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45話 《日常編》 明日やろうは馬鹿野郎

 


<唯> 


 コクリってしたけど コクリってしたけど

 ちょっと待て 誰が帰れなんて言った。


 私は隣でしくしくと泣くエマの背中をさすりながらどんどんと顔が青ざめていくのを感じた。

 待て 私に全振りされてもどうしたらいいのかわからないのだが!!


 私のコクリは変な行き違いから二人を帰らせ エマと私だけという状況を生んだ

 美琴が振ったってことも驚きだし ていうか待って記念日忘れてただけだよね!?

 私たちなんか特に記念日すら覚えてませんって感じなんだけど どうしたらいい!?

 美琴って案外女なのね って女だけどさ いや私も女よ?? あれどうしよう独白止まんない


「ご ごめぇん」

「へ!?」


 あの強気なエマからは想像もできないほどの震えた言葉に私は数秒うろたえた

 いや そりゃ わかるよ?? 私も何度菫に振られたかわからないし その度に死体蹴りだーーとか言って笑ってたけど心は泣いてたわ むしろ土砂降りのダム決壊 避難警報発令中だったわ!!


「す 少しは 落ち着いた」

「う……グス」


 とりあえず 状況整理 まずはそこからよ


「美琴になんて言われたの?」


 私はできるだけ優しく言う


「会いたくないって……」


 会いたくない!? 何よ会いたくないって!! 私毎日会いたいんだけど!!

 いや違う私のことじゃなくて今はエマの話に集中集中


「なんで?」

「グス……会いたくないから 会いたくないんでしょ?」


 何よそれ!! 

 あんたたちの絆はそんなものなの!? 四人でウエディングドレスじゃなかったの!?(※言ってません)


「でも待ってよ 別れるなんて言ってないんでしょ!?」

「へ……? 会いたくないって そう言う意味じゃ何の?」


 知らないわよ!?

 ドイツではどうか知らないけど、基本日本では契約結んで破棄の場合もちゃんと破棄を公言するんじゃないの?(※一般の方は契約しません)


「そんな曖昧な終わらせ方なんてある?? 私納得いかない」


 今自分でお節介おばさんってこうやって生まれるんだと自負した


「終わらせ方ってぇ……」


 しまった失言

 ハートブレイクしかけの子に辛辣すぎる言葉よね


「んーー そうじゃなくて そんなの終わったって意味で捉えるのは違うなって思ったの」


 私は訂正とお詫びをして彼女の背中をさする


「ちゃんと会って話さないとダメじゃん」

「でも でも あ 会いたくなってぇ」


 ちょっと可愛いな おい


「くよくよしてても仕方ないって とりあえず会お?」


 なんだ? 私 よくわかんないけどすごくガツガツしてる


「え? い 今から??」


 驚くエマにも私は屈しない


「だってさ 今からって言うけど あんたたち喧嘩して何日経ってるの? 今日会わないで今度とかそんな奴は馬鹿よ大バカもの 何も手になんて入れれないわ」

「なんの話してるの……」

「明日やろうは馬鹿野郎って言いたいのよ」


 そうよ 私だって 何度も振られたけど 会いに行ったわ

 別に私がしたからとかそうじゃないけど 相手がきちんと言葉で言ってくれないと関係だって白黒つけれないじゃない。


「わかった あんたが電話してもあってくれないなら私が電話する」

「え え えぇ……」


 私の強引な言葉にエマが目を見開く


「嫌ならしないけど」


 うん もちろん しない


「……する」


 いや 可愛いな おい


「ちょっと待ってね 今かけるから」


 私はその言葉を聞いてすぐさま自分の携帯を取り出した

 通話履歴から美琴を見つけて即プッシュ 耳に当てて美琴を待った


『ーーーーーはい』

「あ 私」

『うん どしたの?』


 ふむ 美琴の声音は そうね…… 普通かしら?


「今何してる?」

『え 家だけど』


 おけおけ 地盤は出来上がった


「ちょっと今から会えない?」


 気さくに言った言葉に美琴の声音が変わった


『なんで?』


 こわっ!!

 美琴こわっ!!


「話したいことがあるから」


 私も負けじと平静を装い言葉を返す


『唯が?』


 ピキュリーん!

 コンマ何秒かで私はすぐに察知した。これは疑ってる

 私ではないだれかに頼まれているんじゃないかと

 だけど お生憎様 相手が悪かったわね 私そう言う嘘はこなれてるの


「私以外に誰がいるのよ」



 我ながらの返しに私は口端をあげた


『わかったーー どこ行けばいい?』


 私は公園を指定して今から向かうと伝えた そこで美琴の承諾を得た私は電話をきりエマに向き合った


「エマ 行こう?」

「う”ーー」


 あ ダメだこりゃ 完全にヘタレモードだわ


「どちたんでちゅか おにゃか痛いんでちゅか」


 とりあえずは こうしてエマをいじめてやろう


「う”ーー やな奴ぅーー」

「あぁ 泣かないの泣かないの 痛いの痛いの飛んでいけーー」

「う”ーーーーー」


 私がやってることは紛れもないお節介だけど でも私だって二人には別れて欲しくない いや私のわがままなんだけどだけど私は二人が好きなのだ。それ以外に私を突き動かすものなんてない いや 待てこの思考が一馬じゃないか汚染されすぎているな 本当


