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日本国転生  作者: 北乃大空
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48話 日米交渉2回目

さて、ハルノートの決着はどうなりますか?


1941年11月1日


 今年、7月上旬にハワイにてハル国務長官と三木特使との日米会談を行い、その場はハル四原則の確認のみの物別れ状態で終了した。


 その後、何度か両大使を通じて電話会談等が実施されたものの、双方の主張に妥協点を見いだすことが出来ないことから、再び直接会談を開始する運びになり、再びハワイにて2回目の日米会談が行われることとなった。



~日米会談2回目開催日の1カ月前~



「中破総理、1回目の時にP-3Cを古めに偽装しましたが、アレは一応ターボプロップで、可能な限り分からないようにしてたのですが、機体が滑らかなのでかなり注目を浴びていましたね。


「三木君、アレでも80年近く経った古い機体なんだけどな」


「さて、どうしますかね?」


「もう1、2回はこの機体を使うか。アメリア側の度肝を抜くのにジェット機を使いたいところだけど、ジェット機は真珠湾攻撃まで待つか」


「そうですね。折角燃料増槽したので、しばらく使うことにします。

 それより、かなりキナ臭い状況なので機体を若干武装し、機体色を空軍使用に塗装し直してもらおうと思っています」


「そうだな、三木君を亡き者にしようと相手が画策する恐れがあるからな。

 整備担当者に再塗装のついでに光学迷彩機能付ステルス塗装と電磁バリア機能装備を搭載するように改造し、RWSを搭載するように伝えておくから」


「総理の御配慮、有り難うございます。飛行機の件を宜しくお願いします」



~会談開催日のホノルル空港にて~



 三木一行は、ホノルル空港に到着後、ハル長官の出迎えにより同空港施設にある会議場で会談が実施される予定であり、その場所に向かっていた。


 ハル国務長官は前回のドアノブ電気ショック事案を引き起こし大統領に相当叱責を受けており、今度万一の事が日本側にあった場合はハル長官自身が戦争の引き金を引いた張本人になることは明白であった。

 ルーズベルト大統領はアメリア側から戦争を仕掛けることは断じて許さず、あくまで日本側から暴発してくれることを期待していた。



「三木特使、こちらの会議室にお入り下さい」


 三木一行はハル長官と一緒に会議室内に入室した。


 玲美は室内に入った瞬間、違和感を感じて即座に透視能力を駆使した結果、会議室内の壁、床、天井裏側の至る処に爆弾が仕掛けられていることを発見して、その結果を同行していた蘭子に知らせるとともに、P-3C改にパイロットと一緒に乗り込んできた玲美の支配下にある隠密ロイド達に武装モードで待機するようにテレパシーで連絡した。


 蘭子は玲美の透視結果を三木に耳打ちしていた。


「(玲美が建物に爆弾が仕掛けてあることを発見し、現在作動しないよう制御しています。


 私は爆発の瞬間に三木さんと玲美を建物の外へ瞬間移動させます。

 会議室の廊下側には、我が方のSP2名が付いています。

 このSPは日本国内で素行不良の帝国兵を中破総理が手配して、2名をガブ姉様が忠実に護衛任務を遂行するように思考操作しています。

 この2人には申し訳無いですが、アメリアの悪行を世界中に知らしめるために犠牲になってもらいます。


 因みにこのSP2名を務めている素行不良の帝国兵は、過去に殺人、強姦、暴行等数限りなく悪事に手を染めた連中のようで、本来は死刑予定で拘置中でした。

 今回の任務遂行で恩赦により刑が軽減されることで任務に就いているみたいですが、名誉の殉職者として死亡してもらいましょう)」


「(了解、分かった!)」


「三木特使、秘書との打合せは終了しましたか?」


「済みません、お手間を取らせました。

 さて、ハル長官。前回のフィリピンからの早期撤退の件はどうなりました?

