリカに到着します」
機械音声が、知らせを発する。いい時代だ、オートで飛べるジェット機があるなんて。
自家用ジェット、本当に買っておいてよかった。
◆
「月光を貴方に授けます。おおよそ五回、月光幻想を行使できるようになるでしょう。方法は、こちらの書を見ればだいたい分かります。大丈夫です、簡単です」
なんて言っていたが、本当にそうなのだろうか。と、疑っていたが月から地球に戻る時に行使した感じ本当に簡単だった。
帰還に月光幻想を一度使用。残りは四回。相手は月光幻想を再現した月界技術を行使可能。だが、能力としての威力はこちらの方が上になると、月の女は言っていた。
四発の対戦車ライフルと、アサルトライフルの様な戦いだ。ライフル以外をどう補填するかで、勝負は決する。
「―――行くぞ」
走り出す。ハワイトハウスの近郊から駆け出す。無論、考えるまでもなくそのまま突入したら警備に捕まるだろう。………故に
「――――月透」
授けられた月光を身体に纏わせて、そこから意志を反映させる。誰にも見つからないように、と幻想を抱けば―――
「………」
横を通っても、警備には視認出来ない。純粋な透過。といっても、よくある笑い話のように身体だけを透過で服が……という物では無く、完全な透過。服をも透き通らせる、完全透明人間。
え、扉とかを開けたらバレるって?大丈夫、そこでもう一つ。
「月潜」
物体へのすり抜け。壁を通り、内部へ侵入する。どちらの月光幻想も効果時間にして三十分程。本当はもっと準備して潜入に望みたかったが、月の月光はもう数少ない。
持って一週間。さらに自分に渡した月光で残り三日程。それ以上で、都の住人達は死んでしまう。
「………あった」
地面に軽く潜れば、変な空間。真っ白な、研究所の様な場所があった。
「ビンゴだ」
青く輝く大きな石。間違いなく、あれこそが月石。だが、その輝きは殆ど失われていた。
「どうやら、月光の補充は出来なそうだな。もっとも、方法なんて分からないのだが」
ダムかと思うほど大きい場所には数えきれないほどの石。そこを進んでいくと、一つの扉があった。
それは、凄く厳重そうな白い扉。そこを通ろうとした瞬間―――
「生きていたか、月上 星也」
コツ、コツと靴の音。後ろから大統領の声。
「少々ベタだが、こんな台詞を吐こう」
スン、と瞬間移動。扉の前に立つ。
「ここを通りたければ、私を倒してからだ」
「おかしいな、透明になっているはずだけどな。―――解除」
『月透』と『月潜』を終了する。
「月眼――― あり得ざる物を見る眼。それに君は映ったんだ」
「そうかい。まあいい………」
刀を抜く。
「ケジメってやつだ。アンタを倒して、自分は向こうに行く――――――」
数千年の終止符を打つための戦いが今、始まった。