1 . プロローグ
初めまして。
光 梨緒と申します。
この作品がたくさんの方に呼んでいただけたらなと思います。
何とぞ宜しくお願いします。
「ああ、疲れた。」 とその子供は思う。
”あの時”からもうどれくらいの時間が経っただろうか。
どこかも分からない場所を、ある1人の子どもは歩いていた。
一見幼そうに見えるが、ただの幼い子どもではないことは明確だった。
尖った耳。
物憂げな瞳。
青と紫がかった髪の毛。
頭の上に浮かぶ黒い輪っか。
そして何よりも、背中から生える禍々しい8本の触手。
その全てがただの子供ではないことを語っていた。
年は4歳くらいだろうか。
その子供が、ただただ、何も目的を持たず、道を歩いていた。
そう、ここは人間が住んでいる世界。
そこには、本来いるはずのない子供が存在していた。
と言っても、この世界はもちろん人間がいる世界なわけで、ちゃんと文明は発達している。
人もそれなりにいれば、交通機関だって発達している。
高層ビルや、ショッピングモールもちらほらあった。
時間帯はおおよそ午後の10時くらいと言ったところだろうか。
そこは、会社や習い事、塾から帰る人などで賑わっていた。
あるところでは、
「会社も終わったし、一杯飲みに行くか〜」
「おっ! 良いですね!」
「じゃあ先輩の奢りで!」
「おいおい!?」
またあるところでは、
「あーあ。 また赤点取っちゃったよ」
「ゲームばっかやってるからなんじゃないの?」
「僕をなんだと思ってるんだ」
そんなこんなで楽しそうに会話をしている声がちらほらと聞こえてくる。
そんな周りの景色を、その子供は物珍しそうに見つめながら歩いていた。
しかし、周りの人々はその子供に気付く素振りも見せない。
それだけの存在感を放っておきながら、誰も気付かない。
そんな道を、その子供はただ、歩いていた。
1人きりで。
誰の仲間も持たず。
孤独に。
無心で。
何の感情も持たず。
その道を進むことだけを考え。
ただひたすらに。
その道を歩いていた。
プロローグはいかがだったでしょうか。
これから先の物語も読んでいただけたら幸いです。
少しでも、面白い!続きが気になる!と思ってくださると、とても嬉しいです。
これから宜しくお願いします。