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日本国転生  作者: 北乃大空
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69話 メキシカ防衛会議 その1


1942年5月某日


 日本国国防総省総理兼国防大臣執務室にて



「お久しぶりです、総理」


「うむ、三木特命全権公使。否、6月から三木特命全権大使だったな」


「私には過分な昇進の配慮です」


「いや、日英同盟、各諸国との協定、先日のドイツとの軍事協定と貿易上の協定交渉を成功させた君の手腕は高く評価されるべきだ」


「いえ、たまたま運が良かっただけですよ」


「フフフ、運も実力の内というじゃないか。そんなに謙遜するな、三木君。

 どちらにせよ、今年末まで忙しい思いをする予定だ」


「いよいよですか?」


「ああ、あと2カ月後には大規模戦闘となるのは確かだ。

 それより、ドイツ帝国の総統である『アルムス・ヒルラー』はどんな人物であったか?」


「ハイ、非常に総理に似た匂いを感じました」


「ほおう、どんな匂いだ?まさか加齢臭とは言わないよな?ワハハハハ!」


「総理の冗談はさておき、一言でいうならば『大王の器』ですね」


「大王か、俺はそんな大それたモノではないぞ」


「閣下、謙遜は止めて下さい。閣下も大王以上の器だと女神ガイア様が認めていますから」


「そうなのか?沙理江」


「それ故に私は守様を、ルシファーはヒルラー総統を愛するようになったと思います」


「なるほどな。それより三木君、ドイツとの協定締結成立は実に見事だ」


「ハッ!お褒めの言葉、有り難うございます。

 以前のナチスドイツと同様の国家ならば叩き潰すべき存在でしたが、この世界のドイツ帝国はナチスドイツとは全然性質が違うモノで、むしろ共存すべき相手だと思います」


「ドイツとの友好的な結び付きが出来たことで、ル連邦の壊滅への協力体制の確保、連邦壊滅後の白系ロシア人を主体とした新たな共和国の建設協力をしてくれるわけだな」


「ハイ、そのとおりです」


「三木君、ドイツの件、改めてご苦労だった。

 因みにこの功績に値するモノとして、6月から三木君を昇進させるよう人事に働き掛けた。

 次は『特命全権大使』だから今まで以上に辣腕を振るえるぞ」


「ハッ!総理の過分のご配慮、痛み入ります」


「うむ、ご苦労であった」


「それでは失礼します」




 総理執務室から三木が退室すると、中破は沙理江に斉藤博士を呼び出しするように指示したところ、彼女は困惑の表情を見せながら中破に対応していた。


「どうした?沙理江」


「ハイ、実は今日は休日で休庁日です。そのため博士を呼び出すために非常呼び出し要請の申請書と、休日出勤手当の支給申請書を前もって作成しなければなりません」


「彼には休日手当程度の賃金を遥かに超える報酬を支給しているし、呼び出し要請なんかは現在は戦時中だから、あえてそんなモノを回り口説くする必要はないぞ、、、ハッ!あ、そうか」


