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日本国転生  作者: 北乃大空
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75話 メキシカ防衛戦5(武蔵艦隊攻防戦その2)


アメリア西海岸時間 1942年7月7日 8:00



「司令!EP-1から敵爆撃編隊がコチラに向かっているとの情報です」


「了解、作戦参謀。各艦船に指示を」


「了解!」



 作戦参謀の指示により各艦船は迎撃態勢を取り、空母信濃からF-2改 60機、空母トカチからF-18改 80機が発進した。


 参謀は、F-2改が敵太平洋空母艦隊の艦載機を全機撃墜したi3ファイターのシステムを先日F-18改に搭載したため、コレの実戦テストを兼ねて敵編隊の第1陣を迎撃することを指示していた。


 まず、先にF-18改が攻撃するためF-2改が上空待機し、敵戦闘機の迎撃態勢を取っていた。

 敵爆撃編隊の第1陣は、爆撃機B-17が1,000機、護衛戦闘機P-40は2,000機の合計3,000機であった。


 F-18改の搭載ミサイルは全て空対空ミサイルであったが、流石にミサイルの単価が高いためミサイル兵器は出来るだけ大物のB-17に使用するように努め、F-18改 80機全機はそれぞれのリーダー機の指示に基づきi3ファイターを作動させてB-17 1,000機の内、800機にロックオンしていた。

 リーダー機同士がリンク運用して、アルファリーダー機の発射ボタンに全機のミサイル発射タイミングが託されていた。


「発射!」


 アルファリーダーの掛け声と同時に発射ボタンが押されると、一斉に主翼の下部にあるパイロンからミサイルが離れたと同時にミサイル後部から一気に炎が吹き出し、迎撃目標であるB-17に1発ずつミサイルが当たり、B-17の胴体目掛けてぶち当たって炸裂することで次々とB-17は海中に没して海の藻屑に消え、残す爆撃機は200機になっていた。


 F-18改はミサイルを全て打ち尽くしたため、一旦ミサイル及び燃料補給のため空母に帰投して行った。


 敵残存部隊は爆撃機200機、戦闘機2,000機が無傷でキッチリ残っていた。

 上空待機していたF-2改 60機の内で20機は、残りのB-17爆撃機を先に殲滅するため、空対空ミサイル200発をB-17にロックオンし、F-18改に搭載されているi3ファイターと同じモノを作動させ、ほぼ一瞬でB-17 200機を海の藻屑に変え、残りの40機は400発のサイドワインダーミサイルで戦闘機400機をB-17と同様の姿に変えていた。



『残り1,600機は機関砲で対応か』


『アルファリーダー、このF-2は改仕様になってからは20mmバルカン砲から25mm機関砲(GAU-22)に変更して、弾倉容量も3,000発と約5倍にアップしましたが、それでも連続発射だと50秒位しか持ちませんよ』


『サブリーダー、その点は大丈夫だ。普通トリガーを引くと、放すまで弾丸が発射され続くが、コレをレシプロ機相手に少し改良した』


『一体、どのように改良したのですか?』


『自動小銃に単射、3点制限点射、連射の切換レバーがあるだろう。

 この機関砲も似たような制御装置を取り付けたのだ。

 操縦席に機関砲の残弾数を示すインジケーターがあるだろう。その横に切換レバーがないか?』


『おや?いつの間に取り付けたのですか?』


『前回の太平洋艦隊の戦闘後に、本国から送られてきた制御装置を整備班が取付したが、この制御装置機能で無駄撃ちする弾丸が減るシロモノらしい』


『このレバーに0.1、3、連と書かれていますが、何の意味ですか?』


『それは秒数だ。機関砲は1秒間に約60発撃ち出すが、レシプロ戦闘機だとだと10発も撃ち込めば充分過ぎる威力との国防装備庁のテスト結果だ。

 レバーは標準で0.1秒に合わせているから、トリガー1回引く度に0.1秒間弾丸が約6発射出するわけよ』


『なるほど。連は連射の意味でしょうが、3は何を示しているのですか?』


『自動小銃の3連バースト似ているが、機関砲だとチト意味が違う。

 つまり一回の引き金で弾丸が3連発出るのが小銃ならば、機関砲は1回引き金引くと弾丸を0.1秒ずつ発射し、0.2秒の空隙を挟むのを3回繰り返して約1秒当たりで約18発の弾丸を発射するわけだ』


『同じ箇所を3回撃つのですか?』


『敵目標も移動しているから、最初撃ったところから当然ながら若干ずれる。だが、コレは意図的に少しずらすことで敵の被害を大きくするためだ』


『しかし、装備庁は戦闘機は0.1秒で充分効果があると言っているのに、何故3点制限発射機能を設置したのでしょうか?』


『敵機の相手は戦闘機だけではないぞ』


『え?まさかコレで爆撃機を相手するのですか?』


『そのまさかだ』


『確かに20mmバルカン砲から25mmになり、多少はパワーアップしていると思いますが』


『パワーアップは多少ではないぞ。

 25mmGAU-22は威力がバルカン砲の約6倍で、多少装甲が厚くても簡単にぶち抜けるぞ。』


『しかし、パイロットが何回もトリガーを引けば結局同じなのでは?』


『この機関砲はFCS機能の充実により、自動モードの場合はトリガーを引くだけでは弾丸は発射されず、FCS連動により敵機をロックオンした時点でトリガーを引くと発射されるように変更されている。』