 我が日本はアメリアの要望に従って中国と和平し、昨年内に各国が駐在する租界の守備軍を除き、全軍撤退致しました。


 アメリア側が日本に軍を撤退するように要求しながら、自分のところは関係ないと言うのは随分虫が良すぎる話じゃないですか。

 是非、このあたりの良き回答をハル長官から直接聞きたいのですが、如何でしょうか?」


「うぐぐ、フィリピンはもう既に1946年に地元民に返還する予定であり、コレは政府で決定した事項だ。今更変更など出来ぬ」


「分かりました。フィリピンの件は終了と致しましょう。

 それでは、次にハル四原則の再確認ですが『3』と『4』の件について、アメリア側は通商上の平等の原則を守っていませんよね。


 我々日本国はアメリアの要求に従って中国から撤兵して勝介石と和平を実現した。

 それにも関わらずアメリアは先頭を切って対日経済制裁を行っていますが、その対抗策として日本は中国と貿易交渉を勝手に始めざるを得ませんでした。


 さらに欧米諸国にも働き掛けて日本側に正義があることを伝え、アメリア側が経済制裁を解除しないことを全世界に広めました。

 そうしたところ、アメリアの卑怯で不正義な外圧は日本だけではなかったのです。

 ヨーロッパ諸国でもアメリアからの卑怯で不正義な外圧を受けており、その圧力に抵抗しようと賛同した欧米諸国は、現在我が国と貿易交渉中です。


 以上のことから、孤立しつつあるのはアメリアです。

 これでも禁輸措置を解除しないのは、どういう理由ですか?」


「ああ、大統領の命令だからどうしても曲げられない」


「ほほう、それでは交渉決裂ですな。

 それとも、始めからルーズベルト大統領は憎らしい日本を徹底的に叩き潰したいのでしょう。しかし自分では絶対に戦争の引き金は引きたくない。

 戦争の引き金を日本に引かせる画策をしているとしか思えませんね。

 しかし、日本はその引き金を決して引きませんよ。


 ハル長官、一つ確認したいのですが本当に石油を含めた禁輸措置は、我が国への禁輸措置であると同時に日本からアメリアに入る石油製品も禁輸するのですよね?」


「何を馬鹿な事を言っているのだ。日本から石油製品を輸入?そんな馬鹿な話は天地がひっくり返ってもあるわけないじゃないか」


「分かりました。もし我が国で新たな石油製品が製造されても、一切アメリアには輸出しないということで宜しいですね」


「何を先程から馬鹿な事を言っているのだ。我が国が日本から輸入するわけが無かろう」


「フフフ、貴男は本当に情報に疎いようですね」


「何?情報通の私に対して何を失礼な事を言うのか!」


「ハル長官、貴男が本国に対して隠し事が沢山ある気がするのですが」


「何を馬鹿な事を言っている。そんなモノは何も無い」


「そうですかな?それではこの写真はどうしたのですか?」


 三木が懐から出した封筒をテーブル上に置き、封筒から写真を取り出した。

 その写真には某女優とハル長官との密会デートの状況と、しっかり2人のセックスシーンが写っているモノさえあり、この写真は三木が日本出発前に総理から渡されたものだった。


 無論デジタルカメラで撮影されたモノであったが、時代考証からカラーをモノクロ化しネガフィルムをあえて作る作業が少々手間が掛かっていた。


「え?この写真は一体何?あ、あああ、コレは非常に不味いぞ」


「ハ・ル・長・官~!この写真は事実ですよね?某女優から性的関係があった旨の言質を既に取っていますし、ハル長官は確か結婚されて奥さんがいましたよね?アメリアでは一夫一妻制が原則でしたか?

 コレは浮気ですか?それとも本気?不倫な関係はアメリア国内のマスコミは非常にうるさいのですよね。

 このスキャンダル記事は、マスコミ連中が絶対食い付くでしょうね」


「み、三木特使、ココで少し待っていて下さい。大統領とこの件について話し合いをしますので少々お待ち下さい」



 ハル長官は会議室をすぐ出て、三木一行を会議室に残し会議室の施錠を側近に命じて廊下側から施錠しているのを見た日本側SPは思考操作の効果により護衛任務を遂行しようと、施錠をしていた長官の側近に声を掛けたが側近達はSPを殺害するように命令されていたため自動小銃で射殺された。


「ん?銃声だな。多分、廊下のSP2人は射殺されたな」


「三木さん、ココを爆発させるのに長官はスイッチを操作したみたいです。

 玲美が爆発を抑えています。そのスキに瞬間移動で脱出しますので私の手を握って下さい」


「分かった、蘭子」


「玲美、用意は良い?私の手を握ったら爆発させてね」


「了解、蘭姉」


 玲美が蘭子の手を握った瞬間、3人の姿が会議室から消えてその次に爆炎が部屋中に一気に広がったかと思うと爆音が建物中に響き渡り、会議室の壁、天井、窓が全て吹き飛び、空港施設の建物の半分以上が瓦礫の山と化した。



「ファ、ファ、ファ、コレで全ての証拠が無くなったな」

 

「そういう筋書きでしたか、ハル長官」


 爆発した空港施設の建物の外で笑い声を叫んでいたハル長官の背後から、三木特使と思える声が聞こえてきたためまさかと思い顔面蒼白になりながらゆっくりと振り向くと、そこには三木特使と秘書2人の姿があった。


