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「シア……こっち向いて」


クラウディオとレティシアはベッドでシーツに包まっている。朝日が窓から差し込み、部屋の中を照らしていた。2人は何も着ていない。昨夜2人は初夜を迎えた。

レティシアは、顔を真っ赤にして、クラウディオに背を向けている。



「だ、だめ、です……今は、その」


朝眩しさにレティシアが目を開けると、クラウディオの腕の中にいた。それはいつもの事だが、2人とも何も着ていない事にレティシアは昨夜の事を思い出し彼から離れた。


まさか、あんな恥ずかしい事をするなんて……。


何も知らなかった。クラウディオが言っていた女性と夜を共にするという事の意味を理解した。そしてそれと同時に、なんとも言えない気持ちになる。


彼に抱かれて……幸せに感じた。正直、気持ちいいとも思った……でも、クラウディオはあんな事を他の女性ともしていたと思うと、悲しくて苦しい。


彼の顔が見られない。幸せなのに、涙が溢れてしまう。


「シア」


不意に背後から抱き締められる。彼の肌から伝わってくる温もりが、心地よくて苦しい。


「シア、どうして泣いてるの……ごめん、もしかして痛かった?」



彼に涙を見られても、溢れ出る涙を止める事は出来ない。話しかけられても、何も返せない。ただレティシアは首を横に振り続けた。情けない自分が嫌になる。



「シア、話して……どんな事でもいい。教えて」



クラウディオは、レティシアの身体を自分へと向かせると頬を手で包んだ。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





「……昨夜は、ディオ様に愛されて……幸せでした……その、気持ちも良くて……」


レティシアからの意外な言葉にクラウディオは、思わず頬が緩む。まさか、彼女からこんな言葉が聞けるなど思いもしなかった。


「でも、他の方とも……されていたと思ったらっ」


止まりかけていたレティシアの涙は、再び溢れ出てくる。クラウディオは、レティシアをぎゅっと抱き締めた。


「ごめんね、シア。そういう事だったんだね……君を傷つけてしまったね。でも、君と出会ってからは、他の女性には一切触れていない。君と出会ってから、僕は君に夢中になってしまったから……僕がこうして触れたいと思うのは、君だけだよ。今も、これから先もずっと」


腕の中の彼女が震えたのが分かった。


「ディオ様……もっと、ぎゅっとして下さい。離さないで……」


「シアっ」


ダメだ。シアが可愛すぎて、我慢が出来ない。


クラウディオは、込み上げてるものを必死に抑える。流石に今はまずい。昨夜はレティシアが意識を手放すまで、彼女をこれでもかという程堪能してしまった。無理をさせてしまったと反省をしたばかりだというのに……我慢しなければ……でも、辛い。


レティシアを強く抱き締めると、彼女もまたクラウディオを抱き締め返してきた。柔らかい彼女の素肌が心地よい。このまま……。


ダメだ!夜まで、我慢だ……。


クラウディオは、その日一日中悶々として過ごす事になった。



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