「お気付きになりましたか、閣下」


「休みの朝から誰と一緒なのだ?まさか普通の一般女性ではないな」


「ハイ、斉藤博士の相手は蘭子です」


「なるほど。お互いインテリ肌だから、何れは惹かれ合うとは思っていたが、ついに結ばれたか」


「ええ、今から30分前にHを始めるので自分らの頭の上に爆弾が落ちない限りは、邪魔をしないでとの連絡がありました」


「今から30分前となると、午前中の呼び出しはまず無理だな」


「ハイ、たまには総理も休息を取らないと」


 沙理江は中破と会話しながら、スーツを脱ぎ始めて下着姿になっていた。


「沙理江、どうしてこのタイミングで服を脱ぐのか?」


「総理の休息と癒やしは、私とのHな時間を過ごすことが一番ですから」


「ムゥ、そこまで沙理江に言われると俺は沙理江とセックスせざるを得ないじゃないか」


「ウフフ、お昼まで3時間は楽しめますよ」


 中破と沙理江は、総理執務室横の自室で、ピンクな一時を過ごしていた。



 斉藤は蘭子と甘い一時を過ごした後、総理が呼び出した理由について思考を開始した。

 昨今の情勢からアメリア軍がメキシカへの侵攻作戦を事前の準備しており、これらの対抗策について策を求められることは必須であった。

 そのため、以前から練っていた計画も検討しながら自宅から執務室までの道筋の間に、蘭子と手を組みながらもその対策を考えていた。


 その日の午後、斉藤博士は蘭子と腕組みした状態で共に執務室に現れた。


「お呼びですか?総理」


「博士、蘭子と仲良さそうだな」


「え?ええ、まあ、あの、そ、そうですね」


「総理!貴史ちゃんを虐めちゃダメ!

 確かに総理と私はH友だけど、私は彼の純真なところと頭の良さにビビッと感じ、彼に恋をして先程深く結ばれたの」


「蘭子、良かったわね。やっと恋する人を捕まえたのね」


「えへへ、サリ姉様。斉藤博士は以前から私の憧れの存在だったの。

 今まで個人的にうまく出会うことが出来なかったのだけど、先日彼とデートすることが出来て、昨日一晩中語らっていて先程共に一つになれたの」


 その話を横で聞いていた斉藤は、気恥ずかしさで顔が紅潮するのを感じてずっと下をうつむいていた。


「斉藤博士、恥ずかし次いでに失礼ながら聞くが、蘭子君は君の初めての相手なのか?」


「いえ、正直申しますと自分が大学合格時に某女性家庭教師からご褒美ということで童貞を捨てたというか奪われたと申しましょうか、何れにせよそれが私の初体験でした。

 その後、高校卒業までの2カ月間は夢のような性生活を送ったのです。

 大学時代以降はその家庭教師と別れて別な女性数名と付き合いましたが、年上の家庭教師との性体験が忘れられることが出来ず、いつの間にか好みのタイプが年上&インテリ女性になってしまったのです」


「成る程ね、だから蘭子君が斉藤博士にピッタリの女性だったわけか」


「ハイ、そういうことになりますね」


「だが、彼女、否、彼女達を絶対的に束縛してはいけないぞ。

 君の思考傾向から、意外と嫉妬深い感情があるのを感じ取れるからな」


「総理、それはどういうことなのでしょうか?」


「博士はキリスト教の七つの大罪は当然知っているよな」


「ハイ、人間の限り無い欲望を戒めるために、当時の聖職者が考え出したモノですよね」


「彼女ら天使達は七つの大罪でいう欲望で、怠惰を示す『睡眠欲』と、暴食を示す『食欲』に、色欲を示す『性欲』と『怒り』の感情しか存在しないんだ」


「え?生物の三大欲求と怒りしか無いのですか?」


「そうだ、生物が生きる上で必ず必要となる欲望だ」


「では、それ以外の感情はどうなっているのですか?」


「つまり、嫉妬や妬み、傲慢の感情が無いわけだ」


「え?それはどのようなことに繋がるのですか?」


「嫉妬や妬みが無い代わりに三大欲求と怒りの感情が強調されているから、天使同士で好きな男性を共有し合うのは当たり前だし、3P、4P等の乱交も全然平気でこなす程、性的に奔放な面があるのだ。

 そのため彼女らの感情的特性をよく知らない人は、最初は面食らうかも知れないな」


「総理が私に嫉妬心を抱くなと言われた意味が、少しは理解出来ました」


「博士自身は嫉妬深い感情を抑えるのは当然としても、蘭子としては精神的に博士を敬愛するわけで、その感情は人間よりもずっと深いものだから」


「つまり肉体的な愛だけに囚われずに、彼女を精神的に愛せよと総理は言いたいわけですね」


「そのとおりで、そう考えた方が自分の嫉妬心に悩むことが無くなるから」


「ハイ、肝に銘じておきます」


「さてと、与太話はこれ位で今日の本題に入るぞ」


「ハッ!」


 斉藤は、総理との与太話の前から考えていたメキシカ侵攻のアメリア軍への対策について語り始めるのであった。


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