「よ、よくぞご無事で。一体どうやって建物から脱出出来たのですか?」


「ウチの秘書は忍者の末裔で、勘と運動能力が抜群の脱出のプロです」


「そ、そうでしたか。ハハッ、本当に生きているのですね」


「ハル長官、まさかこの爆発は単なるガス爆発と言いませんよね。

 少なくともこの空港施設の建物は新築のようですし、会議室のドアが施錠されておりそちらから出ることが出来なかったのですよ。

 わざわざ我々をそこに閉じ込めるための施錠をしたとは思いたくはないのですが」


「そうだ、アンタらを亡き者にするために爆弾を仕掛けたんだ」


「おお、その言葉を待っていました。玲美君、しっかり録音出来たかね?」


「ハイ、三木特使。バッチリです」


「それとも、貴男の欲しいモノはコレでしたかな?」


 三木は背広の内ポケットから写真が入った例の封筒を取り出した。


「いつ、すり替えたのだ?」


「返して欲しいですか?もし欲しいならアメリアは最低フィリピンとハワイを放棄することですね」


「そんなことは出来る訳ないだろう。こうなったら力づくでも奪ってやる」



 ハルはそう言うと、持っていたピストルを三木に向けて撃とうして引き金を引いたが玲美がピストル内の部品を作動不良にしていたため、弾丸が不発で発射することが出来なかった。


「クソ-!このピストル不発だ。近衛兵、コイツら犯罪者だ。全員射殺しろ!」


「「「了解!」」」


「全員、構え、撃て!」


 近衛兵達は長官の命令により三木一行を射殺しようとしたが全ての小銃が不発であり、コレも玲美の能力で敵の銃を作動不良にしていた。



「あれ?何で弾丸が出ないんだ?」


「何やっているんだ、お前ら!弾丸が出ないなら銃剣があるだろう」


「分かりました。全員、銃剣取付、敵に掛かれ!」



 1個小隊約50名の兵士が三木一行に襲い掛かるが、三木自身は幹部レンジャーで特殊部隊出身なので、並の兵士は全く歯が立たなかった。

 さらに高田姉妹についても普通人の10倍以上の能力を有しており、兵士達がいくら襲い掛かっても次々と倒れて兵士の山が出来る程であった。


 オマケにP-3C改に待機していた隠密ロイドは、サリエルに借り受けした戦闘用ロイドで、1体で1個中隊約200名を約30秒で戦闘不能にしてしまう程の強者で、この2体が高田姉妹の戦闘に加わったことで、モノの数秒間で戦闘が終わってしまった。


 ハル長官は、飛行機で待機しているパイロット2人に狙いを定め、長官直轄部隊である2個大隊約2000人が飛行機とパイロットの襲撃に向かった。

 しかし、パイロット2人は人間ではなく専門職ロイドで、そのパイロット達を守るのは2体のアーマードロイドであった。

 因みにこのアーマードロイドは、隠密ロイド10体と戦闘した場合でも隠密ロイドが全く歯が立たない程の強者であった。


 前回の会談中、玲美は自身の意識をハル長官の心に憑依させて、その記憶や思考をトレースしていた。

 玲美が読み取ったハル長官の意識は大変危険なモノであり、次回の会談は生命の危険があることを予測しその結果は中破総理に報告済であった。

 そこで、ミカエルから神の御業と呼ばれるアーマードロイド2体を借り受けてパイロット2人と同行させて三木一行を護衛していたのである。


 アーマードロイドは、約2m前後の身長がある大柄な兵士に見えるが、その大柄な身体に似合わず動きが超素早く、とても人間の眼では追い付くことが不可能な程の動きであった。

 そして力は100トン級重戦車を片手で振り回すことが出来るほど。

 次に飛行機内に備付の鉄杖を一振りほど振り回すと、100人位の兵士が1回で再起不能か死亡状態で倒れ、モノの十数秒間で2個大隊が全滅した。



「ハル長官、この私達に対する一連の行為はアメリアが日本に対する宣戦布告だと受け取りますが、宜しいですね」


「クソ-!もう兵士はいないのか?彼奴らを倒すことが出来ないのか?」


「貴男の求めている写真は、この一連の戦闘行為を行ったことでアメリア各社のマスコミに流れるように既に手配しています。

 明日以降の新聞紙面を期待して下さい。

 なお、私達に対する一連の戦闘行為は映像記録して、世界各国にニュースとして配信致します」


「お前らイエローモンキーが、アメリアと戦って勝てるわけないじゃないか。

 後から泣き付いても知らないぞ」


「さて戦って見なければ分かりませんよ?日本がアメリアに負けたらアメリアの犬になりましょう。

 だが、アメリアが日本に負けたら国土の大部分を頂きましょうか」


「ゴラァ、三木!お前はふざけたこと言っているが、我がアメリアが建国以来負けた事が無いのが自慢なんだぞ!」


「そうですか、大統領に『首を洗って待っていろ』と伝えて下さい。

 それではご機嫌よう。貴男のクビが繋がっていることを祈念しながら私達は帰国致します」



 翌日、アメリア国内の新聞社各社の一面に『日本外交団殺害される?』等の記事が掲載され、二面には『国務長官が戦争の引き金を引く?』等の国務省の外交交渉が失敗した等の批判記事が載り、三面には『ハル長官、不倫疑惑?』等のスキャンダル記事が紙面全体を埋めるように掲載された。

 そして翌々日の各新聞一面に『大統領、国務長官を更迭、即時罷免!』との記事が掲載されていた。


次回はいよいよアレを宣言します。

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