表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本国転生  作者: 北乃大空
87/94

83話 総理からの与太話メール指令


1942年7月15日


 日本軍がアメリアに上陸後、思いの外に進攻速度が速かったものの、西海岸を除き、人口が希薄な西部から東に進攻するにつれ、徐々に人口密度が高くなることで、占領統治も徐々に時間が掛かるようになっていた。


 多少占領統治にペースダウンしている日本軍であったが、上陸後半年後にはミネソタ、アイオワ、ミズーリ、アーカンソー、ルイジアナまで占領ラインを東に移動させていた。



 日本軍がアメリアに上陸後、占領統治して半年経った頃に中破総理から武蔵艦隊の艦隊司令官宛にメールが届き、内容にあっては次のとおりであった。



「先日、俺は在日ドイツ大使館の大使側近の者と飲みに行ったんだ。

 そのビール野郎は

『ビールと本格ソーセージの取り合わせは最高だが、ビールと葉巻は口に合うのか?』

と俺にマジ顔で聞いてきたのよ。


 しかも、ビール野郎は酒の肴にその店の名物であるワニのジャーキーを大量に平らげようとしていたんだ。

 ワニジャーキーが在庫品切れになるところだったから、俺はそいつの目の前からジャーキーを取り上げ、ビールのマリアージュはソーセージが一番と口に咥えさせて店から追い出したんだ。

 ビール野郎がもう少し控えめな奴なら、葉巻に合うのはスコッチが一番だと教えたのだがな。


 あ!この話はあまり面白くなかったな。話題を変えるぞ。


 最近、俺付の天使秘書連中が

『水平線から朝日が昇り、そして水平線に夕日が沈む南国リゾートは世界中にいくつあるの?出来れば大西洋から見る朝日と夕日は太平洋のモノとどう違うのかしら?』

と聞かれたのよ。

 俺は

『ウーン、太平洋はほぼ日本の支配下だが、大西洋は未知のモノでまだ分からないな』

等と答えを取りあえずはぐらかせてしまったのよ。

 秘書にすれば何気ない一言なんだが、俺にすれば物凄い皮肉を言われているんだな。

 おっと済まない。こんな与太話をメールにしてしまい艦隊の皆さんに申し訳ない。

 どちらにせよ武蔵艦隊は無理せずに今後の健闘を願う」


追伸


『大和艦隊が最近暇を持て余し気味で、水平線から昇る朝日を拝むためにカリフォルニア沖から離れた』


                     日本国総理大臣 中破 守




「司令官!総理から司令官宛にメールが届いています」


「作戦参謀、内容を確認したか?」


「いえ、直接司令官宛なので極秘事項と思い、まだ開封していません」


「分かった、俺のデスクPCに転送せよ」


「了解!」



 艦隊司令官は、メールを読むなり身体を震わせ顔を紅潮させていた。


「参謀、コレを読んでみろ」


 司令官は自分に向いていたディスプレイを参謀の方に向けて、メール内容を読ませた。


「司令官、経験の浅い私にはチンプンカンプンな内容で、本当に総理の与太話としか思えないのですが」


「経験が浅い作戦参謀にはメールの解読はまだ無理だったか。大至急艦隊の幹部達を呼び出せ!」


「了解!」



 約30分後、旗艦まや改の会議室に艦隊の艦長、副長クラスの幹部達20数名が一堂に集まり、総理からのメール対策会議を始めていた。



「司令官。つまり、総理のメール前半はドイツが現在英国が統治中のキューバーを伺いながら、フロリダを含めた南東部に手を伸ばすための準備をしているから、サッサと我々が動いて彼の地を早急に占領をせよと示唆しているわけですね」


「そのとおりだ、信濃 江口艦長。だがメール後半はフロリダのリゾートとして活用したいと思わせる内容は建前だろうが、本音は前半の内容と絡めて判断すると、フロリダをドイツに占領されたら今後日本軍の艦船往来が極めて困難になる可能性が高いから、絶対占領統治せよとの指示と思わざるを得ないな」


「確かにそうですね。だけど最後の『無理せず』という文言が引っ掛かりますが、コレはドイツと対峙した場合は極力戦闘行為は避けるということでしょうか?」


「ああ、そのとおりだ」


「それより司令官。追伸が驚きましたよ。大和艦隊が大西洋に出張って来るとはチト困るというか、少々やりづらいですね」


「そうだな。我々に発破を掛けて占領統治を早急に行えというプレッシャーを与えるためだな。

 それと、大和の押さえ役は武蔵 村上艦長に頑張ってもらうしかないな」


「え?ウチですか?」


「村上艦長には、是非彼等に手柄を奪われないよう頑張って欲しいですね」


「信濃は手柄を航空隊が稼いでくれるから半分他人事で良いけど、ウチは単装砲を活用しないと敵機を落とせないのですよ」


「コスパから行けば、大和、武蔵の単装砲が一番だと思いますが」


「え?そうなの?」


「ハイ、ウチは飛行機の燃料とメンテ費用は結構掛かるし、パイロットの人件費も人数が多いから馬鹿にならないし、ブツブツ、、、、」


「ま、双方愚痴合戦はその位で。どちらにせよ我々武蔵艦隊は一両日中にメキシカ湾に到着予定の第2強襲揚陸部隊と合流し、準備が出来次第フロリダ攻略に出発する。以上だ!」


「「「了解!」」」」


 艦隊の幹部達はそれぞれの艦に戻り、近日中に行うフロリダ進攻準備に取り掛かっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