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敵の考察と夕食


「時間差で発生する毒……か。その可能性はあるな」

 

 私の考えにアルスラン様が目をスッと細める。

 

「そのようなことができるのですか?」

 

 クィルガーが眉根を寄せて腕を組むと、ソヤリが少し目を伏せながら言った。

 

「時間が経てば浮かんでくるインク……その仕組みを使えば毒の発生をコントロールすることはできるかもしれません。その類のインクは暗号を用いる時によく使われるものですから」

「あのインクか……その中の成分のどれかと毒を結びつけたのか」

「おそらくは。文字が浮かび上がるまでは毒と認識されないとは盲点でした。申し訳ありませんアルスラン様、確認を怠った私のミスです」

 

 外から入ってきた書類に毒が仕込まれていた可能性があると知って、ソヤリが王の間の外で跪いて頭を床まで下げた。

 

「よい。このような手段で毒を運べると予想できなかった私が甘かったのだ。……フッ奴らはどんな手を使ってでも命を狙ってくるというのに、私も慢心したものだ」

 

 ん? 奴ら?

 

「あの……アルスラン様はこの毒を送ってきた犯人が誰かわかっているのですか?」

「……この世界で毒を自在に操る存在など奴らしかおらぬ。テルヴァだ」

「ええ⁉ テルヴァですか? なぜテルヴァがアルスラン様のことを……?」

 

 アルスラン様から思わぬ名前が出てきて私は目を見開いた。

 

「ディアナ、アルスラン様は魔石信仰の中心にいるような方ですよ。そのような存在をテルヴァが狙わないわけがありません」

「あ……そっか、そういえば魔石使いを滅ぼそうとしているんでしたね、テルヴァは」

「そもそも今の時代にエルフが現れたという方がテルヴァにとっては予想外のことです。元々は高位の魔石使いを殺すことを目的として生きている一族ですから」

「しかしアルスラン様が王となってからはこのような攻撃は止んでいたはずだ。奴らが再びアルスラン様を狙い出したということか?」

 

 クィルガーの問いにソヤリは僅かに眉を寄せる。

 

「そのようですね。そもそも今まではアルスラン様が作った対テルヴァの防衛対策が機能していましたから、奴らもアルタカシークに入り込むことはほとんどできなかったはずです。しかし今回王宮関連の書類に細工ができたということは……」

「奴らはすでに執務館の内部に入る込んでいるということだな」

「えっ」

 

 執務館の中って……アルタカシークの政治の中心部ってことだよね? それ、かなりマズいんじゃ……。

 

「去年ディアナが攫われた件といい、今回のことといい、思ってる以上の数のテルヴァがここにいるようだ……。これほど活発に動くということは、それを指示している者もすでに入り込んでいるということか」

「指示できるものですか……それはまさか」

「……他の者はともかく、彼奴(あやつ)が国境を超えることはできぬはずだが、どうやって……」

 

 彼奴って誰だろう……。アルスラン様もソヤリもクィルガーもその人物について心当たりがあるようだ。

 

 アルスラン様は私をチラリと見て言葉を続ける。

 

「学院にテルヴァの協力者がいることはわかっている。ということは貴族の懐に隠れているのやもしれぬ。学生の移動の折に一緒に入り込んでいるのか」

「……学生に付き従ってアルタカシークに入ってくる使用人たちは多いですから、その可能性はあるかもしれません」

「ソヤリ、各国の学生に付いている使用人についての書類を持って……いや待て、今すぐ動くのは悪手(あくしゅ)か」

「悪手とは?」

「執務館にまでテルヴァが入り込んでいるのなら、今この塔は奴らから見られている可能性がある。塔の中で異変が起こっていないか、奴らは必ずチェックしているはずだ。おそらくソヤリが大きな箱を背負ってここへすぐに戻ってきたのも把握しているであろう」

「え……」

 

