6 . 俺の友人は何かがおかしい
杏哉視点です。
何故だろうか。
何故突然友人からとてつもない違和感を感じるのだろうか。
気のせいだろうか。
いや、気のせいではないはずだ。
まあ良い。単刀直入に言おう。
今朝の棗の様子は何かがおかしい。
棗が俺との待ち合わせに遅刻することは、珍しいことではないから、とりたてて違和感など感じてはいない。
俺が違和感を感じたのはその後の棗の行動だ。
何と、棗の奴、俺に謝ってきた。
待ち合わせに遅れたことを謝ってきたのだ。
普段の棗は、遅れても謝ってはこない。
「悪ぃ」とは言うが、この後はあっけらかんとしているのだ。
しかし、その棗が何故か謝ってきたのだ。ちゃんと。
しかも心なしかいつもよりも元気な気がするんだよな。
いつもより生き生きとしている。
これは何かがおかしい。
棗に何があったのだろうか。
何か心境に変化を及ぼす何かがあったのだろうか。
これは気になる。
そこで俺は棗に直接聞いてみることにした。
「なあ、棗。お前昨日何かあったのか? 何か様子がいつもと違うぞ」
すると、棗は明らかに動揺した様子で、
「え、え? な、何もないけど? 」
と言ってきた。
これな何かがおかしい。
もしかして......
「彼女でも出来たか?」
そう聞くと、棗は驚いた顔をして、何やら1人でブツブツつぶやき始めた。
「か、彼女? いや、あれは絶対に彼女ではないな。じゃあ、どういう扱いなんだ? いやいやでも、アイツの事は言わないほうが良いよな... じゃああれをどういう扱いに区分すればいいんだ? ただ単に……」
なんかずっとブツブツつぶやいてんぞ。
それに何だ?アイツって。
「ま、昨日の夜お前に何があったかは知らんが、俺に教えてくれたって良いんだぞ?」
「え? あ、うん。 わ、分かってるって。」
おい棗。
お前絶対昨日の夜何かあっただろ。
どうも怪しい。
どうやら棗は俺に何か隠しているようだ。
何を隠しているのかが無性に気になる。
まあ良い。今に見てろ。
すぐに口を割らせてやる。
俺を甘く見るなよ?
だから、観念しておとなしく白状するんだな、棗君。
お前はもうすでに俺の手のひらの上だ。
初めて杏哉視点で話を書いてみましたが、いかかだったでしょうか。
今後も、ちょくちょくこういう風に、第三者視点で話を書いていこうかなと思います。