表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本国転生  作者: 北乃大空
94/94

最終話 正史地球の行方




正史地球日時 2095年12月



 前世界正史地球の月裏側ラグランジュポイントで待機中の宇宙船内にて



「ああ!やはり核ミサイルのボタンを押したのね」



 女神ガイアは、2025年に予測した惑星シミュレーションによる人類滅亡のシナリオ予測に基づき、正史地球を丸ごとコピーしてPW地球を別次元に創り出していた。

 そのPW地球で人類滅亡のシナリオを書き換えるために歴史改変を実施した結果、見事に正史地球とは別の歴史を歩み始めた。


 ガイアは歴史改変が一段落したことを見届けて、一旦正史地球に戻りコールドスリープに入り、再び覚醒したのが2095年であった。

 実はセットした日時で覚醒したのではなく、地球異変の監視役として留守番させていた監視ロイドが地球異変を感じ取り、ガイアを緊急覚醒させたというのが正しかった。



「(やはり私の予測シミュレーションが正しかったのね。

 でも、出来ればこういう予測は出来れば当たって欲しくなかったけど。


 それより、どの国がボタンを押したのかしら?

 えーと、コレは中国が先に手を出したわけか。

 ふむふむ、台湾を赤化したい中国は台湾海峡に海軍部隊を派遣するわけか。

 それを阻止したいアメリカが、第7艦隊を台湾海峡に派遣させることを決定して部隊を向かわせたのね。

 第7艦隊の主力部隊は日本から出発するけど、強襲揚陸部隊の一部と潜水艦隊はグアムの駐留基地から出発したわけか。


 そのグアム駐留基地に中国軍が中距離核ミサイルを撃ち込むわけか。

 留守番の基地職員が全滅したけど、本当は上陸部隊駐留中にミサイルを撃ち込んで全ての部隊を全滅させたかったわけね。

 アメリカはその報復措置として第7艦隊を台湾海峡方面から急遽東シナ海に行き先を変更し、中国の首都を含めた軍事施設を非核兵器でコテンパンに破壊するのか。


 だけど、この時点では1発しか核ミサイルが使用されていないけど、これが何故核兵器の全面戦争に発展するのかしら?

 もう少し先を観察して見ましょう。


 中国軍が立ち直れない程の壊滅的被害をアメリカから受けた後に、ロシア軍が中国国内に侵攻するわけか。

 その侵攻時にロシア軍がアメリカ軍に対して核爆弾を使用するのね。

 怒ったアメリカは首都モスクワにICBMをぶち込み、後は核ミサイルの応酬により核の冬を迎えるわけで、その後は放射能汚染で生き残った人々も死滅するわけね)」


 ガイアは、50年以上前に行った歴史改変が正しかったことを改めて再認識するのであった。




 PW地球の月裏側ラグランジュポイントで待機中のサブ宇宙船にて



「ピピピ、巨大重力波検知。おそらくエタナールだと思われます。10秒後に現空間にワープアウトします」


 サブ宇宙船のコクピットに座る操縦ロイドが、無機質なアナウンスで休憩中のガヴリエルに伝えていた。


「やっと帰って来たわ。『鬼の居ぬ間に洗濯』と言うけど、私的には創造主であり、母みたいなモノだし、あの人がいないとやはり私ダメなのね」



 PW地球側で監視体制にいたガヴリエルのサブ宇宙船と、正史地球側に次元転移し人類滅亡を見届けたガイアが乗る巨大宇宙船が50年ぶりに合体した。



「お帰りなさいませ、ガイア様。そしてお久しぶりです」


「しばらくぶりだな、ガヴリエル。お主は相変わらず息災のようだな。

 元の正史地球は、シミュレーションのとおりに核戦争が勃発して人類滅亡してしまったぞ。それよりコッチの地球の様子はどうだ?」


「ハイ、大戦以降は日本、ドイツ、英国が中心となり、地球上の公害や温暖化が防止されています。

 また、核融合により各国へ公平にエネルギー分配が進んで、医療充実により急激な人口爆発が抑えられている他、日本が持ち込んだ未来的な超先端技術により、各国での技術が進歩して世界中の人々の生活が向上し、地球上から貧困が無くなりつつあり、テロ事件等は皆無の状況です」


「やはり、あの国(日本)を選択し、歴史改変させたことは正しかったのね。

 人類滅亡した正史地球を一旦亜空間で凍結保存し、歴史改変したPW地球に置き換えることで、私が手掛ける作業は取りあえず終了と。

 さて、私は一旦ウラノス本星に帰投するけど後は任せるわ。ガヴリエル」


「お任せ下さい、ガイア様。ごゆるりとアスター管理官とのハネムーンを満喫して下さいませ」


「もし、何かあったら亜空間通信で緊急通報してね」


「了解!」


「あ、そうそうガヴリエル。私が旅行から戻ったら姪の『アストレア』から依頼事項があり、そこで2040年のPW地球のコピーデータを使用するかも知れないから、亜空間のバックアップデータを厳重保管しておいてね。

 それと、日本で老婆になっているガヴリエルの妹達3人はそろそろ回収する時期ね。

 妹達を死亡時点で回収し、再び仕事が出来るようにブランク体で若返らせて、妹達の記憶を再インストールして意識を呼び戻すように」


「了解です、ガイア様。お帰りはいつ頃になりますか?」


「10年位先かな?それでは行ってくる」


「行ってらっしゃいませ、良き旅を」


「(ふう、やっとガイア様が地球圏を離れたか。帰って来るまでに妹達の回収作業に取り掛からないとね。

 さて、今後の日本国転移先は異世界惑星になるのかな?)」


 ガヴリエルは、ガイアが開発した『パラレルワールド時空管理システム』が、今後多用する機会が増加し、次の赴任先でまた自分が活躍出来る場所があるのではないかと半分ワクワクしながら、ガイアの出発を見送りながら独り言を呟いていた。



終わり


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