 今まさに自分のいる場所がテルヴァに監視されているかもしれないと言われて私はゾッとする。でも確かにこの毒を送ったのがテルヴァだとしたら、その後アルスラン様にそれが届いたか見ているはずだ。計画通りにアルスラン様が毒で倒れたら王の塔からクィルガーやソヤリが慌てて出てくるだろう、と。

 

 うわぁ……それを思うとソヤリさんがいつも通りの感じで王の塔に入ったのは大正解だったってことだよね。

 

「では余計な動きはせず、これから予定していたことをそのまま行った方がいいということですね」

「ああ、そうだな。この毒の発生したインクの解析と使用人についての書類はソヤリに任せる。怪しまれないよう調査してくれ」

「はっかしこまりました」

「今日予定されているものはなにがある?」

「今日の執務はほとんど終わっています。透明魔石術の研究をしたあと、ディアナとともに夕食を召し上がっていただく予定でした」

「む? 食事は聞いてないが……」

「クィルガーの料理人にはすでに王宮へ来て準備させていますので、それを取りやめにするとアルスラン様の体調がよくないのかと思われるかもしれません」

「そうか……では仕方ないな。予定通りに持って来させなさい」

 

 アルスラン様が指示を出すと、ソヤリはさっと立ち上がって厨房へ向かった。

 

「ディアナ」

「は、はいっ」

「其方とそのマイヤンがなぜここに入れたのか、それから歌の魔石術についてはまた後日検証をしたい」


 アルスラン様からの意外な言葉に私は目を瞬かせる。

 

「なんだ?」

「いえ……私がここに入るのは今日だけだと思っていたので……検証ということはまた私がここに入るってことですよね? いいのですか?」

「其方は私を害する気があるのか?」

「あるわけないじゃないですか! ただ、その、私の方が居た堪れないといいますか、緊張すると言いますか……」

「……少し気になることがある。検証が終わればそうすればよい」

 

 ん? あれ? そうすればいいってなぜか私に判断を委ねちゃってるけど、アルスラン様はいいの? 私がこの中にいて。さっきはめっちゃ拒否反応示してたよね?

 

 アルスラン様の気持ちが読めずに戸惑っていると、クィルガーがさっきのカップを下げるように言ってきたので、私は自分のとアルスラン様のカップをお盆に乗せて出入り口の方へ持っていった。黄の魔石術を使えばいいのだが、なんとなくアルスラン様の前から離れたかったのだ。

 

 ちょっと一回緊張を抜きたい……。

 

 クィルガーのいる出入り口の前までやってきて、私はふと立ち止まった。

 

「? どうした?」

「ここでお父様に手渡しでお盆を渡したらどうなるんでしょうか?」

「あー、俺がそのお盆を触った時点でお盆が吹き飛ぶからやめとけ。昔同じことを実験したことがある」

「そうなんですね」

 

 こちら側にいる人間の魔石術の力に包まれていないと魔法陣の力が作動してしまうようだ。

 

「……あ、じゃあこのまま私がそちらに出るのは問題ないんでしょうか」

「……そう、だな。多分」

「其方が出ることは問題ない。持っているものも弾かれることはない」

 

 部屋の中心からアルスラン様が答えてくれた。もしかしたらそれも昔実験したことがあるのかもしれない。私は思い切ってえいっと魔法陣の壁の外へ軽くジャンプして王の間から出た。

 

 おお、普通に出れた。

 

「……本当に不思議だな」

「私が特級だからでしょうか」

 

 目の前にいるクィルガーにお盆を渡しながら首を傾げる。クィルガーはそんな私を見ながら目を細めて片手でぽんぽんと私の頭を叩いた。

 

「よくやってくれた、ディアナ」

「お父様……」

「おまえがいなかったらどうなっていたかわからない」

 

 クィルガーの顔には大きな安堵とやるせなさが滲み出ていた。命をかけて仕える主をその手で助けられないもどかしさがあるのだろう。

 私は眉を下げて「お役に立ててよかったです」と笑った。

 そのままクィルガーにくっついて廊下の棚に置いてあるお茶の説明を受けていると、ソヤリがワゴンを押して帰ってきた。それを見た途端、私のお腹がグゥと鳴る。

 