『操縦中にターゲットの逐次照準を合わせなくても良いのですか?』


『手動モードはいちいちターゲットに合わせてロックオンしないと弾丸が当たらないが、自動モードは自機が敵の方向から少し外れる状態でも、機関砲の銃口が敵の方向に向く自動照準機能が働くのだ。』


『それって、機関砲が百発百中ということですか?』


『まあ、そういうことだ。1機で敵100機前後を撃墜出来るから、残らず全機撃墜出来るな。』


『了解!』



 F-2改アルファリーダーとその部下は、無線通話にて搭載されている機関砲について色々な疑問点を会話していた。

 本来、戦闘中であれば情報漏洩も懸念されるところであるが、この時代では敵側にはデジタル無線機は存在せず、一切通話が傍受されることは無かった。



 F-2改艦載機部隊は、残りの敵戦闘機を全機撃墜して、空母信濃に帰投していた。




 武蔵艦内CIC内にて


「艦長、旗艦の作戦参謀から指令メールが来ました」


「副長、呼んでみろ」


「ハイ、読みます。

『敵第1陣の撃滅、大変御苦労様でした。

 次の第2陣は武蔵艦の単装砲テストと武蔵の艦載機であるF-35B改 10機で迎撃すること。但しミサイル、機関砲は使用せず、新開発のスーパーソニックブレード(SSB)をフル活用して敵機を迎撃すること。

 なお、戦艦大和の戦闘には間に合わなかったが、衛星回線でSSBの追加機能プログラムをダウンロードし、ソフトウェアでアップグレードしてあるのでこの機能も活用すること。以上貴君らの奮戦を期待し、無事の健闘を祈念する』

との内容です」


「コレは否が応でもSSB機能と追加プログラムを使えということか」


「艦長!国防総省経由で戦況情報が送られてきました」


「何の戦況情報だ?通信係」


「只今入ってきた情報では、西海岸で敵爆撃編隊と戦闘中だった大和艦隊は、大和1隻のみで敵を全滅させたそうです」


「なるほどね、そういうことをやるからウチにお鉢が回ってくるわけか」


「よし、副長!単装砲の用意。先にコレの実戦テストで迎撃を開始する。

 F-35B改 10機は発進用意。SSBと追加新機能で残る敵全機を撃墜する」


「了解、復唱します。

 砲雷長に指示する。単装砲実戦テストを兼ねて迎撃準備。

 敵爆撃編隊が単装砲射程に入り次第、迎撃開始。

 航空管制オペレーターに指示する。F-35B改 10機は発進スタンバイ。

 敵機が本艦半径200km以内に侵入した時点で順次発艦願う。

 単装砲の砲撃終了後、残った敵機を掃討願う。

 なお、今回使用出来る武装はSSBのみとする。パイロットはスタンバイ時にSSB追加新機能のマニュアルを確認すること」


「「了解!」」


「艦長。私も偉そうに新機能を確認せよと言いましたが、一体どんな機能なのでしょうか?」


「副長、まずはマニュアルを確認するか」


「そうですね、艦長」



 艦長と副長はモニターに映った説明アニメーションを見たが、そこにはSSBの効率的な運用方法についての説明であった。


 当初は音速以上で錐揉み飛行して敵編隊に突っ込んで行くモノを国防装備庁は検討していた。

 しかし、あまりにパイロットに肉体的負担を強いることから、コレに代わる別な方法として、5機1組でデルタ十字型に編隊を組み、それを電磁的に機体を引き寄せて編隊を一つの十字楔みたいな塊の形を造り上げ、編隊は回転しないが電磁バリアが編隊全体を覆いながら外側の電磁バリアが回転することで、ドリル効果を生み出すというものであった。



「何、コレ?合体ロボのアニメか?」


「艦長。正確には機体同士は合体せず、電磁的に引き寄せて編隊をドリル状にするみたいです」


「だけど、コレは編隊全体が錐揉み飛行をするように回るのか?」


「機体は水平飛行のままで、編隊を覆っている外側のバリアが回転するみたいです」


「おお、それならばパイロットの負担が少なくなるな」


「そろそろ、敵機が接近して来たようで順次発艦しましたね」


「その新機能が、どの位威力があるのか見物だな」


「ハイ、武蔵航空隊の検討を祈りましょう」



 艦長と副長の2人は、表向きは武蔵航空隊の無事な帰還を祈念していたが、本音は新機能で何処まで敵機を撃墜出来るのか半ば期待をしつつ、敵機との戦闘が始まることを子供のようにワクワクしていた。


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