「ね? 会いたいでしょ? だってケーキも作ったじゃない」

「むぅーーー」


 なるほど エマはへたると赤ん坊になるらしい


「もし 受け取ってくれなかったら??」


 エマが潤んだ瞳でこちらを見て言うから 私はなんだか笑えてきて


「そしたら 一緒に食べよ?」


 と苦笑した



 ーーー

 ーー

 ー



<倉敷>


 南ちゃんの奇襲を終えて僕らは帰り道を歩いていた


「ふあーーなんか 色々あったねぇ」

「そうですね 南ちゃんって方は少し距離感が近くて緊張します」

「あぁ 南ちゃんか 南ちゃん可愛いよね」

「会話が噛み合っていません 倉敷君」


 僕はそう言われて大きく笑った

 そこで僕のお腹が グゥう とサイレンを鳴らした 


「お腹すきました?」


 マリアちゃんが僕を覗き込む

 ウゥ…… 正直 マリアちゃんは僕の中の革命だった だって体が入れ替わったんだ 他のこと一線を引いていた僕だがマリアちゃんに対してはその境界が体を変えたと言うことで少し乱れている それはどう言うことかというと近いのだ すごく 


「お腹すいた かなぁ」


 僕はそう言うとヘラヘラと笑った


「じゃ なんか食べませんか?」

「え? いいの? お家の晩御飯食べれなくなるんじゃない?」

「今日は両親の帰りが遅いのでどうせ一人でご飯を食べるつもりでした」

「そうなんだ じゃ 食べに行こうか」


 まじか やっぱフラグか フラグなんだろこれ?

 僕にマリアちゃんとご飯食べに行くってイベント発生したんだけど


「なに食べる?」

「倉敷君は?」

「んーーじゃあ駅の近くのワックでもいく?」

「そうしましょうか」


 むはーーーなんだよぉお

 女の子だよぉおおお

 すんげぇ 女の子だよ 反応が もう鎌田とか島崎にはないよねこの感覚


「あら 倉敷じゃない」


 って鎌田ぁぁぁぁぁあ!!

 こんなタイミングで現れた鎌田と島崎 なんなんだこいつらはぁあ


「え なに? ワック行くの?? 俺も俺もーー」


 どこから聞いてたんだよ!? なんでなんの会話も発生しなかったのにいきなりワックってわかったんだよ!!


「あーしも小腹空いたわーー プロテイン切らしたし」


 お前は黙ってプロテイン粉で食べとけよ!!


「あ じゃあ皆さんで行きましょう」


 マリアあああああああ

 そんな時まで可愛くなくていいんだよ!! マリアあああああ


「レッツ ワック!!」


 鎌田が手を腕を上げて嬉しそうにハニカム


「「おーー」」


 それに便乗する二人を眺めながら僕も腕を上げた


「そういえば なにしてたの二人は?」


 シマに言われて僕は返す


「あーー ケーキ作ってたんだ」

「そうなんです ケーキ作りって思いの外楽しくって!!」


 その答えに二人が顔を見合わせる


「なんでケーキ??」


 かくかくしかじかと ワックに向かう道で僕は簡単に事の成り行きを話した。


「南ちゃんって俺知らないなーー」

「あーしも」


 へぇ シマでも知らないことってあんだな。


「でも 南ちゃんってぶっ飛んでるな」

「それ」


 二人がそう言って 確かになっと僕も同意した

 だって本当に何者なのかわかんないもん 話てもシカトされるし でもたまに話してくれるし なんか色々わからんけどとりあえず可愛いのはわかってるから良しとしよう


「そういえば チカチカどうしたの?」

「え?」


 千佳ちゃん?


「そうよ チカチカ なんか言い合ってたわよ? あの なんだっけ 倉敷にいちゃもんつけてた男と」


 あぁ 確か陸上部の柏達也かしわたつやってやつだ。

 もー 超ムカつくんだよねあいつ


「達也だろ? お前前はかっこいいって言ってたじゃん」


 と シマ


「もうどうでもいいわーー だってあいつあーしの顔にボールぶつけてきたのよ??」

「あぁ 僕に当たったやつが被弾してたもんな」


 それを笑い話のように話し軽く笑っていたらマリアちゃんが話し出した


「でもどうしたんでしょうか? その二人」


 ふむ 確かにきになるな 達也は千佳ちゃん好きなんだよな? なんで言い合うんだ?


「さぁ わかんないけど 結構大きい声で喚いてた」

「ちょー 怒ってた チカチカ」


 ふむ

 マリアちゃんは横目で見るとマリアちゃんも心配そうな顔をしていた

 やはり口では怒っていると言ってもマリアちゃんだ 千佳ちゃんを気にしているんだろう


「で マリアって好きな人とかいないの?」


 とここで核爆弾こと鎌田が今回もなんの前振りもなく凄いものを投げ込んできた


「へっ!?」

「あ その反応いるな〜〜」


 シマが どこぞのオヤジのような口調でマリアちゃんをニタニタと見た

 マリアちゃんの好きな人か いるのだろうか? マリアちゃんって基本誰と絡んでるのだろうか?


「好きとか まだよくわかんないです……」


 いや ちょ…… おかわあああ


「いいなーーとかも?」


 シマがぐいぐいくる


「いいなーーってどういうことですか? 私はみんなに対していいなって思うところたくさんありますよ?」


 あ わかった これが正統派ってやつか


「んーーなんか 特別?」


 鎌田が言う


「特別 とか もっとわかんないですよぉ」


 特別 恋 か。そういえば最近はそう言うの見てないな

 可愛い子はいるけど一年の頃に見てたあの特別な関係の女の子たちはもう僕の近くには居ないのだ。

 僕はなんだか寂しくなった だってそこに別れるかもしれないなんて話まで出てきてるんだ


 幸せって続かないのだろうか?


 恋ってくだらないのだろうか?


 僕はやっぱりあの一瞬の化学反応みたいな反応をする女の子が好きでたまらないけど

 あぁ できればまた見たいな 今度唯ちゃんと菫ちゃんを尾行しようかな 覗きたいな 殺されそうだけど。

 そんなことを僕は思いながらみんなでワックに入っていった。



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