「ディアナ……」

「だ、だってコモラのご飯は本当に久しぶりなんですもん」

 

 透明魔石術の研究が延期になってたこともあって、私は冬休みが明けてから一度もコモラのご飯を食べていない。それにさっきの出来事で心身ともに疲れていたので体が素直に反応したみたいだ。時間もちょうど夕食時間だし。

 

「ディアナ、今日は中でアルスラン様と一緒に食べてください」

「え? 中でですか?」

「病み上がりのアルスラン様を動かすわけにはいきませんから。中から黄の魔石術を使って入れてください」

「わかりました……けど、私も一応疲れているんですよ?」

「貴女は元々体力がありますし、さっき癒し茶を飲んだので平気でしょう」

 

 むぅ……私の扱いが酷い気がする。ソヤリさんはアルスラン様以外の人には雑すぎるよ。

 

 それから二つのローテーブルに料理を並べて、私は再び王の間へ入ってそれを移動させる。ローテーブルは大きいので出入り口から部屋の中央までに置かれた本タワーをアルスラン様に避けてもらった。

 

 ローテーブルが当たって本タワーが崩れたら危ないもんね。

 

 アルスラン様の正面にある執務机を横に避けてもらって、そこに料理の乗ったローテーブルを置く。料理をこぼさないよう移動させるのは結構集中力が必要で疲れた。

 

 これ、絶対アルスラン様がやった方が早かった気がする。

 

 続けて自分の料理の乗ったローテーブルを移動させて、アルスラン様の少し前に置いた。まさか二人だけで食事をすることになるとは思わなくて、私はまた緊張が戻ってくる。

 けれどもそれはコモラの料理を見ると飛んでいった。なんと今回は夕食ということでアルスラン様とメニューがほとんど変わらなかったのだ。

 

 ほわぁぁぁぁ! 水餃子にモチモチチーズソースのシャリクもある! やったぁぁ!

 

 私が目をキラキラさせて料理を眺めていると、ソヤリが外から声をかけた。

 

「アルスラン様、食事を召し上がることはできそうですか?」

「……あまり食欲はない」

「しかし少しは食べていただかないと怪しまれるかと」

「……ディアナ、其方が食べればよい」

「ふぇ⁉」

「最近はそんなに食べていなかったのだ、少し減っていればそれで十分であろう」

 

 アルスラン様の料理を食べられるのはちょっと惹かれるけど、私はそこまで大食漢なわけではないし、アルスラン様の体を考えると少しでも食べた方がいいと思う。

 

「アルスラン様、とりあえず食べれそうなやつだけ食べてみましょう。そうですね……病み上がりにはやはりスープがいいと思います。今日はあっさりとした野菜のスープですし、まずはそちらを召し上がってみてください」

「……スープか」

 

 私に言われてアルスラン様がスープを口に運ぶ。

 

「どうですか?」

「……ふむ、これなら食べられそうだ」

 

 よかった。スープには滋養があるからこれだけでも体力回復の役には立つだろう。

 

 私も自分のスープに口をつける。スープは私もアルスラン様のと同じもののようだ。

 

「はぁー美味しい。あ、これ生姜も入ってますね。生姜は体を温めるので病み上がりにはピッタリですよ」

「其方が前に言っていた生薬というものか」

「そうです。生姜は特に料理に使いやすく、効果も優れているのでアルスラン様には合ってる食材ではないでしょうか」

 

 私は自分のご飯を食べながらアルスラン様が食べやすいメニューがないか探す。

 

「あ、ラグメンがありますね……これは麺料理なのでアルスラン様でも食べられると思うのですが……あれ、私の方にしかないですね」

「ラグメンは王族の方は召し上がりませんから」

「え、そうなんですか? こんなに美味しいのに?」

 

 振り返ってソヤリにそう質問すると、「王族の方が啜って食べるというのは品位が下がることなので、昔から出されないようになってます」と返ってきた。

 

 なるほど、啜るのが行儀が悪いっていうのは前世の他の国でもあった価値観だね。こっちの麺は短めに切られているから私としてはパスタ感覚なんだけど、それでもダメなようだ。

 

「もったいないですねぇ……ラグメンもスープに栄養がありますし、お腹も溜まるので滋養食としていいと思うんですが」

「それはどのような味なのだ?」

「えっと、今日のはトマトをたっぷり使ったスープですね。他にたくさんの野菜やニンニクが少々、あとは脂身少ないお肉が入っています。比較的さっぱりとした味だと思うので、もしよければスープだけでも召し上がってみませんか?」

「ディアナ⁉ アルスラン様にラグメンを?」

「私はまだ手をつけてませんし、味見くらいならいいのではないですか? ちなみにニンニクも滋養にいいのですよ」

 

 私がそう言うと、アルスラン様は少し興味を持った顔をしたので、私はテーブルを回り込んでラグメンの乗った器をアルスラン様の前へそっと出す。

 アルスラン様はラグメンを不思議そうに眺めながら、スプーンでスープを掬って口に運んだ。

 

「……ふむ、色が濃い割にはあっさりとしているのだな。ニンニクの香りというのも悪くない」

「本当ですか? ニンニクはクセが強いので今まであまり使ってなかったと思いますが、これからはもっと増やしても良さそうですね。料理人に伝えておきます」

「……これが麺か。本で読んだことはあるが見るのは初めてだ」

 

 アルスラン様はフォークで短い麺を刺して、それをマジマジと見ている。

 

「こちらの麺はモチモチとした食感で食べ応えがありますよ。水餃子の皮に似ている感じです」

「……」

 

 しばらく麺を見ていたアルスラン様はそれをスプーンの上に丸めて乗せそのままパクリと口に入れた。

 

「アルスラン様⁉」

「召し上がったのですか?」

 

 クィルガーとソヤリがそれを見て驚いている。

 

 おお、アルスラン様の初麺体験。どんな感じかな?

 

「いかがですか?」

「……確かに食感は水餃子の皮に似ているな。スープと絡んでよく味がする」

「トマト味の他にも動物のガラを使ったものやミルク味のものもあるので、ラグメンは飽きの来ない料理ですよ。スープがお好きなアルスラン様には食べやすいものかもしれませんね」

「……そうだな。これはこれからも食べてみたい」

「!」

「アルスラン様……」

 

 アルスラン様が自分から進んで食べたいと言った料理は初めてだったので、それを聞いたクィルガーとソヤリが部屋の外で感動している。

 

「ソヤリさん、啜るのがダメなのでしたら、その麺をさらに細かく切って、スプーンで掬えるものにしたらいけますか?」

「! そうですね……それならば召し上がっていただいても問題ないかと思います」

「ではコモラにそう伝えて作ってもらいましょう」

「俺から言っておこう。ディアナ、コモラに指示することをあとでメモにして渡してくれ」

「わかりました」

 

 よかった。思いがけずアルスラン様のお気に入りメニューが発見できたね。これで食事の量も戻るかもしれない。

 

 私は嬉しくなってそれから自分のご飯をモリモリと食べた。久しぶりのコモラの料理はやっぱり美味しすぎて、アルスラン様の前であるということもちょっと忘れてしまうくらい、夢中になって食べてしまった。

 

 ううん、美味しい。美味しすぎるよコモラ。天才!

 

 アルスラン様はそんな私を見て少し呆れていたが、食の進みは悪くなかった。目の前でご飯を平らげていく私を見てそのペースに少し釣られているようだ。

 

 アルスラン様だってご飯は一人で食べるより誰かと食べた方がいいよね。きっと。

 

 私のラグメンをアルスラン様に渡してしまったので、その代わりにアルスラン様のおかずを一つもらって食べることになった。私は迷わずシャリクをいただく。

 

「まだ肉を食べるのか」

「シャリクはいくらでも食べられますから。アルスラン様の方のシャリクがなくなっていたらアルスラン様の体調は上々だと思わせることもできるでしょうし」

「ディアナ……そんなこと言ってシャリクが食べたいだけだろ」

「お父様、そういうことはシーです、シー」

「安心しろ、みんなバレてる」

 

 結局アルスラン様はスープとサラダとラグメンをそこそこ食べて終わった。ソヤリによると昨日より食べる量が増えているので問題ないとのことだった。さっきまで毒で倒れてた割にはよく食べられた方だと私も思う。もちろん私の方は完食である。

 

 あー食べた食べた。美味しかったなぁ。疲れが全部飛んじゃったよ。

 

 と、大満足で食後のお茶を飲んでいると左側にある執務机の上でパンムーが爆睡しているのに気づいた。

 

 うわぁ忘れてた! もしかしてパンムーあそこでずっと寝てた⁉

 

「す、すみませんパンムーが……」

「ああ、別に構わぬ。しかしこのマイヤンは本当に頭がいいのだな。それに、不思議な力を持っている」

「そうですね。アルスラン様が危機的な状況であると教えてくれたのもパンムーですし……。そういえばなぜパンムーもここに入れたのでしょうか。パンムーは特級ではないですよね?」

「マイヤンが特級のマギアコアを持つのは不可能だ。大きさ的に体に入りきらぬ。……それを含めて検証が必要だな」

 

 食事が終わり、私が寮に戻らなければまずい時間になったので私は寝ているパンムーをスカーフの中に入れて王の間をあとにした。ソヤリの背負う箱に入って王の塔を出る。

 この塔がどこからか見られていると聞いたあとなので、なんとなくドキドキしてしまう。

 

 敵に怪しまれていませんように。

 

 王宮を出て執務館の階段を降り、いつもの秘密の通路まで来ると、そこからは歩きだ。

 

「思いがけずこの通路の全貌を見てしまうことになりましたね」

「……まぁいいでしょう。貴女がアルスラン様に危害を加えない人間であることは十分わかりましたから」

「私信用されたってことですか? えへへ、それは嬉しいです」

 

 私はニコニコしながらソヤリとともに通路を歩く。

 

「オリム様はもうすでに部屋をでているでしょうから、彼には私から説明しておきます。貴女はルザとともに普段通り寮へ戻ってください」

「寮の玄関は締まってる時間ではないですか?」

「ルザに言って帰りが遅くなるとガラーブに伝えてありますので大丈夫ですよ。同室の学生には『学院側と内密な打ち合わせがあった』と説明すればいいでしょう。エルフのことでと言えば追求もされないと思います」

「なるほど、わかりました。……あの、今日のことは今後どうするのですか?」

「敵にこちらの動きを知られる訳にはいきませんから、私が裏で動きます。貴女は今まで通り学院生活に集中してください」

「わかりました」

「……ディアナ」

「はい」

「今日は貴女がいて助かりました。礼を言います」

「ソヤリさん……」

 

 斜め前を歩いているソヤリの顔は見えないが、きっとさっきのクィルガーと同じような気持ちでいるのだろう。少ししんみりして歩いていると、ソヤリがぽつりと呟いた。

 

「貴女が中に入れるのでしたら、これまでできなかったことができそうです」

「え?」

「貴女にはこれからアルスラン様のためにできることをしてもらおうと思います」

「へ?」

「心配していたことが解決できそうで私は嬉しいですよ」

 

 とソヤリはとてつもなく胡散臭い笑顔でそう言った。

 

「ソヤリさん、なんか私のことをめちゃくちゃ都合よく使おうと思ってませんか?」

「おや、ディアナは『王様健康同盟』の創立者でしょう? アルスラン様のために働くのは当然ではないですか?」

「う……いや、そうですけど。ええー」

 

 今回の検証が終わったら王の間に入ることはないと思っていたが、どうやらそうはいかなさそうだった。

 

 これからなにをやらされるんだろう? 私。

 

 

 

 

アルスランもテルヴァに狙われていることがわかりました。

異変を知らせないためそのまま夕食を取りました。

そして完食。美味しいものには逆らえません。


次は 通し稽古、です。

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